ベネッセホールディングスの個人情報流出事件で一人当たり2000円の賠償判決~東京高裁
ベネッセホールディングスの個人情報流出問題で2000円の賠償を命じる判決
2014年に発覚したベネッセホールディングスの個人情報流出事件。
被害者は軽く1000万人を超える大規模な個人情報流出事件でした。
この事件に関しては「個人情報流出で精神的な苦痛が発生した」と訴えた個人からの慰謝料請求が一部で訴訟に発展していましたが、
このたび、東京高裁で非常に重要な判決が出ました。
ベネッセホールディングスの個人情報流出問題で東京高裁が損害発生を認める
東京高裁は2019年6月28日までに、ベネッセホールディングスと関連会社シンフォームに対して、1人当たり2000円の賠償を命じる判決をだしたとのこと。
地裁判決では500円の賠償でしたから、高裁判決では4倍に膨らんだ形になります。
この違いは、会社側の損害賠償責任を認めたかどうかの違い。
18年6月の一審東京地裁判決では、ベネッセの過失責任は認めたものの、「原告に慰謝料が発生するほどの精神的苦痛があるとは認められない」として損害賠償責任は認めず。
今回の東京高裁判決では、一審に引き続き会社側の過失責任について認めた上で
さらに、「漏洩の不快感、不安感が抽象的であったとしても精神的苦痛は避けられない」
として損害の発生を認定。
会社側に対して損害賠償と過失責任あわせて2000円分の支払いを命じる判決となったとのことです。
ベネッセホールディングスの個人情報流出問題、被害者は2895万人
ベネッセホールディングスによりますと、この個人情報流出問題の被害者は2895万人にも上るとのことです。
つまり、国民の1/4の個人情報が流出したということ。
単純に計算して、2895万人に追加で1500円の金券を配るとなると、434億円超のコストがかかってきます。
ベネッセホールディングスのここ3年の営業利益は合計460億円程度ですから、単純にいってしまうと3年分の稼ぎがパーということです。
しかも、金券配布には手数料もかかりますから、余計にコストもかかります。
困ったものです。
ベネッセホールディングスの2019年3月期決算期末の数字によると1126億円の現金があるとのことですので、財務的にもキャッシュフロー的にも経営には問題がないと思われます。
ですが、さすがに営業利益数年分のコスト上昇は厳しいものがあります。
最高裁で高裁判決を覆すほどの何かを提出できるとも思えず、このコスト上昇はかなり蓋然性が高くなってきています。
株価は織り込んでいるのかどうか・・・やや疑問です。
もちろん、訴訟を行ってきた人にだけ賠償して、あとはしらばっくれる、という対応もできないわけではありません。
しかしそんなことをしたら、今のSNS時代、間違いなく炎上して叩かれるでしょう。
どちらの方が影響が大きいか・・・。
色々と難しい状況になってきているように思います。
以上です。