【親子上場】ヤフーvsアスクルとルノーvs日産にみる秘密契約条項の問題点~少数株主に対し未説明の条項を規制すべき~
ヤフーとアスクルの関係が拗れています
背景にあるのは共同出資で行うネット通販事業ロハコだそうです。
ロハコ事業の赤字体質を立て直すためにヤフーは事業譲渡するようアスクルに打診。
これをアスクル側が拒絶したことで、アスクルの岩田彰一郎社長再任にヤフーが反対する方針になったということです。
【親子上場】ヤフーがアスクル岩田彰一郎社長再任に反対~ロハコ事業立て直しには完全子会社化しかありえない
しかしこれはおかしな話です。
アスクルは上場企業であり、取締役会で様々な議案を稟議して決議しています。
岩田彰一郎社長だけを解任して決議が覆るような企業ではないはずです。
もし決議が覆るなら、それこそ企業統治がおかしいことになります。
秘密条項によりヤフーはアスクルの経営に関与できない?
岩田彰一郎社長によると、アスクルはヤフーとの資本業務提携解消を求めているそうです。
根拠となっているのは、ヤフーとアスクルによる提携が行われた時に結ばれた秘密条項だそうです。
具体的な内容は秘密条項なのでわかりませんが、ヤフーはアスクルの経営に関与できない、といったような内容だそうです。
この秘密条項が、ヤフーの行動のどのあたりまで縛る条項なのかわかりません。
取締役の再任に反対するのはありなのか
敵対的買収をヤフーが仕掛けた場合に拒否することが可能なのかどうか
そういった重要な部分がまったくみえません。
そういう秘密条項を、アスクルとヤフーは結んでいるらしいのです。
(日経新聞 2019年7月18日 朝刊13ページ インタビュー記事)
一部引用しますと、以下のようになっています。
「そういうことが起こらないため、ヤフーが当社を連結子会社にした際に独立性が守られる条項を結んだ。当社の指名・報酬委員会や取締役会を順守するとの契約もある。(本来の)提携の精神や契約もすべて反故にし、当社の意思決定を覆して大株主が何でも決めるのは乱暴だ」
秘密条項を株主に開示しないヤフーとアスクル
この問題、非常に重要だと思います。
つまり、株主に対して有価証券報告書でも開示されていない契約が存在するということです。
しかもそれは、非常に、非常に重大な資本政策上の問題になってくることが後々に予想される条項なわけです。
不動産で例えるなら、行政によって特殊な用途制限が設定されているのにもかかわらず、それを告示せずに流通させているのと一緒です。
日本の株主は、個人も機関もこういうのに何の反対もしてきませんでした。
日本人は契約問題に疎いですから、そんなことで文句言う方がおかしいと思っているかもしれません。
ルノーと日産の問題で、ルノー側の行動を制限する条項の存在が明らかになったあとだって、国内からは問題視する声がほとんど上がっていません。
【日産】改定アライアンス基本合意書(RAMA)は親子上場の弊害を表す最たる例【ルノー】
少数株主を軽視しているのは、大株主だけではありません。
こういう秘密めいた条項を結んで保身を図ってきた経営陣も同類です。
金融庁も東証も、こうした秘密条項を禁じ、重要なものを有報に開示させるように義務付けるべきです。
そうでなければ、日本市場の不透明感は払しょくされないでしょう。
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