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トランプ大統領がOPEC批判。しかしそれは中間選挙のため。本音は原油高を望んでいるはず。

トランプ大統領がまた吠えています。

原油価格が人為的にとても高くなっている!よくないことだし、ぜったい受け入れられない!

これ、トランプの本意じゃないと思います。

中間選挙を控えて、「自分は原油を釣り上げてないよ!」と言いたいだけだと思います。


 

 

トランプ大統領は先月20日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子と面会しています。

 

このサウジ皇太子のアメリカ訪問は二週間の長さにわたるのですが、この間にとても重要なことを2つしています。

 

ひとつはアメリカ製の武器購入についての商談

アメリカが新たにサウジアラビアに武器を売却

もうひとつは、ユダヤ人への穏健な態度表明です。

サウジ皇太子「イスラエルに国土持つ権利ある」米誌インタビュー

イスラム教の聖地メッカを守護するサウード家の次期当主が、おなじイスラム教徒のパレスチナ人を迫害しているユダヤ人の国イスラエルを承認するかのような発言をしたわけですから一大事です。

世界中が驚きました。

 

 

でも、こうなるだろうなと思っていました。

ぜんぶ出来レースだと思ってます。


 

サウジアラビアは、米国から武器を大量に購入しています。

トランプ就任直後に3000億ドルぶんの米国製兵器購入を約束、米国への投資も含めて総計5000億ドル規模のキャッシュアウトをすることをサウジは発表します。

サウジアラビア 米と55兆円契約 米製武器購入や投資

 

この巨額の商談があったからこそ、トランプは最初の外交訪問地にサウジアラビアを選びました。とても異例なことです。

そしてトランプは、まずは1100億ドル分の兵器輸出契約をサウジと交わします。

トランプ大統領の初外遊、サウジと巨額の武器輸出で合意

これは対イラン圧力強化を目指す米国の方針とも合致するものです。

(注:トランプ個人の方針ではありません。昔からの共和党新保守主義派の方針です。その裏にはイスラエル・ユダヤ資本が繋がっている・・・と言われています)

サウジは米国の同盟国として、対イランのパワーバランスの最前線として、軍備を拡張しています。

 


 

さて、サウジアラビアはかくも気前の良い取引をしましたが、実情は国家財政が火の車で、キャッシュなんてろくにありません。

そこで、国営の石油会社、サウジアラムコの権益の一部を売却することにしました。

時価総額2兆ドル(215兆円)とも言われる巨大企業です。

実際に上場すればAppleやGoogleの二倍以上の時価総額と言われるほど大きな企業です。

まずは5%、1000億ドルぶんくらいを株式公開しようということになりました。

 

株式公開するときには、さまざまなコストがかかります。

一般的には引受幹事証券など関係者の受け取る手数料は総計2%ですので、1000億ドルの株式公開なら20億ドル・・・ざっと2150億円くらいの株式公開手数料が動きます。さすがにこれは大きすぎるので仮に半分に見積もるとしても、1000億円はくだらないでしょう。そのカネを法律家やコンサル、監査、金融機関などが山分けすることになります。


ご存知の通り、イランとサウジアラビアは仲が極めて悪い。

そして、イランとイスラエルの仲も極めて悪い。

敵の敵は味方・・・ということで、サウジとイスラエルは急接近しています。

イスラエルとサウジアラビア 表に出てきた両国の結び付き(BBC)

イスラエル便、世界初のサウジ領空通過 インド航空会社

そして、そこに以前からイスラエル寄りに傾いているエジプトと、イスラエルのケツ持ちのアメリカが混ざっています。

要するに、すべては「対イラン」で繋がっています。

 

そこに降ってわいたのが、サウジアラビアの政変であり、冒険主義的野心に溢れるサウジ皇太子の登場であり、サウジアラムコの上場話です。

 

原油価格が上昇すれば、(イラン以外は)みんなハッピーになります。

 

 

