空自F2後継機、米社がF22とF35両機ベースの開発案打診
航空自衛隊のF2戦闘機(wiki)の後継に、米空軍のF22(wiki)とF35(wiki)をベースにした機体を開発する案が浮上しているそうです。
F22とF35はともにロッキード・マーティン( Lockheed Martin / NYSE:LMT)が主開発企業であり※1、両機体をMixした最新鋭機を提案できる・・・とのことのようです。
この提案は、たぶんホンキです。実現性が高いと思われます。
この提案には、主にふたつの大きな意味があると思われます。
- ひとつは、日米貿易不均衡の是正。アメリカは日本に対し、防衛費増加と貿易収支均衡を求めてくるはずです。
- もうひとつは、2035年~2050年にかけて高まる中国との軍事衝突リスク(台湾有事)への備えです。
注 ※1 F22はボーイング( Boeing /NYSE:BA)との共同開発。F35にはノースロップ・グラマン( Northrop Grumman /NYSE:NOC)とBAEシステムズ( BAE systems / LSE:BA)が計画参加
(注:なお、この記事は取り留めもなく長いだけで中身は薄いです。あれこれ書いておきながら、結論はとくにありません。それでも良いって人だけが読みましょうw)
まず1の方。
日本にはかつて、「防衛費1%枠」(wiki)という言葉がありました。
90年代に受験生だった学生さんならわかる単語ですが、それ以降の方はあまりご存じないかもしれません。
詳しくはwikiを見ていただくとして、ようするに「防衛費は1%枠の中に収めよう」という話です。
これには幾つかの意図がありますが、大雑把にまとめると、
「対GNP比防衛予算が下がるのを嫌がる防衛庁」と
「防衛予算の際限のない増大を嫌がる財務官僚」が
吉田ドクトリン※3(wiki)の流れを汲む三木武夫(wiki)内閣で上手く折り合い、成立したという流れになります。(あくまでも個人的な見解です。異なる見方の人もいます。)
※3安保はアメリカに任せっきりにして、日本は軽武装、経済成長最優先でいこう・・・という吉田茂内閣の方針
実際、ふたつのオイルショックに挟まれた1976年に成立したこの方針は、経済危機を乗り切るために極めて有効に機能しました。まさに吉田ドクトリンの集大成といっていい方針でした。
以下はGNPではなくGDP比ですが、ずっと1%以内で推移してきていることがわかると思います。
https://www.sipri.org/databases/milex
http://www.worldbank.org/
より筆者作成
思えば、日本の戦後の発展は吉田ドクトリンの賜物であり、そして、吉田ドクトリンの限界によって衰退したと言っても過言ではないと思います。
1989年12月のマルタ会談による冷戦終結宣言は、それまで冷戦対応で軍事予算比率を高めていた世界の国々が、軽武装、経済成長最優先路線に舵を切ることに繋がりました。
それはつまり、安保をアメリカに任せっきりにして経済成長最優先で突っ走ってきた日本経済の優位点の喪失・・・マルタ会談から3週間後、1989年の大納会の日に日経平均は3万8957円44銭をつけ、そこを転機に暴落、長期低迷期に入ります。
ちなみに、この見方は大前研一氏?だったかが最初に語っていたと思います。間違っていたらごめんなさい。
つぎに、以下のサイトをごらんください。
軍事費の対GDP比に着目してください。
日本1、ドイツ1.2、英国1.9、中国1.9オーストラリア2、フランス2.3、米国3.3
主要国で見た場合、日本の軍事費比率がいかに低いかわかろうものです。
これこそがまさに吉田ドクトリンのなごりであり、防衛費1%枠のなごりなのです。
そして当然、そのぶんは米国に頼り切ることになります。
日本は米軍に安保費用を被せてズルい・・・とトランプ大統領はつねづね言っています。日本国内では防衛予算拡大に対してアレルギーが強く、否定的な見解を述べる人が多いです。
しかし、これに関してはトランプは実は正しいとおいらは思います。日本は自国の防衛をアメリカに頼り切っており、独立国としてアタリマエの財政支出になっていません。
「同盟国にもっと負担を求めるべき」という方針が、トランプ大統領個人の感覚だけに頼ったものだと思ったら大間違いです。彼は同盟国の国防費負担増加を公約に掲げて選挙で選ばれています。個人的意見ではなく米国民の総意だとみるべきです。
もう一度さきほどのサイトをみてみましょう。
米軍の軍事費は圧倒的な大きさです。だいたい中国の三倍程度の大きさです。
ただ、グラフ二枚目米軍の軍事費は減少傾向を辿っており、逆に中国は急激に増やしています。。
これは二つの点で大きな問題になります。
- 世界のパワーバランスに与えるアメリカの影響力が低下すること
- 米国の軍需産業が衰えること
