【5G需要予測】通信大手エリクソン、第5世代移動通信(5G)設備投資拡大を受け2020年の売上高目標を引き上げへ
スウェーデンの通信機器大手エリクソンがCapital Markets Day 2018を開催。
この中で世界の通信各社による第5世代移動通信/5G網への設備投資が予想よりも早く拡大し始めているとして、2020年の業績を上方修正しています。
Ericsson Capital Markets Day 2018
2020年の売上をこれまでの見通し190~200→210~220へと上昇修正。
おなじく2022年の売り上げを190~200→210~220へと上方修正しています。
(エリクソン資料より)
2019年からは複数都市で試験的に5Gが商業利用開始されますが、北米事業者、東アジア(中国を除く)、欧州などのほとんどは、既存のLTE網との互換性を持たせるためにNSA-NRになる予定です。
NSA・・・Non-StandAlone、ノンスタンドアロン
SA・・・StandAlone、スタンドアロン
ざっくり言ってしまうと、NSAは既存システムとの連携のため、本来の低遅延などの要素が犠牲になったもの、
SA(スタンドアロン)は既存システムとの互換性を無視して、URLLC(超高信頼低遅延通信)を実現したもの、という感じです。
中国は既存LTE網と互換性を持たせない、スタンドアロン型の5G網を構築する予定です。
もしこれが実現すると、5Gの本来の能力である超低遅延性をフルに利用できる試験環境が中国の都市に実現してしまいます。
この超低遅延性が実現すると、例えばゲームにしても通常アプリにしても、新しいサービスの実験場がすべて中国発になりかねません。
5G網を利用したコネクテッドビークルの特許なんかを、すべて中国が抑えてしまう可能性が高まります。
URLLCを利用した遠隔医療や協調型ロボットの開発などのアイデアはすべて中国から始まる可能性すら出てきています。
(エリクソン資料より)
この資料からすると、中国がスタンドアロン型5Gのテストトライアルを始めるのはあと数か月以内のはず。
19年2Qあたりからは商業化準備フェーズ、19年Q4からは本格的にスタンドアロン型で商業化フェーズの予定です。
こうした方向性を実現するために、中国は昨年のうちに大手通信の一角でやや業績が芳しくなかったチャイナユニコムの増資をテンセントなどに任せたりしています。
こういった中国の5G戦略に対して、現在進んでいる計画では、日本もアメリカも2022年ころからスタンドアロン型へ移行できるかどうか、というところです。
既存のシステムを捨てきれないため仕方ないのですが、これはかなり致命的な結果になるのではないか、と感じます。
なお、エリクソンはモバイル通信データ量は2018年~2023年までの間に5倍、無線IoT接続は4倍程度に増えると予想しています。
現在、世界経済は徐々に徐々に減速感を強め、下手をしたら腰を折られかねない状況になってきています。
しかし仮に深刻な景気後退が起きたにせよ、5G分野に対しては各国ともに予算を減らすはずがない、と思います。
もしこの分野で遅れたなら、その後10年以上にわたりオンラインプラットフォームを譲り渡すに等しいわけです。
よほどトップがバカじゃない限りこの分野の投資は絞らないでしょう。
その意味で、もし大きく総崩れするような時があれば、そのときは絶好の買い場だと思います。
以上です。