イタリアのジャンカルロ・ジョルゲッティ官房長官、銀行株の空売り禁止を提案~国債価格下落で信用不安拡大か~
イタリアのコンテ政権を構成する極右政党「同盟」のジャンカルロ・ジョルゲッティ氏(官房長官)が、イタリア国債の下落に悩む同国銀行株の空売り禁止を提案しています。
Italy cabinet secretary suggests ban on shorting bank stocks
この背景には、ここもとのEU・イタリア政府間の財政規律をめぐる争いと、そのことによるイタリア国債の下落傾向が影響しています。
ジャンカルロ・ジョルゲッティ氏は空売り筋を批判するが、背景にはイタリア国債安がある
イタリア国債の価値が下落すれば、イタリア国債を大量に保有するイタリアの銀行の財務が実質的に悪化し(帳簿上では自国国債を保有しているので問題はないのですが)、調達金利上昇によって銀行経営がなりたたなくなるのではないか、という懸念が市場に広がっています。
イタリア債務危機ふたたび~ジュゼッペ・コンテ内閣の放漫財政を受けイタリア国債価格急落
ドイツ10年債利回りvsイタリア10年債利回り
これを受けて、イタリアの銀行株が軒並み安となっている状況です。
(というか欧州の銀行株全体が軒並み安になっています。)
ジャンカルロ・ジョルゲッティ氏はこれを空売り筋のせいだとして非難。
今回、銀行株の空売り規制を言い出しました。
しかし、上記の通り、これはお門違いです。
今の銀行株安は、イタリアのコンテ政権の方針に不安を抱いているからにすぎない。
そのことを全く顧みずにジャンカルロ・ジョルゲッティ官房長官は空売り規制を叫ぶ。
もともとスポーツ相とかをされていた方のようですが、なんともまぁ・・・。
とりあえず、イタリア証券取引委員会CONSOBはこういった規制に反対のようです。
ジャンカルロ・ジョルゲッティ氏はイタリアのコンテ連立政権を支える極右政党「同盟」の幹部であり、強硬なEU離脱論者
ジャンカルロ・ジョルゲッティ氏は極右政党「同盟」の幹部であり、同盟はイタリア・ポー河流域の豊かな地域のみを独立させようという北部同盟を基礎においた政党です。
もともとはイタリアからの独立をうたっていましたが、今回はEUからの独立を訴えています。
この政党のイデオロギーは上記の通り、昔からちょっと過激なところがありましたが、いままでは主要政党になりえなかったので問題ありませんでした。
いま、イタリアの政権をとったことで(そして欧州議会選でもそれなりに獲得しそうなことで)、極端な政策が実現する余地が生まれてしまっています。
今のところは左派系の五つ星運動とも連立を組んでいますが、もとより独立心の強い政党である「同盟」が、ずっとこの連立政権を維持できるとは思われていません。
そのうち解散総選挙になるだろうと言われています。
イタリア、来年3月にも解散総選挙か?~同盟と五つ星の対立収まらず~
また、同盟は欧州議会選にも期待しており、ここでEUの枠組みを変えることで、イタリアの財政規律が許される余地を作ろうと考えています。
イタリアの同盟はかなり強気です。折れる様子がみえません。
この問題は、相当続くように思います。
いつまで市場がストレスに耐えられるか。
もしくはストレスに慣れるか。
個人的には、いろいろと不安しかありません。
以上です。