中国が環境規制強化策を一時棚上げ~景気下支え狙う~

中国が環境規制強化策を一時棚上げ~景気下支え狙う~

 

 

中国が環境規制強化策を停止

中国が景気下支えを目的に、環境規制強化策を停止しているとのことです。

昨年は石炭の使用を厳格に制限することで大気汚染解消につなげた中国でしたが、その一方で天然ガスが足りずに工業生産が急低下。

天然ガス用暖房設備や調理設備が行き届いていない農村部では、暖房もできずに授業をしたり、違法を覚悟でより効率の悪い設備で調理する例なども報道されたりと混乱が拡大。

今年はこういった状況にならぬよう、環境規制強化策は緩めているとのことです。

中国、工場一斉休業見直し  環境保護より景気優先 規制緩和、大気汚染深刻に  2018/12/4付日本経済新聞 朝刊

 

しかし、その一方で大気汚染は昨年に比べ悪化。

風向きなどの影響もあるため単純比較はできませんが、北京市のPM2.5の濃度は1.5倍以上増加しているとのことです。

 

中国の環境規制緩和は予想通り

中国の環境規制が緩和されるのではないか、という予測は当ブログの以下の記事でもしています。2018年8月10日の記事です。

中国貿易統計~米国以外への貿易収支が赤字に転じた件について

最終的には人民元安を極端に進めるとか、環境規制を一旦棚上げして再度輸出主導の経済に戻ろうとすれば、何とかなると思います。

 

と書きましたが、まさに中国政府はこの方針をしている段階です。

現状においては、中国政府は人民元安を極端に進める政策はとっていませんが、もし輸出競争力が為替の影響で伸びないような状況になれば、有無をいわさずに元の下支え策をやめると思われます。

一時的にはキャピタルフライト的な動きは出るでしょうが、輸出競争力はまちがいなくつくはずです。

 

 

ここ一年の中国経済悪化の要因は、ほぼ国内問題

思うに、ここ一年の中国国内の経済減速の大きな要因は、中国自体に原因があったように思います。

  1. 昨年暮れからのデレバレッジ路線
  2. 環境面における規制強化の流れ
  3. ゲーム産業や教育産業などに対する指導強化による投資家の萎縮

などがその三つになります。

1は既に解消され、2は今回撤廃の方向です

問題は3です。これがどうなるか。

 

個人的には、この3が解消されたら、楽に中国経済は回復していくと思います。

米中の貿易戦争はもちろん懸念材料ですが、貿易額をみるかぎり、まだその直接的な影響は出ていません。

その環境で悪化しているというのは、国内政策にもんだいがあったとみるのが妥当でしょう。

とりあえず、テンセントなどに対する政府側の態度が変化するかどうか、そこを慎重に見ていく必要があるとおもいます。以上です。