アメリカは、日本やNATO諸国などの同盟国に対し、少なくともGDP比2%への防衛予算拡大を要求していると言われています。
自民党安保調査会が中間報告 防衛費、NATOのGDP比2%「参考に」
(適当なソースが見当たらなかったのでこの程度です・・・)
もし仮に日本がGDP比2%に防衛費を増やすとすると、日本の2016年のGDP4.939兆ドルですから、日本円換算で10兆5600億円の防衛予算になるということです。これは2018年度防衛予算案5兆1911億円の約二倍です。
日本の18年度防衛費、4年連続で過去最大 巡航ミサイル取得 – ロイター
「空自F2後継機F3をF22とF35ベースで作ろうぜ」というロッキードマーチンの提案は、つまり上記のような流れを踏まえてのものです。
米軍の軍事予算は削減傾向です。そのぶんを同盟国に負担してもらおうという魂胆です。
同盟国に負担してもらうことによって、ボーイングやロッキードマーティンのような軍需産業は自国需要の減少の影響を回避できます。
対中国や対ロシアを念頭に、同盟国の軍事的プレゼンスは高まります。
米国のパワーバランス維持にとっては良いことづくめなのです。
ちなみに、広く知られているとおり、米国と日本のあいだには貿易不均衡が存在します。
モノの貿易での対日赤字は689億ドル(約7兆7千億円)
つまり、日本が防衛予算を2%にすれば、アメリカから兵器を5兆円程度は購入することになり、日米間で懸案となってきたモノの貿易の不均衡が是正される・・・
というのがアメリカ側の経済面における狙いだと思われます。
これは、以下の点から日本側にとっても受け入れやすい面があります。
- 農産品分野で妥協して国内農家の票を失うよりマシ
- 貿易収支の均衡を輸出減を通じて行うよりも、輸入増を通じて行う方が建設的
- 念願のF22の技術が手に入る
とくに農産分野はミソです。アメリカのTPP離脱によって食肉分野などでは豪、NZなどからの輸入が増えるはず。対アメリカの貿易黒字は増えやすい環境にあります。これをカバーするためにも、兵器購入は自民党にとって都合の良い選択なのだと思います。
もうひとつ、
2の2035年~2050年にかけて高まる中国との軍事衝突リスクについて書きます。
これは、現実的には起こらない可能性が高いとは思うのですが、軍事的なバランスが崩れてしまうと引き起こされるリスクが高まります。
中国側の発表をもとに考えると、おもに台湾海峡を挟んでの緊張となると思われます。
中国共産党は、過去のどの皇帝たちよりも成功した統治を目指しています。
つまりそれは、過去の最大版図を取り戻すことでもあります。
最大の版図とは、つまり清朝の時代における版図です。
これには台湾も含まれる・・・というのが中国側の意識です。
(Wikipediaより by 大清の嘉慶25年の疆域の図。Qing Dynasty 1820.png)
米が警戒する中国の軍事力増強「2035年にはインド太平洋で米軍と同等以上」
という指摘があります。
これを防ぐために、アメリカは日本だけでなく、最近になって台湾、インドへ急接近しています。
特に台湾は、検討事案だった台湾旅行法(wiki)をあっさりと可決し、明らかに今までの流れとは別の方向に向かっていることを印象付けました。
【トランプ政権】米で「台湾旅行法」成立、政府高官らの相互訪問に道
中国はかつて、世界で一番大きなGDPを誇る国でした。
The Long View (US, Europe vs China, India) pic.twitter.com/vNHDKMEzhB
— ian bremmer (@ianbremmer) March 29, 2014
以前からずっと言っていることなので、飽きてしまったかもしれませんが・・・
いま起きていることは、経済規模において過去200年間一位だったアメリカと、それ以前の1800年間一位だった中国が、ふたたび覇権を巡って争い始めているということなのだと、おいらは思っています。
ずっと覇権国として君臨していたいアメリカと、過去の栄光を取り戻したい中国が争っている・・・そんな状況だと思います。
多極主義の時代を経て、結局のところ覇権主義の時代に向かうのだと思います。
中国は、中華思想です。
簡単に言ってしまえば、「中国が世界の中心」という思想です。
ある意味、ナチスのアーリア人主義と似たものがあります。
そこに、アメリカは危機感を感じているのだと、おいらは思います。
中国がこれだけ発展しているのにも関わらず、ユダヤ資本が中国に大きく流れ込んでいないのも同じ理由ではないかと思われます。中国側の規制環境もあるかもしれませんが、それにしても2000年代初頭~リーマンショック前ころに沸き上がった投資ブームがない。下火になっています。中国からイスラエルへの投資は盛んなんですけどね。
