インド、加熱式・電子式タバコの禁止方針~IQOS展開によるシェア拡大を目論んでいたフィリップモリスにダメージ~
インドの保健家族福祉省が各州に対し、電子タバコ、加熱式タバコ製品の輸入・販売、広告・製造禁止を要請とのこと。
India’s Health Ministry Urges End to E-cigarette Sales
近年、インド政府はタバコ産業に対して非常にキツイ締め付けをし始めています。
世界保健機関WTOによると、インドには1億600万人の喫煙者がいるとされており、これは中国に次いで二番目の規模です。
インドでは、毎年90万人がタバコを原因とした死因で死んでいるそうで、インド政府はタバコ産業に対して非常に厳しい態度で臨み始めています。
フィリップモリスはここ数年、業績を悪化させてきており、世界販売も減少傾向にあります。
長年インドでは、現地インドの大手たばこメーカーITCが市場シェアを大きく握っており、フィリップモリスインターナショナルPMIのシェアは2%程度にしかすぎませんでした。
(Philip Morris International Investor Information July 2018 P.9)
フィリップモリスインターナショナルは、電子タバコIQOSの展開でインドでのシェアを拡大させ、業績を拡大させる目論見をたてていました。
フィリップモリスインターナショナルは政府系要人に対するロビー活動もかなり頻繁に行っていたようですが、どうやら今回の政府の決定をみると、その努力も徒労に終わったようです。
フィリップモリスインターナショナル社の業績立て直しのキッカケと思われてきた電子式タバコIQOSとインド市場ですが、そのどちらもがポシャったのが今回のニュースだと思います。
なお、インドはナレンドラ・モディ政権になって以降、タバコ税を引き上げたり、タバコのパッケージ上に喫煙リスクを表示することを求めたりなど、タバコ産業への締め付けを強化してきています。
また、以前は映画館や飲食店など室内でのタバコも一般的だったそうですが、現在ではこれら室内におけるタバコ喫煙はほぼ禁止となってきているとのこと。
今後もこの流れが続きそうです。
なお、フィリップモリスインターナショナルの株価チャートは以下のようになっています。
フィリップモリスインターナショナル(ティッカー:PM) 株価週足チャート
なお、補足事項ですが
ヒンドゥ教とにとってはタバコは禁忌ではありませんが、シク教徒(シーク教徒)にとってはタバコは禁忌です。
シク教徒はパンジャブ州に多いですが、インド全体に技術者層として多くいます。
さほど多いわけではありませんが、彼らの影響は非常に強いとされています。
インドがタバコに後ろ向きになるのも、当然かなという気がします。