LME(ロンドン金属取引所)の銅、亜鉛など非鉄金属価格が、中国経済への懸念から急激に下落しています
London Metal Exchange(LME/ロンドン金属取引所)は、世界最大規模の非鉄金属資源取引所です。この取引所における価格は、事実上世界のスタンダード価格として機能しています。
そんな重要なLME価格ですが、ここもと米中貿易摩擦を受けた中国経済への悪化懸念から、主に中国で使用される比率の高い銅や亜鉛の価格が急激に下落してきています。
チャート的に2波の押しを作っているとみるべきか、それとも転換して下落と見るべきかは難しいところですが、かなり急激な、ちょっと危険な匂いのする鶴瓶落とし的な動きになっていることには注意が必要です。
で、この銅と亜鉛ですが、どちらも中国の需要が大きい金属資源となっています。
ILZSG(International Lead and Zinc Study Group)によると、2016年の亜鉛地金消費量は世界で1385.6万トン、このうち約半分の672.4万トンを中国が消費しています。
また、JOGMEC(独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)によると、2017年の世界の銅消費量は2352.5万トン、このうち約半分の1192万トンを中国が消費しています。
ようするに、銅も亜鉛も中国経済次第で大きく価格が変動しやすい資源ということです。
その2つの金属資源が大幅に下落しているというあたりに、市場の中国経済への懸念の強さが見えていると思われます。
なお、銅は電線などに多く使われるほか(年にもよるが、需要の6割程度が銅線需要)、自動車、建設分野などに伸銅品としても利用されています。
年にもよりますが、銅の電線需要のうちの約5割は建設、3割が機械、自動車、2割が電力、通信向けといったとところでしょうか。(ここらへんは大雑把です。)つまり、不動産販売が鈍ったり、機械、自動車が売れなくなると銅は需給が緩んで値下がりしやすくなります。
また亜鉛は、亜鉛メッキ鋼板という言葉を聞いたこともあるとは思いますが、自動車の外装材などのメッキ用として使われます。家電やパソコンの筐体などにも使われます。つまり、それらが売れなくなれば需給が緩み値下がりしやすくなる金属ということになります。
まだ、自動車や家電、住宅など、これら最終商品の値下がりが顕著に表れているわけではありません。
しかし市場の一部では、米中通商摩擦の影響がこれらの需要を減退させ、生産活動を落とし、銅や亜鉛の需給が緩むことを想定し始めています。
豪州の資源準メジャ―などには、銅専業のところもあります。
たとえば準メジャー最大手のOZ Minerals(オズミネラルズ/ ASX:OZL)のチャートをみてみましょう。
LMEで銅価格が崩れているわりには動いていないようです。
とりあえずまだ株式市場にはあまり波及してきてません。
が、いずれ反応し始める場面が表れる可能性はあります。
株だけしかしない人も、動向には注意していった方が良いと思います。