ジャパンディスプレイ(JDI)に宸鴻光電科技、富邦グループ、嘉実基金管理などが1100億円出資へ

ジャパンディスプレイ(JDI)に宸鴻光電科技、富邦グループ、嘉実基金管理などが1100億円出資へ

 

 

再建中のジャパンディスプレイ(JDI)に中国・台湾の企業グループが出資へ

 

ジャパンディスプレイ(JDI)は4月3日、台湾の電子部品メーカーや中国の投資ファンドなど600~800億円の出資を受け入れることで大筋合意。

iPhoneの売れ行き鈍化で大幅に出荷が落ち込んだジャパンディスプレイ(JDI)でしたが、ようやく次の道筋が見えてくることになりました。

なお、この中国・台湾の投資家連合は、台湾の電子部品メーカー宸鴻光電科技、台湾金融大手の富邦グループ、中国投資ファンドの嘉実基金管理グループなどとのことです。

昨年の報道はこちら⇒ジャパンディスプレイ(JDI)にシルクロード基金が出資か?~産業再生投資機構も参加へ~

 

産業革新機構INCJのジャパンディスプレイ(JDI)議決権は低下へ

なお、この中国・台湾の投資家連合の出資比率は50%弱になるとのこと。

ジャパンディスプレイ(JDI)株式の25.3%を握る筆頭株主、産業革新機構INCJの持ち分は、現在の半分程度まで低下するとのことです。

いっぽうで、ジャパンディスプレイ(JDI)に対して持っている債権のうち約750億円ぶんを議決権のない優先株に転換するとのこと。

こうすることで、中国・台湾勢に出資しやすい環境を作ることに徹したようです。

 

 

ジャパンディスプレイ(JDI)の現預金が一定額を下回るとアップルは工場を差し押さえできる?

日経新聞2019年4月2日の記事に以下のようなことが書かれています。

合意に向けて焦点となっているのがJDIとアップルとの取引条件の緩和だ。台中勢は、JDIが工場建設のためにアップルから借りた資金の未返済分約1000億円の繰り延べや、JDIの現預金が一定額を下回るとアップルがJDIの工場を差し押さえることができるといった契約の見直しを求めている。

なんとびっくり!

アップルはジャパンディスプレイ(JDI)の現預金が一定水準を下回った場合、資産の差し押さえができるそうです。

アップルとしては工場建設のためにジャパンディスプレイ(JDI)に貸し付けしていますし、

また、安定した生産を期待して、いざとなったら差し押さえできる条項をいれておくのも仕方ないのかもしれませんが、下請け企業にとっては何とも過酷な条件です。

再建策では、こういった条件の改善なども含まれているそうです。

 

 

ジャパンディスプレイ(JDI)への中台企業からの投資に対米外国投資委員会CFIUSの壁

なお、一部では

「ジャパンディスプレイ(JDI)への中台企業の投資は、米国の対米外国投資委員会CFIUSに引っかかるのではないか。」

という声もでています。

CFIUSは、対米投資に対して審査するところですが、米国企業と取引する海外企業同士のM&Aにも口を出してきます。

それもこれも、米国が世界最大の消費国だからできることですが…

とりあえず、このCFIUSが何か言ってくるのではないか。

という指摘は注意して聞いておく必要があるかもしれません。

 

ジャパンディスプレイ(JDI)は日の丸液晶の最後の砦

とりあえず、これで日本の製造業企業がまた一社、外資のもとに旅立ちました。

今後は中国で有機ELパネルなどの生産設備を立ち上げていくつもりのようです。

ジャパンディスプレイ(JDI)の技術が活きて利用されるなら、それが一番でしょう。

一部に「日の丸製造業の終焉」みたいな論調がありますが、そんなことはないと思います。

むしろめでたい。

個人的には、これでよかったし、できればもっと早くに売却できなかったのか、という気がします。

以上。