WSJの調査結果から振り返る米中間選挙~今後、共和党勢力は人口動態からみると徐々にフェイドアウトか?
WSJが2018年米中間選挙の投票行動を投票者属性別にグラフ化してくれています。
How We Voted in the 2018 Midterms WSJ
こまかいデータはリンク先を見ていただくとして
簡単に重要なポイントを要約しておきますと・・・
- 年齢別にみると、共和党支持は高齢者に偏る。若者は民主党支持が多い。
- 人種的にみると、共和党支持は白人に偏る。ヒスパニック、黒人、アジア人などは多くが民主党支持。
- 居住地別にみると、共和党支持は田舎に偏る。都会は民主党、都市郊外も民主党が強い。
もちろん、性別による違いもあります(共和党は男性、民主党は女性)し、学歴による違いもあります(共和党は低学歴、民主党は高学歴)が、それらは今回自分が書きたい人口動態との絡みからするとあまり関係がないのでパス。
とりあえず、上記にまとめた内容からいえることは
人口動態的に共和党の影響力はどんどん落ちる一方なのではないか?
ということ。
アメリカでは、ヒスパニックなど非白人人種がどんどん増えており、今世紀中にはヒスパニックが最大の人種になるとまで言われています。
この状況で、共和党はヒスパニック票を確保できていません。
民主党はオバマを大統領にしたことで黒人票をガッチリ抱えています。
こうした候補者を共和党は用意できていません。
もっというと、共和党支持層は田舎に寄り過ぎています。
アメリカでも地方、田舎から都市郊外への人口動態は継続して起きています。
全国の人口増加率と大都市圏の増加率をみると、1900年以降、10年刻みでみてどの年代でも都市人口増加率の方が全国人口増加率より高い。
今後もこの傾向が続くなら、都市に強い政党の方が優勢になるはずです。つまり民主党です。
年齢別にみても、若者は民主党、年寄りが共和党というふうに別れています。
いわずもがな、次の世代を担うのは若者ですから、ここを取り込めていないのは共和党にとっては痛いと思います。
とりあえず、現状においては共和党の方が強い。
しかし、将来的には民主党の方が支持を集めそうです。
人口動態的には民主党の方が優勢~共和党側の対策は?
ここからは私見になります。
人口動態的には民主党の方が圧倒的に優勢なのはわかります。
であれば、共和党はどういった戦術をとってこれに対抗するでしょうか?
まずひとつ、有色人種出身の大統領候補を探すことが必要でしょう。できればヒスパニック系で。
また、同時に田舎の白人の増加を促し、逆に移民の流入を抑制する政策も必要でしょう。
しかし上記2つを両立することはなかなかに難しい。
移民排斥を訴えながら、移民出身の大統領候補を立てるというのは感覚的に難しいと思います。
ここを上手く折合わせるために、共和党は中絶廃止を強く訴えるのでは?という人もいます。
ヒスパニック系は熱心なクリスチャンが多いですから、中絶問題に関しては断固とした姿勢が支持される傾向があります。
しかし、最初のリンク先を見てもらえればわかりますが、「もっとも関心のある事項」に中絶問題を選んだ人は全体の2%にすぎません。
一番はヘルスケア問題26%ですが、2番目が移民問題23%です。これに比べて中絶は2%ですから、あまりにも小さい扱いです。
ここを争点に持ち込むのは、かなり難しいのではないかと個人的には思います。
中国を仮想敵国と置くことで共和党の求心力を向上させる作戦も難しいと思います。
Foreign PolicyをMost Important Issueに選んだのは5%に過ぎず、景気やヘルスケア、移民問題への関心とは桁が違います。
経済関係のネタに興味のある人は中国とか関心があるんでしょうが、アメリカ人は実際そこまでよくわかってないのが現実じゃないでしょうか。
そもそも、民主党も含めて超党派で中国に対して圧力を強めてますから、争点にならない可能性が高いです。
というわけで、個人的には共和党がここから何十年先、どうやって勢力を維持していくのかよくわかりません。
トランプ大統領はこういった状況下でうまく立ち回っています。
むしろ、トランプ大統領以外がこの状況にあったら、ここまで勢力を維持できなかったのではないか、と感じます。
なんだかんだで、彼は凄い大統領だと思います。
以上。