記者殺害をめぐりトランプ政権がサウジに制裁措置を発動へ~軍需関連企業の株価が急落中~
ジャマル・カショギ記者殺害事件をめぐり、トランプ政権がサウジアラビアに対して複数の異なる制裁措置を検討中と、サラ・サンダース報道官が述べています。
Trump Weighing Options in Response to Khashoggi Killing: White House
なお、ジャマル・カショギ氏殺害事件のあらましについてはこちらに書いていますので、よろしければごらんください。
サウジ出身の反体制記者ジャマル・カショギ氏がサウジ領事館内で殺害された可能性
この報道を受けて、国防資本財銘柄の下げ足が速まっています。
右下の、Aerospace/Defense Products & Servicesという部分です。
ボーイングBAは6.59%安
ロッキードマーチン6.03%安
レイセオン4.83%安
L3テクノロジーズ 8.83%安
など軒並み安。
なお、サウジは米国の兵器輸出先としては最大の国で、しかも世界の兵器輸入国でもトップです。
すでに米国によるサウジ制裁措置の導入は可能性としてありうると思われていましたから事前に調整してきてはいましたが、ここにきて本格的な動きとなってきたことで、市場全体に比べてもキツい下げとなって表れてきています。
なお、これに対してサウジ側が何らかの対抗策をとるのではないか?とみる向きもあるでしょうが、それはなさそうに思います。
すでにムハンマド皇太子の統治能力にはかげりが出ているようにみえ、それは原油を武器にしたネゴシエートをしてこないことから見てもよくわかります。
ムハンマド皇太子は非常に横暴なやり方で、カナダに対して逆制裁措置をかけたことがありますが、今回、そういった動きは一切見えていません。
それどころか、原油の増産をしたりするなど、事件後のサウジの動きはむしろ、アメリカに媚びを売るような態度に転じています。
アメリカの本気のムカツキを前にして、サウジ側としてはどうにか穏便に事をおさめたい・・・ということだと思います。
サウジマネーが引き上げることによる世界経済の不安定化というのはカショギ氏殺害の報を受けた直後に頭をよぎりましたが、そういった動きは考えなくて大丈夫そうに思います。
米議会上院外交委員会の連中の発言をみていると思いますが、どうも米国の議員たちは、今回の件を受けてますますムハンマド皇太子のことを嫌いになっているように見えます(そりゃそうだよね)
以前も書きましたが、サウジに対しては議会は基本的に一貫して批判的です。
これを時の政権がどうにか丸くおさめてきたのが、これまでの経緯です。
今回、その箍が外れたなぁ・・・と感じます。
日本ではカショギ氏殺害事件に関しての報道がほとんどなくなりましたが、アメリカでは議会がまったく黙る気配も見せず、ひたすら制裁措置を求めています。
ムハンマド皇太子が次期国王になったら悲惨なことになる。イエメン内戦への介入どころか中東が火の海になるんじゃないか。そんな懸念がみえてきます。こんな人物の統治する国に武器弾薬を渡すなんて将来に禍根を残すことになる。絶対反対・・・みたいな感じにみえます。(自分の主観的意見です)
とりあえず、サウジ問題は国防資本財関連だけに影響が留まるのではないか、と思います。
また、国防資本財関連にしても、ムハンマド皇太子の交代などがあればまた回復するでしょう。
むしろ、輸出再開を目指してムハンマド皇太子の廃位を強く迫る展開もありえます。
とりあえず、制裁の中身がみえて、それに議会がどう反応するか。
非常に注目すべきだと思います。