東京都湾岸部のバス高速輸送システム(BRT)が2022年開通
東京オリンピックに向けて開業を予定していた東京都臨海部のBRT(バス高速輸送システム/バス・ラピッド・トランジット/Bus Rapid Transit)が、予定より2年遅れて2022年に開通するとのことです。
当初、東京オリンピックとその後の臨海部マンション開発に伴う輸送能力不足を補うために作られる予定だったバス高速輸送システム(BRT)ですが、結局東京オリンピックには間に合わず、その後の住宅開発のための輸送手段となりそうです。
この遅れは、豊洲の東京ガスタンク跡地のヒ素・重金属・ベンゼン汚染問題を起因とする東京中央卸売市場移転問題がこじれたことによるものです。
2016年に東京都知事に当選した小池百合子氏は、現在築地にある東京中央卸売市場を移転する予定先の土壌汚染状況を問題視。
小池都知事が豊洲への東京中央卸売市場移転に反対の態度を示したことで環状2号線開通が遅れ、そのことによりBRTの開通が2年遅れの2022年となりました。
なお、その後に小池都知事は東京中央卸売市場の豊洲移転にGOサインを出しました。
どういった経緯があったかはわかりませんが、たぶんに大人の事情って奴でしょう。
なお、この東京都臨海部のBRT(バス高速輸送システム)ですが、内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)は「次世代都市交通システム)」と名付けているようです。
・・・が、以下の要素をみるかぎり、とくべつAdvancedなものなどありません。BRTです。名前だけ新しくして、さも新しいことやってます的なアピールでしょうか。
- バス高速輸送システムBRTの車両が交差点に近づくと、赤信号が青信号にかわる公共車両優先システム(PTPS/Public Transportation Priority System)を採用
- 停留施設に風雨を避けるための屋根を設置
- 停留所および車両のバリアフリー化
- 自動運転制御技術を利用した加減速システムによりスムーズな発進、ブレーキを実現
- 運航時間は5時~24時
- 東京オリンピック後の住宅整備後は、平日ピーク時は一時間当たり15便程度の実現(4分に1本)、輸送力1500人前後。
- 同じく東京オリンピック後の住宅整備後は、平日日中および土休日は一時間当たり12便程度(5分に1本)、輸送力1200人前後
- 乗車前に切符を購入する方式を採用しており、乗降に伴う混雑を解消
- 車両は排ガスを一切出さない燃料電池バスSORAを導入(トヨタ製)
なお、すごく先進的なイメージで売り込みをしていますが、BRT(バス高速輸送システム)は決して新しいアイデアではありません。
大震災後の線路不通区間を使ってすでにJR東日本のバス子会社が気仙沼線と大船渡線で行っていますし、一般道を利用したものも名古屋や新潟などで実働しています。(新潟は選挙の争点となっており、ゆくゆくは廃線の可能性もありますが。)
また、先進的なシステムのように謳っているPTPSですが、これも昔からあります。
公共車両優先システム(PTPS/Public Transportation Priority System)
バスの定時運行を確保する目的で開発されたシステムです。
既に日本の地方の基幹バス路線の多くの信号がこれに対応しています。
内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)によれば、東京臨海部のバス高速輸送システムBRTにはさらに進化させたものを導入するようですが、どの程度既存のものより進化しているのか、研究開発にどれだけの予算がつけられているのか・・・なんか嫌な予感がします。調べてないのでなんともいえませんけどね。
なお、車両はトヨタ自動車が開発している燃料電池バス(FCバス)の「SORA」改良型を導入する方向?
燃料電池バスとして初めて型式を取得したFuel Cell Bus SORAは、すでに都05-2系統などの都バス路線に投入されています。
これを一部改良したものを投入していく方向ではないかと思われます。
ちなみに一台一億円とも言われていますが、全車両30台以上?を東京都が負担するのでしょうか。たいへんですね。
https://www.youtube.com/watch?v=Qp55NGjL85s
東京湾岸のバス高速輸送システムBRTのバス停は以下の地点を予定しているそうです。
東京臨海部BRT停留施設等の位置(東京都都市整備局HPより資料16ページめ)
こうやってみると、オリンピック後に雨後の筍のように建てる予定の臨海部タワーマンションと都心部を結ぶための路線ですね。
また、ビッグサイトでのイベント時や客船ターミナルとの連携にも前向きのようです。
今後、EV化、燃料電池化が進んでいくのでしょう。
あと30年もしたら、東京都心部の空気は今よりも遥かに綺麗な空気になると思います。
かつて幹線通り沿いのマンションは煤だらけで汚かったのですが、今は本当に綺麗になりました。
ディーゼル排ガス規制は唯一の石原都知事の成果だと思います。
彼が都知事になる前は、本当に都心の空気は酷かった。
PMとNOx規制を強化して旧型トラックの都心部流入を禁じたおかげで、都市部の地価が上がっている面はあると思います。
EV化などの進展で、今後もこの傾向は続くのでは、と個人的には思います。(定量化はできませんが。)
ちなみに、地方の県庁所在地の空気は非常に臭いです。
とくに北陸や東北などの冬は酷い。
東京で走れなくなった古い車両がそういった地方でまだ活躍しています。
寒い季節はディーゼルの排ガスは物凄く汚くなりますから、本当に息をするのが嫌になるくらいの酷さになります。
北陸は金持ち県が多いのですが、路線バスの更新は後回しにしている県があります。具体的にいうと富山ですけど。
あそこはすごい、数年前まで90年代初期のバスも走ってました。ライトレール乗りにいってビックリしましたね。先に更新すべきところあるだろう?と。
富山の街中には、90年代までに東京でもよくみかけた、排ガスで煤けた外壁の建物が多いです。
いいかげん、地方はそういうところを直した方が良いです。
せっかく新幹線を通しても、東京からやってきた人が駅の改札をでた途端に排ガス臭い空気を嗅がされるわけです・・・富山っていったら、立山へ向かう人もおりるわけですよ。
そういった人たちが、その土地に対していいイメージを持たなくなるのは言うまでもありません。
東京に限らず、世界的な大都市が空気のおいしさを追及しています。
都市への車両流入規制をしいています。
地方都市は、観光を発展させたいのなら、そこらへん見習った方がいいと思います。