「防衛費1%枠」タグアーカイブ

トランプ大統領、NATO(北大西洋条約機構)に対しGDP比4%の防衛予算負担を要求?

トランプ大統領が、NATO(北大西洋条約機構)に対し、GDP比4%の防衛予算の負担を要求しているそうです。

 

トランプ大統領は、11日に開幕した北大西洋条約機構/NATO首脳会議で、NATO加盟各国の防衛予算支出額をGDP(国内総生産)比4%以上になるよう引き上げることを要求しました。

現在、NATO加盟各国はGDP比で2%を防衛予算に回すことを約束しています。

しかし、この約束は実際のところ守られていません。

しっかり守っているのは米国、英国、エストニア、ギリシャ、ポーランドのみです。あとは1%台後半の国がほとんど。

2015年のデータになりますが、リトアニアは1.14%しか負担していません。ラトビアは1.06%です。ロシアにめちゃめちゃ近いのに、です。ロイター調べ

エストニアが2%負担しているのに、これらの国はタダ乗りしているのと同じです。

 

そしてさらにいうと、欧州の盟主であるドイツも1.18%しか負担していません。

さらに悪いことに、ドイツはロシアから天然ガスを大量に購入していますので、NATOの仮想敵国であるロシアとは、実際のところはケンカしたくないのではないか?とトランプ大統領に見られています。

トランプ米大統領がドイツを攻撃、ロシアとのパイプラインを問題視

 

 

ここまでは、個人的にも理解できます。

はっきりいって、約束を破るのはズルいです。

トランプ大統領が怒るのも当然でしょう。

他のNATO加盟国が軍事費を負担しないぶん、アメリカは多大な負担をしています。そこを問題視するのは当然だと思います。

ただ、4%目標はどうなのか?という気がしますが。

どんだけ有事想定の予算でしょうか?

一般的にみて、それは戦争一歩手前の予算規模だと思います。

というか、アメリカだって3%程度だったはずです。いくらなんでも4%は高すぎます。

 

 

個人的に、今回のトランプ大統領の発言は

「いままで負担しなかった分を多く払え」

と言いたいだけだと思います。

 

 

で、問題は、これはNATOに限らないということです。

 

いままで応分の防衛予算の負担をしてこなかったのは、日本も同様なのです。

 

 


このことについては以前の記事でも書きました。

 

F2後継機にF22とF35のMixを採用へ? ~「防衛費1%枠」と吉田ドクトリンの終焉~

 

 

日本の防衛予算は1961年以降、対GDP比で1%を一度も超えていないのです。

 

いわゆる吉田ドクトリンってやつです。防衛費1%枠ってやつです。

 

実際のところは1%どころか0.8%を割っていた時期もあるのですが、これはあまりにも低い水準だと思います。

お隣の韓国は、北朝鮮リスクを常に考えてきましたから、直近でもGDP比2%半ばの防衛予算を確保しています。

日本は、防衛予算に本来なら回すべき予算を経済分野に回して、それを使って経済成長していきました。それがバブル前の日本経済の好調さの主因・・・だと思います。(もちろん厳密にいえばそれだけでは語れませんが、吉田ドクトリンの影響は大きかったと思います)

 

 

で、何を言いたいか・・・だいたいお分かり頂けるかと思いますが・・・

たぶん、いずれトランプ大統領は、日本に対しても大幅な防衛予算の積み増しを要求してくるはず。

 

ということです。

まず、2%まで防衛予算を積み上げろ、と言ってくることは十分にありえます。これは100%に近いと思います。

もっというと、今まで吉田ドクトリンで防衛予算を負担してこなかった、そのぶんアメリカがバカを見ていたのだから、今後は4%くらいに引き上げろ。

アメリカから兵器を買え。SM3やパトリオットを大量に購入しろ、F35やオスプレイももっと買え。

と言い出しかねないと予想しています。

そういわれても仕方ないくらい、日本は軍事費を削ってきましたから。

 

 


で、当然これらはアメリカの関連企業にとっては良いです。

F35であればロッキードマーティン(Lockheed Martin / LMT)です。
RIM-161スタンダード・ミサイル3 (SM3)であればレイセオン(Raytheon Company / RTN)とエアロジェットロケットダイン社(Aerojet Rocketdyne Holdings Inc/AJRD)です。
Bell Boeing V-22 Osprey(オスプレイ)であれば、テキストロン(Textron / TXT)です。

 

 


で、当然こういった防衛予算にカネを使えば、日本の財政の他の部分は削らざるをえなくなります。

医療や介護が減らされるかもしれません。

医療や介護に回る予算が減るなら、薬価が一番最初に狙われるでしょう。

医薬メーカー、とくにジェネリックにはさらなる逆風が吹くかもしれません。日医工や東和薬品、沢井製薬などは厳しい環境におかれることになるでしょう。

 

もしかしたら増税になるかもしれません。

増税になるなら、国際的に引き下げ合戦になっている法人税ではなく、消費税増税になるでしょう。

国内で増税となれば、当然、内需関連は落ち込みます。消費関連、飲食関連はもとより、不動産や銀行なども厳しい状況に陥るかもしれません。

 

しばらく前まで、トランプリスクを避けるためには内需銘柄を買っておけばいいみたいな流れがありましたが、それは大きな間違いだと思います。むしろ、この国の内需銘柄はよほど割安な水準でなければ買うべきではありません。それこそ、PER10倍割れ、EV/EBITDAが6倍割れみたいなのだったらわかりますが、そうでなければ諸外国の資産に割り負けると思います。

 

 

とりあえず、今回のトランプ大統領による「NATO加盟国はGDP比4%の防衛予算負担をしろ」発言を対岸の火事のようにとらえていてはいけないと思います。これは、相当に大きな影響を持つ発言あと理解した方が良いと思います。

 

以上です。