  • 原油価格が上がればサウジアラムコのIPO価格が上昇します。
  • IPO価格が上昇すればサウジアラビアの国庫が潤います。
  • IPO価格が上がれば主幹事証券や法律事務所、監査など関係者が潤います。
  • サウジアラビアの国庫が潤えば軍事予算を増やせます。
  • サウジアラビアの軍事予算が増えればアメリカからの武器弾薬の調達が増え、米国の軍産複合体企業が潤います。
  • 軍産複合体企業が潤えば雇用も増えるし設備投資も増えるし景気が良くなります。
  • サウジアラビアの軍備が充実すれば、対イランでのパワーバランスが改善します。
  • 対イランでのパワーバランスが改善すれば、アメリカとイスラエルにとって好都合です。(イランの核もミサイルも、イスラエルとサウジが仮想敵国ですから。)
  • 対イランでのパワーバランスが改善すれば、アメリカはイランへの核放棄圧力も強められます。
  • 対イランでのパワーバランスが改善すれば、ずっとイランへの制裁をつづけられます。
  • イラン産原油が出回らなければ原油価格が維持されやすく、原油を輸出するサウジアラビアにとっては好都合です。

 

むしろここで、対イランの経済制裁が解除されてイラン産の原油が市場に放出されることは原油の需給を悪化させ、イラン以外のプレイヤーの利害に合致しません。すべてを逆回転させることになってしまいます。

ちなみに、この流れで潤う企業は、

  • シュルンベルジェ(Schlumberger/SLB)
  • ハリバートン(Halliburton/HAL)
  • JPモルガン(JPMorgan/JPM)
  • ボーイング(Boeing/BA)
  • ユナイテッドテクノロジーズ(United Technorogies/UTX)
  • ロッキードマーティン(Lockheed Martin/LMT)
  • レイセオン(Raytheon/RTN)
  • トタル(Total/FP)

などなどです。

 


 

 

米政府がイランとの核合意継続か否かを判断する期限が5月12日に迫っていますが、おいらはたぶん、

米政府はイラン核合意を破棄、離脱するとみています。

地域の緊張を無駄に煽って原油価格を引き上げてくると思われます。

イラン産の原油輸出増加は認めないでしょう。

 

岡目八目的にみると、上値追いして買い上がる必要はないと思いますが、押したところは買っていく相場にみえます。

原油価格の下落を見越して物価見通しを組む人が一部いるようですが、それは間違っているのではないかとおいらは思います。

(あくまでも個人的意見です。おいらはエネルギー分野は素人同然ですので、話半分に読んでください。)

 


 

 

いまサウジアラビアで起きていることは、シリアナという映画に描かれた世界にそっくりです。

  • 産油国内部における勢力争い、跡目争い、イデオロギー対立
  • 利権確保のため王位継承に横やりを入れる米国と、その諜報機関、報道機関
  • 独立系石油企業によるM&Aとロビイング、途上国有力者に対するリベート提供
  • 暗躍する金融資本、法律事務所、コンサルタント
  • 不平を抱く小市民と、その純粋さを利用するテロリスト

 

すべての関係が丁寧に描かれています。

もちろんフィクションですが、まるで現在おきていることを予見していたかのように精緻なタッチで描かれています。

一度、ごらんになってみてください。

 


シリアナ (字幕版)

 


 

だらだらと長い文章になってしまいました・・・

短く纏めようとは思っているのですが、頭が悪いのでうまく纏まりません。

とりあえず以前も書きましたが、政策的に原油価格は高め誘導されている・・・と感じます。

 

原油価格は様々な産業に影響します。

たとえば化学メーカーや空運業、運輸業などには直接的なコストとなって影響します。

そういった理由から、原油先物を取引する人でなくても原油価格の動向をみていくことは大切です。

 

おいらは、いまは株式は買いから入る相場ではないと思っていますが、もし投資するとするならば、1バレル80~110ドル時代になっても増益基調を保てる企業に投資した方が良いです。その可能性は十分に出てきています。

 

 

(なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見通しであり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資は自己責任でお願いいたします。)