中国のゲームパブリッシャー大手NetEase(網易/ネットイース NTES)が訴えられました。
PUBG Corp.が『荒野行動』など2作品に「配信/開発の差し止め」訴訟を提起【UPDATE】
個人的にはコレ、当然かなと思っています。
いつかは訴えられるだろうなと思っていました。
とりあえず要約すると・・・
- 韓国Bluehole社の開発したPCゲーム『Player Unknown’s Battle Ground』(以下PUBG)が2017年に大ヒット
- 中国のゲームパブリッシャーNetEaseが『Rules of Survival』『荒野行動』をスマホ用アプリとして開発、公開
- 公式PUBGのスマホ版が出る前に『荒野行動』が登場したことから、荒野行動が二億DL以上の大ヒット作になる
- 著作権侵害・トレードドレス侵害・不正競争防止法違反でPUBGがNetEaseを提訴
とりあえず、Youtubeなどでプレイ動画をみてみればわかります。
パラシュート降下でゲーム開始始点を選ぶところ、バトルロワイアルで殺し合うところ、画面の構成などなど・・・
https://www.youtube.com/watch?v=RbBx03PT1Hc
うーん?
これが許される時代だとでも思っているのでしょうか・・・しかもネットイースはれっきとしたNasdaq上場企業ですけど・・・
中国企業の知財保護への意識が問われる一件となりそうです。
今回はアメリカ合衆国の地方裁判所での訴訟となっていますが、本戦は中国ではないかと思います。
中国におけるPUBGのパブリッシャーはテンセント(騰訊/Tencent 0700.HK)です。スマホ版PUBGの開発に関してもテンセントが担当しており、もうすぐ正式公開することになっています。先行してサービス開始している荒野行動が存在していては、収益確保の邪魔になります。
またテンセントはこれを世界的に展開していくことを狙っています。テンセントにとってPUBGスマホ版は、スマホアプリにおける世界進出の足掛かりになる大事な作品です。
ネットイースの荒野行動が存在していては、PUBGスマホ版普及の障害になります。
それは単に目先の収入ということだけでなく、テンセントの世界進出が阻害されるということです。
騰訊(テンセント)vs網易(ネットイース)の戦いは、中国のゲームパブリッシャーNo.1とNo.2の戦いという以上に、大事な意味があります。
テンセントは確かに世界で一番大きなゲーム企業ですが、その収益の大半は中国国内からのものでした。
むしろ世界展開では『陰陽師』の成功などネットイースの方がうまく行っていたように個人的には思います。
テンセントが本当の意味で世界一のゲーム企業になるために、そして中国国内での地位を盤石にするために、ネットイースに対しては徹底的に戦うように思います。
中国政府としても知財保護を重要視する昨今の風潮に逆らうわけにはいかないでしょうし、テンセントへの手厚い保護からして、この戦いは始まる前から結果がみえているように思います。
ネットイースの株価がそれを織り込んでいるかというと・・・少々疑問です。
(以上はあくまでも中卒くん個人の意見です。投資スタンスを勧めるものではありません。投資に当たっては自己責任、自己判断でお願いします。)
by中卒くん
追記です 2018年8月25日
その後のネットイースの株価は以下のようになりました。
おおぉー!
ネットイースの株価が大暴落\(^o^)/
ネットイースの株価は、直近で200を割り込みました。
前回、ネットイースの記事を書いたときには株価が280くらいでしたから、直近最安値200割れは3割近い下落です。
ネットイース株の今後はどうなるでしょうか?
個人的にはかなり弱気で見ています。
というのも、以前書いたこちらの記事にもありますとおり、どうも中国政府は(というか習近平国家主席は)ゲーム産業があまりお好きではないらしい。もっというとメディア全体への統制色が強まっているきらいがある。。。
また上記に加えて、最近、習近平国家主席が「インターネットは清潔で正しくあるべき」と主張し、低俗なコンテンツを排除するよう主張したと伝えられています。
China’s Xi says internet must be ‘clean and righteous’ | Reuters
これが23日の報道ということは、宣伝部人事との兼ね合いもあると思うのです。
発言内容からすると、対外部門だけではなく、国内向けも含めての意見なのだと思います。ゲームや映像産業にとっては締め付け強化を意味すると思われます。
ネットイースだけではなく、ゲーム業界全体を含めてビジネスモデルの再構築が必要になってきているように感じます。
注意してみていく必要があると思います。