RIZAP(ライザップ)の松本晃代表取締役、内部対立の犠牲になり最高執行責任者COO職を外れる
RIZAP(ライザップ)の松本晃代表取締役が実質降格人事の憂き目にあっていたようです
やはりこうなったか・・・といった感があります。
自分はライザップの経営をそんなにしょっちゅう見ていませんでしたので気づきませんでしたが、どうやらいろいろゴタゴタしていたとのこと。
松本晃(まつもとあきら)氏とは?
松本晃(まつもとあきら)氏は京都大学大学院を卒業後、伊藤忠商事、J&Jメディカルなどを経て2009年にカルビーの会長兼CEOに就任。
カルビーの経営を任された9年のあいだに、松本晃氏は同社の売上高を約2倍、営業利益を約5倍に引き上げた、プロ経営者として有名です。
松本晃氏はこの才能を買われ、RIZAP(ライザップ)の瀬戸健社長兼CEOに招聘され、COO(最高執行責任者)として6月から同社の経営に携わっていました。
そうしたなかでの、電撃的なCOO職解任です。
この理由について、日経ビジネスは以下のように伝えています。
つまるところ、取締役会内部で成長の方向性について揉めていたとのこと。
そしてその、揉める原点となっていが理由が
「負ののれんと割安購入益を利用した利益かさ上げ手法」に対する松本晃代表取締役とその他取締役連中との考えの違い
だったとのことです。
以前も書きましたが、ライザップ(RIZAP)の成長の源泉は、負ののれんと割安購入権です。(読んでいただければ、意味が分かると思います。)
関連記事:ライザップ(RIZAP)の業績をみてみよう~負ののれんと割安購入益~
これに松本晃代表取締役はストップをかけようとしたことが、対立の原因と日経ビジネスには書かれています。
個人的な意見を言わせていただけるなら、
松本晃代表取締役は至極まっとうなことを言っている
・・・と思います。
というか、割安購入益や負ののれんで嵩上げした利益とか意味ありません。
一過性ですし、キャッシュフローにまったくポジティブじゃない。
むしろ、止血をしないと次の年、また次の年とキャッシュアウトしていきますから、業績悪化リスクを抱えることになります。
こんなもの、松本晃代表取締役でなくてもやめさせようと思うのが当然です。
しかし、ライザップ(RIZAP)社内には、割安購入益と負ののれんに頼った利益水増し成長をしたがっている向きもあるらしい・・・
それはなぜか?
簡単に言ってしまえば、水増しした利益をもとに増資したいからでしょう。
馬鹿で無知な株主は最終利益の中身なんてまともに理解しませんから、たとえそれが負ののれんや割安購入益で嵩上げされたものだとしても、割安だと思って買ってくれます。
新株を発行しても、そういった無知蒙昧な連中なら買ってくれる・・・
それを期待して、最終利益のかさ上げをするわけです。
別に非合法なことをしているわけじゃありません。
ただ、会計を理解しない株主をあざ笑うかのような行為にみえますし、道義的にどうかとは思いますが・・・
松本晃代表取締役が負ののれんや割安購入益に否定的なのは当然
松本晃代表取締役の経営手法は、基本的に止血できるところは止血して、できないところは切り離す、そういうやり方です。
松本晃代表取締役は優秀な経営者ですから、ライザップのなかでも伸ばせそうなところと、ダメそうなところと、すぐに色々見つけたのだと思います。
で、切り離すには当然赤字をドスンと出す必要がある。
肉体改造できなかった、あきらめた、という状態です。ちゃんと減損しましょうということ。
そこらへんに「結果にコミットする」を身上とする一部の役員が納得しなかった可能性は十分に考えられます。
とりあえず、こうした場合にを松本晃代表取締役を守らなければならないのは、招聘したオーナー自体なわけですが。
オーナーである瀬戸健氏も取締役同士なので、なかなか纏まれない部分があるのでしょう。
ボードと経営がわかれていればいいのでしょうが、日本ではなかなか理解されていない、それが今回の松本晃代表取締役の降格人事の原因なのではないか?と感じます。
とりあえず、松本晃代表取締役のようなプロ経営者を生かすためには、会長職とCEO職をきっちりわけるような統治形態が必要だと思います。
日本はまだまだそこらへんの意味が理解されていないように思います。
自分は別に、松本晃代表取締役の能力が特別高いと評価しているわけではありません。
彼は、当たり前のことを当たり前にやっているだけにみえます。
が、それだけでもこんなに軋轢が生まれてしまう・・・
非常に難しいんだなぁと感じます。
今回の事案はすべてのプロ経営者市場の現場で言えることだと思います。
機構改革がなされないままでは、経営人材をいくら育てても無駄。
そこらへん、多くの人に気づいてほしいと思います。
以上です。