【6702】富士通の業績と株価~海外事業がヤバいくらいに低収益
今回は構造改革の真っただ中にある国内ITサービス大手、富士通の業績と株価をみていきます。
とりあえず、富士通の会社説明からはじめます。
富士通とは?
富士通は日本のITサービス、インフラ構築の大手企業です。
おもに官公需や大手通信・大手電力各社などへの設備納入に強い富士通でしたが、このところカルテル・独禁法違反で何度も摘発されており、いままで不正な手段で稼いできた可能性が懸念されています。
富士通の沿革
古河電工とシーメンスが富士電機製造(現在の富士電機)を設立
富士電機製造の電話・通信事業部門を分社化したものが富士通になります。
富士通と半導体事業
富士通はかつて、非常に有力な半導体企業でした。
世界初の64kb DRAM、世界初のCMOS 256kb EPROM、世界初のガリウム砒素半導体量産などを実現
NECなどとともに日の丸半導体と言われた時期がありましたが、その後、富士通もNECも没落しました。
富士通とFM Towns
富士通はかつて、インテル80386とMS-DOSエクステンダベースのOSを積んだFM Towns(エフエムタウンズ)というパソコンを売っていました。
今から振り返るといろいろと先進的な部分もあったマシンでしたが、当時は国内ではNECのPC-98にシェアで圧倒され、その後はPC/AT互換機ブームのなか消え去っていきました。
富士通と名誉棄損訴訟
富士通と言えば名誉棄損訴訟を外して語るわけにはいきません。
2009年当時、富士通社長だった野副州旦(くにあき)元社長が突然退任。
この背景に、野副氏と反社会的勢力との繋がりを理由にした取締役二人の画策があったとして、野副氏が損害賠償請求。
また同時に、反社会的勢力と指摘されたサンドリンガム社側も二人の取締役を提訴するなどゴタゴタになりました。
野副氏の解任がほぼ密室で行われたことも暴露され、その当時の録音も提出されるなど、企業統治の根幹を揺るがす大問題となりました。
富士通の業績
ここからは富士通の業績を会社資料や決算資料を基に観ていきます。
(この記事は2018年12月10日に書きました)
富士通の2018年2Q決算の業績
富士通の2Q決算は減収増益でした。
しかしこの数字には若干イレギュラーな部分があります。
1Qに年金制度の変更影響とPC事業売却益があわせて約1000億ありまして、これを抜くと損益は赤字だった可能性があります。
可能性がありますというか、赤字でした、たぶん。
上記の「その他の損益」というのがそれです。
営業利益よりも多いでしょう?
つまり、イレギュラーな要因で嵩上げされているということです。
富士通2018年Q2セグメント別業績
こちらをみてわかるとおり、富士通の業績はどのセグメントも安定せず弱いです。
非常に弱いです。利益率が雀の涙です。
富士通の2018年Q2海外事業の業績
富士通の海外事業は赤字まみれです。
これを改革するためにEMEIAを中心にリストラを進めると発表していますが、なかなか具体的な数字になって表れてきません。
会社側の説明も歯切れが悪く、具体的な数字がないのでなんとも見通ししにくい状況です。
富士通とエリクソンが提携
この中間期決算にあわせ、富士通とエリクソンの提携が発表されています。
エリクソンのもつ5Gなど無線通信分野と、富士通の基幹網など固定通信ネットワーク技術などを合わせていくもようですが、具体的にどういった提携になるかはよくわかりませんし、業績に反映されるまでにも時間がかかるかもしれません。
ただ、5G網で競合するファーウェイの製品などが日本の三大キャリアからは排除されることになったようなので、そういう意味では富士通にも出番が少しは回ってくる可能性があります。
富士通の株価 2018年12月10日
富士通の株価はこんな感じで上下どちらにも振れそうな動き方をしています。
非常にダメな会社というレッテルは貼られまくっているので、もはや悪い方向への材料は大方織り込んでいるといえます。
ただ、ここまでガバナンスが酷い会社だと、何か突拍子もないことが出てくる可能性もあり、そこら辺がリスク視されている部分は大きいと思われます。
以上です。
とりあえず、上記はあくまでも個人的見解であり特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。
投資にあたっては自己責任で行うようおねがいいたします。