総額1兆円~ゴールデン・パスLNGプロジェクトを千代田化工建設、マクダーモット、ザクリのJVが受注

ゴールデン・パスLNGプロジェクトを千代田化工建設、マクダーモット、ザクリのJVが受注

 

 

 

カタール国営石油とエクソンモービルによるゴールデン・パスLNGプロジェクトを千代田化工建設が米現地2社とJV設立し受注

石油メジャーのエクソンモービル(Exxon Mobile)とカタール国営石油会社(Qatar Petroleum)が米テキサス州で計画している「ゴールデン・パスLNGプロジェクト」に関し、これを千代田化工建設、マクダーモット・インターナショナル(McDermott International)、ザクリ(Zachry)がJVを設立して受注したと発表がありました。

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』は、総額1兆円を超える規模のプロジェクトです。

McDermott, Chiyoda and Zachry Group Awarded Golden Pass LNG

 

千代田化工建設が請け負う『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』の概要

今回、千代田化工建設が受注した『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』ですが、カタール国営石油会社と米国のエクソンモービルが米国内に共同で開発する大規模なLNGプラントとなります。

場所はテキサス州とルイジアナ州の国境線沿い、サビーン湖からの水がメキシコ湾に流れ込むあたりにあります。

一帯は湿地帯で国立野生動物保護区域の内側にある地域です。

近くにはシェブロンやヴァレロエナジー、シェニエールエナジーの石油関連、LNG関連の施設などが並ぶ地域でもあります。

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』のLNG生産能力は年1560トンと米国内でも最大級規模。

稼働は2024年を予定しており、各企業においても一大プロジェクトとなっています。

 

 

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』のためにOPECを脱退したカタール~千代田化工建設にかかる期待は大きい

この『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』ですが、実はカタールの昨年のOPEC脱退とも密接に関係しています。

カタールは昨年12月13日、OPECからの脱退を表明しました。

この理由としてあげられたのがサウジアラビアとの関係悪化ですが、もう一つの要因として、アメリカ国内での『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』もあったのです。

アメリカ国内では、OPECはカルテル組織だ、という論調が高まっています。

要するに、世界のエネルギー価格を変動させるためにOPECはカルテルを結んでいる。

それによって消費者は損を被っているから、OPEC相手に裁判をやって取り戻そうというわけです。

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』を推進しているカタールとしては、こうした動きに巻き込まれてはたまりません。

もとより、カタールはLNG分野ではそれなりに大きなポジションを維持してきましたが、原油市場では産油量の少ない小規模国です。

ですから、OPECに加盟しているメリットは薄い・・・そんなわけで、お付き合い程度に加盟していたOPECからカタールは脱退しました。

 

 

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』は総額1兆円を超える大規模プロジェクトだが、千代田化工建設の担当は設計・調達のみ

今回、千代田化工建設が受注する『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』は総額一兆円を超える大規模プロジェクトです。

現在千代田化工建設はルイジアナ州のキャメロンLNGプラントの工期管理のミスで多額の損失発生が見込まれています。

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倒産の危機も囁かれる千代田化工建設ですが、今回の『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』ではあくまでもプラントの設計と調達だけを担当することになるとのことで、実際の建設はマクダーモット・インターナショナルなどが請け負うとされ、リスクはさほど負わずに済む契約となっています。

 

 

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』で千代田化工建設が稼げるのは300億円が限度か?

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』での千代田化工建設の担当範囲は調達と設計のみでリスクが少ないとされる一方で、リスクが低いぶん、リターンも少なくなっています。

総額1兆円のプロジェクトではありますが、このプロジェクトで千代田化工建設が稼げる金額はせいぜい300億円程度

実際の利益ベースでみれば20億円程度でしょうか。

千代田化工建設はキャメロンLNGプロジェクトで1000億円超の赤字を垂れ流していますが、およそこれを補うだけの利益にはなりえません。

 

 

『ゴールデン・パスLNGプロジェクト』を千代田化工建設が受注した思惑

とりあえず、千代田化工建設としては、こういった大規模プロジェクトに一枚噛むことで、倒産しては困る企業になりたいのだろうと思います。

実質的な親会社の三菱商事としても、カタールやエクソンなどとの繋がりを強めた千代田化工建設を見捨てるわけにはいかないでしょう。

そんな感じで、子会社にねだられるままに出資をしなくちゃならない・・・構図がみえてきます。

EPCのうちEPしかやらなくても、とにかく噛みこめばそれでよし、そんな感じのしたたかさを千代田化工建設からは感じます。

三菱商事は、ずいぶんとドラな息子を抱えたもんです。

お疲れさまでしたw

以上。