中堅証券エイト証券が野村アセットマネジメントに買収されます。
野村アセット、エイト証券を買収へ (日経)
個人的にお世話になった会社がなくなります。感謝の気持ちも込めて、記事にします。(なお、この記事を読んでもたぶん稼ぎには繋がりません。ながくなるので読まない方が良いと思います・・・)
この会社、もともとユナイテッドワールド証券と名乗っていました。
今でこそフィンテックだのロボアドバイザーだのと流行りのキーワードを散りばめていますが、創業当初の事業は香港株取引でした。
それまでも東洋証券や内藤証券などが中国株に注力していましたし、楽天証券(当時はまだDLJ証券だったかな?)、SBI証券(たしかまだE*TRADE証券だったような)なども香港株売買に参入していました。
このユナイテッドワールド証券にはいろいろな優位点がありました。それは主に・・・
- 圧倒的に低コスト
- いろんな銘柄に投資できる利便性(他の証券会社は登録銘柄しか売買できない)
- 香港ドルでの決済が可能(当時はSBIも楽天も現地通貨建てはできなかったはず)
- リアルタイム株価がタダ
などでした。
また、システム的にも結構洗練されていて、当時としてはサクサク動く方でしたし、気持ちのいいシステムでした。
おいらはこの証券会社でペトロチャイナや高速道路株、電力株などに投資をしました。当時は配当が4~6%あるような時代でした。
その後、バフェットがペトロチャイナ株に投資を始めました。すぐに他の銘柄も噴き上げ始めます。第二次中国株ブームのはじまりです。
みるみる間にあがっていきます。中国の経済成長とともに石油需要が増大します。一人あたりGDPでみるとちょうど日本の60年代~70年初めころの状況と同じでした。多くの人が日本の辿った道と中国を重ね合わせ、超大型エネルギー株のペトロチャイナに群がります。
ダルフール紛争で百万人以上が命を落としたスーダンに権益を持つことから、フィデリティやバフェットは人権活動家から非難を受けます。彼らはこれを受け入れ、徐々にステークを減らし始めます。
ところが、一向に株価は収まる気配がありません。時価総額数十兆円規模の会社が蝶のように舞います。初めは原油価格とパラレルに動いていたはずでしたが、いつの間にか自律的にぴょんぴょんと兎跳びで高値を駆け上がり始めます。なんと、
エネルギー業界の雄エクソンモービルの株価を抜きます。
抱えている資産規模からみて、これはまずありえません。エクソンはやはり巨大で、ペトロチャイナは新参でした。かつて6%近くあった配当利回りも低下していきます。あきらかにバリュエーション面でみておいしくなくなってきました。バフェットはペトロチャイナ株式の多くを売却します。おいらも売りました。当時のバフェットはまだ脂がのっており、追随したくなる投資家でした(今はもう時代遅れのロートルですけどね)。
ペトロチャイナは上海市場にセカンダリー上場することになりました。ぐんぐんあがっていきます。株式新規公開しました。なんと新規公募価格(16.7元)を191%上回る48.62元をつけ
史上初の一兆ドル企業が誕生してしまいましたwww
いまだにこの時価総額1兆ドルはどこの企業にも抜かれていませんw
中国人のパワーを見せつけられた一瞬でした。
おいらは早く売りすぎたことを残念に感じましたが、しかしやはり・・・
ここが世界経済のピークでした。
世界経済はあきらかにバブリーでした。
ペトロチャイナが崩れます。
アメリカ株も崩れます。
そして・・・
ユナイテッドワールド証券の経営も傾きました
ごめんなさい。この時期においらは資金を引き出したんです。たぶん俺だけでなく、多くの顧客がそうしたんだと思います。ユナイテッドワールド証券は買いだけしかできず売りから入れない証券会社でしたので、下げ相場では魅力がありませんでした。また実績のない中小証券会社に現金を預けているのは怖かったのです。我々が資金を引き出しまくったせいで(?)、社長の林和人さんにはいろいろと迷惑をかけていたようです。
きっかけは復讐 “香港証券界の風雲児”が独立した理由 (AERA)
ユナイテッドワールド証券のおかげでおいらの資産は億達成できたのに
必要なくなったらポイッとすててしまいました。
このフットワークの軽さでおいらは生き残ってきましたが
知らず知らずのうちに迷惑をかけてきたこともいっぱいあるんだと思います。
いろいろ心が苦しいです・・・
ユナイテッドワールド証券はその後、エイト証券という香港系の証券会社に買収されます。おいらはこの頃になると米系証券会社に移りましたのでこの証券会社を利用することはなくなりましたが、エイト証券はアジア株や米国株などいろいろと手を広げて、顧客の利便性を考えた経営をしていたようです。
それが昨年秋、突如外国株の取次ぎを停止し、フィンテックに経営資源を集中すると言い出して、まだ残っている顧客たちがネット上で怨嗟の声をあげました。
そして今回の身売りです・・・
いやはや、いろいろたいへんだったんでしょうね。
顧客や元顧客としてはそんな裏事情ぜんぜん知りませんから、好き放題言ってきましたけどねw
心が痛いですねぇ・・・
とりあえず、関係者の方々おつかれさまでした。
それから林和人さん、ならびにOne Tap BUYの今後のご活躍をたのしみにしております。(おいらはたぶん使うこと無いと思いますけど・・・)
ありがとうございました。
ちなみに、さきほどのチャートですが
こうやって、なだらかに上昇した後に噴き上げたら、それはバブル末期の兆候です。
たとえばそれは、昨今の仮想通貨などが当てはまります。
手垢のついたあとは、だいたいいつもどこも同じ展開です。
by中卒くん