300㎜半導体シリコンウェハ大手SUMCOの業績と株価
今回は300㎜、200㎜の半導体シリコンウェハで世界シェア3割弱、SUMCOの業績と株価をみていきます。
まずはSUMCOの会社説明から始めましょう。
SUMCOとは?
SUMCOとは、半導体用シリコンウェハで出荷量世界シェア2位、約30%弱を占めているとされる企業です。
ちなみに、SUMCOはサムコと読みます。
SUMCOの沿革
SUMCOは1999年に、当時業績悪化していた三菱マテリアル、住友金属工業(現在の新日鐵住金)の半導体ウェハ事業を統合する形でシリコンユナイテッドマニュファクチュアリング(Silicon United Manufacturing)が設立され、略してSUMCOとなりました。
さらにコマツの子会社であるコマツ電子金属を吸収、現在のSUMCOの体制になります。
SUMCOのこれまでの業績をふりかえってみる~低迷期
SUMCOはもともと弱者連合でしたから、統合当初から業績的には低迷を続けていました。
この状況を打破するために、SUMCOは2007年当時、300㎜ウエハへの投資をいっきに拡大、生産効率の向上とシェア拡大により利益を拡大させようとします。
(200㎜に比べて300㎜だととれるチップの数が増えますから、そのぶん半導体メーカーの利益率が向上する。その向上分のいくらかをウェハ価格に転嫁してほしい・・・そういった望みでした。)
ところが、折からの大不況(サブプライムローンバブル)で稼働率があがらず、SUMCOの業績はかえって低迷。
300㎜ウエハへの投資が過大で値崩れが起こり、減価償却費の増大でSUMCOは深刻な経営危機に陥りました。
半導体ウェハの逼迫がもたらしたSUMCOの復活
この半導体ウェハの価格値崩れが2017年頃、ようやく止まりました。
世界的にNAND型フラッシュメモリが大量に必要とされるようになり、マイクロンやウェスタンデジタル、サムスン電子などが大増産。
景気回復でその他の電子機器も出荷が増えたことで使われるDRAMなども増加し、半導体ウェハの需要が急増、半導体ウエハの在庫が逼迫することになりました。
(SUMCO決算資料より)
これを受けSUMCOは需要家に対して値上げを打診。
半導体シリコンウェハのシェアトップの信越化学なども同調したことでウェハ価格の適正化が進展、ようやく業績も安定するようになりました。
これが、2018年上期までの流れになります。
ここにきて半導体出荷の伸びに一服感?~SUMCOの業績はどうなる?
ですが、好景気はずっと続くわけもなく、そろそろDRAMやNANDの需要も一服か?と言われ始めています。
高い伸びを示してきたシリコンウェハの需要ですが、ここにきて一服感が出ています。
この傾向を受け、半導体シリコンウェハがふたたび価格下落傾向に転換し、SUMCOの業績を下押しするのではないか?と市場が警戒。
SUMCOの株価に下押し圧力が増しています。
SUMCOは長期契約により利益を確保と主張
これに対してSUMCOの経営陣は、
「長期契約により利益は確保しているので安定的に成長できる、心配いらない」
と説明しています。
ただ、個人的な見解を述べさせてもらうなら、ここもとのSUMCOの業績の伸びの多くは長期契約分ではなく追加発注による上乗せと思われます。
確かに長期的な利益水準の確保はできているでしょうが、現在の業績の伸びは維持できないのではないか、とみています。
とりあえず、2018年上期までのSUMCOの業績推移を載せておきます。
(SUMCO決算資料)
SUMCOの業績
ここからは会社側資料を基にSUMCOの業績を見ていこうと思います。
(この記事は2018年11月7日に書きました)
SUMCOの2018年12月期第3四半期決算は、対前年比で売上27.3%増、営業利益123.1%増、経常利益158.8%増、四半期純利益156.7%増、1株当たり四半期純利益145.47円、自己資本比率48.1%
になりました。
非常に絶好調です。
ただ、市場は現在の業績ではなく、次の業績を眺める状況になっているようです。
300㎜ウェハの需要はやや頭打ちの傾向を会社側は予想しているようです。
また、会社側予測では4Qは減益を想定、これまであったような追加発注が減少することを想定しているようです。
300mm、200㎜ともに、長期契約を超える増量要求は一段落ついたと会社側は説明しています。
2019年も引き続き値戻し可能であるとSUMCOは説明しています。
SUMCOの株価
SUMCO 週足株価
SUMCO 日足株価
SUMCOの株価はシリコンサイクルに沿う形で下落傾向を強めてきましたが、ここにきて小反発してきています。
あとは二番底を入れられるかどうかにかかってきています。
個人的にはフェアバリューに近づいているように感じますが、全体相場次第では、まだ下を見にいく機会はあるように思います。
とりあえず、今回はSUMCOの業績と株価を見てきました。
なお、上記はあくまでも自分の見方であり、特定の投資行動をお勧めするものではありません。投資に当たっては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。