ユダヤ側から中国への投資に関しては、むしろ最近は距離を置くような姿勢がちらほら見えているような気もします。対中国の直接投資額の7割以上は香港経由なので実数がみえにくく、直感に頼らないといけないのが辛いところですが・・・。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/235f8a37c850183e/20170091.pdf (ジェトロ)
中国共産党習近平指導部は
- 社会主義現代化強国
- 中華民族の偉大なる復興
をメインテーマに掲げています。
これについては長くなりますので外部リンクを貼りますが、要約すると
2020~2035年のあいだに力を蓄えて
2035~2050年のあいだに世界トップレベルになるぞ。
という内容です。
これには経済的、文化的なものだけでなく、軍事的なものも含まれます。
習近平演説の”聞き捨てならない”発言 本気で「冷戦」を始めるらしい (LibertyWeb)
社会主義現代化強国完成のため、習近平主席が5つの要求–人民網日本語
そして当然それは領土的なものも含まれてくるはずであり、事実、中国政府は、台湾に関しては非常に強い口調で国家分裂を非難する声明をことあるごとに出しています。
米国としては、すぐに台湾有事が発生するとまではみていないかもしれませんが、パワーバランスが崩れることで台湾での有事発生リスクが高まることを懸念しているのではないかと思われます。
散漫になってしまったので纏めます
つまり
- アメリカは世界の覇権国で居続けたい
- 中国は世界の覇権を取り戻したい
- 中国共産党は過去のどの皇帝よりも優れた統治と認められたい
- 中国の歴史上最大の版図は台湾まで含まれるので、台湾併合はとても大切
- アメリカの軍事予算は縮減予定、中国の軍事予算は増大傾向
- このままではアメリカの軍需産業が衰退する
- このままではアメリカを中心とするパワーバランスが崩壊する
- パワーバランスが崩れれば台湾があぶない
- アメリカは同盟国に軍事予算の負担をさせたい
- 日米間には貿易不均衡が存在
- 日本は貿易不均衡是正のために農産品分野を開放するのは嫌
- 日本はアメリカへの輸出を減らすのは嫌
- 日本の防衛費は世界的にみて対GDP比最小レベル
- アメリカは日本にもっと軍事予算の増強をさせたい
- 日本としても最新鋭戦闘機はほしい
以上のような思惑諸々が絡み合って、最初の記事
空自F2後継機、米社がF22とF35両機ベースの開発案打診
が出てきたのだと思います。
なので個人的な感覚では、このプランの実現性は70%以上ではないか、とみています。
また、台湾やインドなど、周辺諸外国への展開も十分にありうるのではないかと思われます。
とりあえず関連する銘柄として、ロッキードマーティン(NYSE:LMT)の株価をみてみましょう。
PERは2018estで23.4倍、2019estで20.2倍
EV / EBITDAは2018est14.1倍、2019estで13.2倍
ぜんぜん割安感ないです。
というか、割高でしょう。
バリュエーション面からは魅力がゼロだとおいらは思います。
もうひとつ、
日本にとって向こう20年程度は、社会保障コストの増大だけでなく、軍事予算の増大にも悩まされることになると思われます。
とくに軍事予算の増大は、輸入兵器の増大でもあり、貿易収支、経常収支に影響してきます。
長期的に見た場合、このことはきっと為替と債券市場に影響してくるはずです。
でまぁ、とりあえず、長くなりましたのでこれで〆ます・・・
結論ないじゃん!
ってツッコミきそうですがw
お読みいただきありがとうございました&なにも有益なことが書けなくてすみませんw
追記
ブログ開設から2か月ちょっと
こんなテキトーな記事ばかりなのに、おかげさまで月間1万アクセス突破しそうです。
ご愛顧まことにありがとうございます。
子育て中心で生活が回っていて、合間合間に頭に浮かんだことをチョチョッとメモしながら記事を書いてます。そんなわけで、できあがった記事は取り留めもなく、結論もなく、ただダラダラとしたものに仕上がっております。
最初のページでも書きましたが、おいらは他のブロガーの方たちとちがって、いろいろとモチベーションが低い・・・いい加減な記事も多いです。
俺が読者だったら「時間かえせよおお」って叫びたくなるような記事も多いです。
本当にこんなもんでいいのかよくわかりませんが、まぁ、こんな調子で続けていきます。
数字や認識など間違っている箇所とかあったらどんどん指摘してください。俺としても勉強にもなりますから。
今後ともごひいきのほど、よろしくおねがいします。
(なお記事中の見通し、数字などには間違っているものもあるかもしれません。投資においては自己責任、自己判断でお願いいたします。)