【日産】改定アライアンス基本合意書(RAMA)は親子上場の弊害を表す最たる例【ルノー】

日産自動車とルノーの裏約束「改定アライアンス基本合意書/RAMA」は企業統治上の大きな問題ではないのか?

 

 

 

日産自動車とルノーとの間に「改定アライアンス基本合意書/RAMA」という裏契約があることが判明しました。

これは、カルロス・ゴーン元会長の逮捕をきっかけに日産とルノーとのあいだで主導権をめぐる争いが勃発する中で明らかになったもの。

11月27日付日経新聞朝刊が報じたところによりますと、具体的には

  1. 日産側が経営に関sん法されたと判断した場合、独自の判断でルノー株を買い増せる
  2. ルノーが日産に最高執行責任者(COO)以上のポジションを選定する権利がある
  3. 日産の取締役会は、日産がルノーよりも1人多い状態を維持できる

といった内容。

これら「改定アライアンス基本合意書/RAMA」が、日産自動車と、実質的な親会社であるルノーとのあいだで交わされていたとのことです。

企業統治の根幹にも関わる重要な内容が今になって明かされるというあたりに、個人的には強い違和感をおぼえます。

 

実質的親会社ルノーと、実質的子会社日産自動車の間に結ばれた「改定アライアンス基本合意書/RAMA」

ルノーと日産自動車の関係は、ルノーが日産の43.4%の株式を握る実質的親子上場関係にあります。

この二社のあいだで、他の株主には知られないような「改定アライアンス基本合意書/RAMA」というものが結ばれていたという事実は、非常に大きな問題を提起していると思います。

 

 

 

「改定アライアンス基本合意書/RAMA」は日産自動車の有価証券報告書のどこにも記載されていない

この「改定アライアンス基本合意書/RAMA」ですが、日産自動車の有価証券報告書のどこにも記載はありません。

また、プレスリリースでこのような内容の契約を重要取引先であるルノーと結んでいることを発表した形跡もありません。

一応、日経新聞のリーク記事みたいなもので流れたことはありますが、具体的な名称も、全体としての像もみえたことありません。

どういった経緯で作られ、どういった内容のものなのか、株主にはほとんど知らされてこなかった、というのが現実だと思います。

 

 

 

「改定アライアンス基本合意書/RAMA」は企業統治上の重要事項ではないのか?

自分は法律家ではありませんし、「改定アライアンス基本合意書/RAMA」の具体的な内容のすべてが公開されているわけではありませんから、この裏契約がの法的拘束力がどの程度のものかはわかりません。

しかし、大株主とはいえ、株主の一人であるルノー社とのあいだに、他の株主に知らせない裏契約があるというのはいかがなものなのでしょうか。

経営において、企業統治上の重要事項ではないという判断なのでしょうか?

日産自動車の経営陣が、誰を向いて経営をしてきたのでしょうか。

少なくとも、西川広人取締役社長含め、すべての取締役は一般株主のことなど見てこなかったことがわかります。

 

 

ルノー・日産における「改定アライアンス基本合意書/RAMA」について、東証の意見を聞きたいところ

今回の「改定アライアンス基本合意書/RAMA」の件は非常に重要な企業統治上の問題を孕んでいるはずですが、これについて開示してこなかったことに東証はどのように対処するのでしょうか。

 

 

東証は「改定アライアンス基本合意書/RAMA」のようなものが親子上場企業間で結ばれていることを許容するのか?

東証はソフトバンクと通信子会社の親子上場を認めました。

じきにソフトバンク通信子会社はIPOで上場します。

しかし、東証はこの二者間にあるかもしれない裏契約をすべて把握できているのでしょうか?

(もちろん、裏契約があるとは言っていません。あった場合を仮定して話しています。)

もちろん、そんな裏契約があるかないかはわからないでしょう。

有報にも載せないようなものを東証が独自に把握できているとは思えません。

であるならば、親子上場自体を認めないことが、投資家保護になるのではないでしょうか。

パターナリズム的な判断と言われるでしょうが、それこそが金融の安定化に繋がるのではないかと、個人的には考えます。

 

 

 

「改定アライアンス基本合意書/RAMA」の存在を黙認してきた日産自動車取締役は、取締役としての価値がない

取締役というのは、株主のために株主から経営を負託される存在です。

この点からみるに、株主に対してしっかりとリスクや重要事項を説明してこなかった日産自動車の取締役たちは、もはや取締役としての価値がありません。

こんな連中の再任を認めたら、日産自動車はまた内部抗争を繰り返すことにエネルギーを使うだけのダメ会社に戻るにきまってます。

真に株主のことを考えた経営に転換するためには、日産自動車はルノーに吸収されたうえで、日産株主はルノー株を受け取ってルノーに影響力を行使する方がシンプルになります。

現状の実質親子上場関係は、誰のためにもならない・・・

そう思います。

以上。