次期メキシコ大統領ロペス・オブラドール氏の主要政策はテワンテペク地峡開発で産業活性化と貧困対策
次期メキシコ大統領に決定したロペス・オブラドール氏が政策発表~テワンテペク地峡の開発など、インフラ開発に向け5千億ペソ(約3兆円)投資
次期メキシコ大統領に決定した左翼政党民主革命党(PRD)のアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール氏(Andrés Manuel López Obrador)、通称AMLO(アムロ)が主要政策を発表。
ロペス・オブラドール氏(Lopez Obrador)の政策の目玉は、太平洋とメキシコ湾を結ぶ物流網を構築するため、テワンテペク地峡の物流網を充実させるというもの。
テワンテペク地峡(Isthmus of Tehuantepec) のメキシコ湾側カンペチェ湾のコアツァコアルコスと太平洋側テワンテペク湾のサリナクルスの間に通じる道路と鉄道網を充実させることで、おなじ中米パナマのパナマ運河に対抗するとのことです。
また、プエルト・チアパス(チアパス州)、ラサロカルデナス (ゲレーロ州)、コアツァコアルコス (ベラクルス州)、 サリナクルス (オアハカ州)、 プログレソ (ユカタン州)、 セイバプラヤ (カンペチェ州)、ドスボカス (タバスコ州)などにあるZEE(経済特区)を経済振興のために活用するとのこと。
AMLO anunció zona franca en el Istmo de Tehuantepec -Mexicoxport
(日経も同様のことを伝えていますが、上のサイトの方が詳しいと思います)
上記をみてもわかるとおり、今回の政策はロペス・オブラドール氏(Lopez Obrador)の支持基盤である南東部を中心に開発を進めるものです。
このロペス・オブラドール氏の政策に対して、5000億ペソ(約3兆円)ものインフラ投資コストをどのように調達するのか、財政的な面から心配する主張が出ているようです。(日経新聞2018年9月28日朝刊)
ただもう一つ心配なのは、メキシコの失業率はさほど高くないという事実です。
source: tradingeconomics.com
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過去最低とまでは行きませんが、メキシコの失業率は十分に低い状態にあります。
国内でばらつきはあるでしょうし、確かにロペス・オブラドール次期大統領の支持基盤である南東部では貧困率が高いのでしょうが、どうも積極的に財政を拡張する理由が見当たりません。
メキシコの消費者物価指数CPIは高止まりしています。
メキシコ CPI
source: tradingeconomics.com
メキシコ コアCPI
source: tradingeconomics.com
古くて新しいテワンテペク地峡(Isthmus of Tehuantepec) 開発
たしかに、テワンテペク地峡の開発には可能性を感じます。
テワンテペク地峡は最も狭いルートで220㎞で太平洋側と大西洋側を結びます。
もともとパナマ運河ができる前は、テワンテペク地峡に運河もしくは鉄道を作る計画はありましたから、そんな突拍子もないことでもありません。
サリナクルスとコアツァコアルコスの港湾開発なども含めてしっかり行えばテワンテペク地峡開発は筋の悪い話でもなさそうです。
パナマ運河の代替ルートとしてよりも、現代ではむしろメキシコの産業振興としての意味合いの方が大きくなっていると思います。
メキシコがアジアと欧州を結ぶ中継貿易の拠点として発展する夢をテワンテペク地峡鉄道開発にみているのかもしれません。
ただし、いかんせんコストが大きい。
テワンテペク地峡の開発には3兆円規模の投資が必要。
これだけの規模の財政負担をインフレを抑制しながら上手くやり抜けるかどうか?
いろいろ難しいんじゃないかなぁという気がします。
うまく行ったら、おもしろいんですけどね。
以上です。