フォルクスワーゲングループ(VW、アウディ、ポルシェ)がEVシフトを加速で大規模リストラへ
フォルクスワーゲンが2028年までに70車種2200万台の電気自動車を販売へ
2019年3月13日、世界最大の自動車メーカー・フォルクスワーゲンが中期的な電気自動車販売目標を改定。
2028年までに2200万台のEV(電気自動車)を販売すると発表しました。
従来までの計画は1500万台でしたから、新しい計画では700万台積み増すことになります。
フォルクスワーゲンは同時に大規模リストラも発表
なお、この新たなEV販売目標の発表と前後して、フォルクスワーゲンは大規模なリストラ策も発表。
管理部門を中心として7000人を削減するということです。
これは、フォルクスワーゲングループ全従業員数65万人からしたら1%強ですが、VW単体の従業員18万5000人からすれば3.78%にあたる人員数になります。
また、これはあくまでも管理部門中心。
今後は生産部門の整理も本格化しそうです。
将来的にはEV化で3割強の人員が要らなくなる?~フォルクスワーゲン全体では20万人以上が失職?
なお、フォルクスワーゲンはEV生産量を1.5倍に増やすとともに、既存のディーゼル車、ガソリン車の生産は逆に生産停止していくとのことです。
こうしたEV化に伴う不要人員数がどれほどの規模になるかは各予測機関によっても異なりますが、概ね3割程度とも言われています。
つまり、フォルクスワーゲングループが本当にEV化を推し進めていくなら、今後は生産部門を中心に20万人程度の失職も覚悟しなければならないことになります。
フォルクスワーゲンのEVシフトの規模感
なお、フォルクスワーゲンはかなり本格的にEV化にシフトすることを表明しましたが、日本車メーカーでここまで大胆な変化を受け入れた企業はいまだありません。
フォルクスワーゲンのEV化は上記のように2023年から2028年までを中心に2200万台。
2023年以前に200万台程度売るとして考えると、5年間で2000万台を売るかたちになります。
つまり1年あたり400万台ということ。
これは、フォルクスワーゲンが2018年の一年に売ったEVの台数4万台の100倍です。
そして、フォルクスワーゲングループの2018年一年の年間販売台数1083万台からみると、約37%にあたる販売台数がEVになると見込むことになります。
これは欧州の厳しい環境規制に対応するためという意味もありますが、それにしても非常に大胆な数字です。
⇒【EURO7/ユーロ7】欧州自動車2021年CO2(二酸化炭素)排出量規制を考える~設備投資は2019年後半から?
フォルクスワーゲンだけじゃない。日本の自動車メーカーでもEV化で大規模リストラ必至
こうしたEV化は今後ますます進むことでしょう。
世界の環境規制はどんどん厳しくなってきています。
欧州自動車産業のお膝下のドイツ企業であるフォルクスワーゲンがこれだけ厳しい数字を出してきたということは、欧州の規制当局は本格的に、2030年代のどこかでEVオンリーにしてくる可能性すらあります。
そうして、欧州企業は自国マーケットをしっかり固めるつもりにみえます。
そのとき、自動車メーカーの雇用はEV化でガッツリ削られることでしょう。
それは日本企業だって同じこと。
いま日本の自動車メーカーがやるべきことは、賃上げとかベアではなく、本当に必要な人物だけを残して、どんどんリストラすることではないかと思います。
政府の言うとおりに官製ベアなんてやっていたら会社は傾きます。
官邸に反抗できる経営者かどうか、そこが自動車セクターの優劣を決める時代がくるはずです。
以上。