ゼネラルモーターズ/GMが大リストラへ~電気自動車の普及が影響?
ゼネラルモーターズ/GMが電気自動車時代に備え、従業員の15%を削減する大リストラへ
既に報道にあるように、ゼネラルモーターズ/GMが大リストラに踏み切るとのことです。
具体的には
- アメリカのミシガン、オハイオと、カナダのオンタリオ州にある5つの工場を廃止
- 全従業員の15%を削減
- 管理職の25%削減
- シボレー・ボルト、シボレー・クルーズ、キャデラックCT6などを廃止
これにより、FCFを60億ドル増加させることが目標とのことです。
なお、このためのリストラコストとして、ゼネラルモーターズ/GMは38億ドルを用意するとのことです。
今回のゼネラルモーターズ/GMの大リストラの背景に、テスラなどEV/電気自動車メーカーの黒字化の影
今回のゼネラルモーターズ/GMの大リストラの発表がなぜ今でてきたのか。
個人的にはそれは、ひとつには米中間選挙をすぎてから出すことで、一応トランプ大統領のメンツを立てたかった、というのがあると思います。
しかし、より根本的な部分としては、自動車が電気自動車・EV化していくなかで、よりコンポーネント化し、組み立ての自動化が進みつつあることが理由ではないか?
という気がしています。
先日発表されたテスラモーターズの決算では、意外にもモデル3(大衆向けに安く販売される電気自動車)が黒字化しました。
これには多くのアナリストが驚きましたが、その背景には、生産管理のコストが大幅に減ってきていることがあるようです。
電気自動車EV生産の現場でどんどん進むモジュール化の流れ
以前から言われているとおり、自動車が内燃機関で動くものから電気自動車で動くものに変わっていくと、部品点数が大幅に削減されることになる・・・と言われれ来ました。
よりいっそうモジュール化の流れが進み、ようするにラジコンカーのような構造に行きつく、とみられてきました。
イーロン・マスクCEOにいわせると、
「携帯電話だって出たころはデカかったけど、今じゃ小さいだろ」
「EVも携帯電話やスマホみたいに、そのうち人間じゃなくてロボットが全部作るようになる。そしたらもっと小さくて、高性能なものが安く提供できるはずだ」
そんな感じのことを以前なんだったかの動画で話していました。(ソース失念)
市場は電気自動車/EVの未来に懐疑的だった
しかしいっぽうで、
「現実的には、自動車生産はそんな単純なものでなく、さまざまな生産工程の管理にコストがかかるものだ」
「ほらみろ、テスラは赤字じゃないか。モジュール化、組み立て工程の自動化なんてうまくいかない」
「自動車は高くてもしかたない。」
という声もありました。
これが全部吹き飛んだのがテスラの前回の四半期決算だったと思います。
テスラの以前から、中国では電気自動車メーカーが黒字化
しかしこの流れは十分予想されていたことなのではないか、と個人的には(自戒もこめて)思います。
自分もさすがに、こんなに早く黒字化するとはみておらず、きっと生産管理に恐ろしいコストがかかって、テスラは下手したら倒産するのではないか、と見ていました。
しかし、あけてみれば、テスラの決算は黒字でした。
考えてみれば、テスラの前から、中国のEVメーカーは利益を出しているんです。
たとえばBYDとかそういった企業は、そんなに高級なものでなく、大衆向けのEVで利益を出しています。
たしかに補助金に頼っている部分もありますが、補助金なしでも、研究開発費などを減らせばたぶん黒字化できます。
また、品質が悪いから黒字化できる、と思う人もいるでしょうが、中国以外の国でも売れていますので、品質面でそこまで酷いというわけではないのではないか、と思います。
ある程度、生産工程の管理自体は進展してきている・・・というのが現実なのではないかと思います。
日本の自動車メーカーも電気自動車時代にあわせ、本格的にリストラが必要になる可能性
今後、日本の自動車メーカーも本格的にリストラが必要になる可能性があると思います。
下手をすると、日本製スマホがこの10年で消えたのと同じように、日本車が消えていく可能性すらありえます。
さすがに10年ではないでしょうが、20年もあればわかりません。
いまは、その大変革の時代の幕開けに位置しているのではないか、と感じます。
既にマーケットは、自動車メーカーのPERを一けた台後半が妥当水準として取引しており、これは将来の下振れリスクを考慮に入れた水準だと思われます。
時代は変化してきています。
この流れのなかで内紛をやっている日産自動車の経営陣は、本当に愚かだと思います。
以上です。