中国石油天然気集団CNPC、イランの『サウスパース・ガス田』への投資を中止
中国石油天然気集団CNPCがイランの『サウスパース・ガス田』への投資を停止
中国最大の国有石油会社であり、ペトロチャイナの親会社でもある中国石油天然気集団CNPCが、イラン『サウスパース・ガス田』への投資を停止したとロイターが伝えています。
CNPC suspends investment in Iran’s South Pars after US pressure …
中国石油天然気集団CNPCは米国との関係を考慮してイランの『サウスパース・ガス田』への投資を停止
今回、中国石油天然気集団CNPCが『サウスパース・ガス田』への投資を停止した背景には、現在進行中の米中貿易協議の影響が指摘されています。
米国は中国に対してイランとの取引を停止するように要求。
これを中国側が受け入れたものとのことです。
イランの『サウスパース・ガス田』とは?
ペルシャ湾岸に位置する『サウスパース・ガス田』は世界最大級のガス田とされ、その生産量は原油換算で日量40万バレルといわれています。
今回問題になっているのはSP11(サウスパース11鉱区)と呼ばれる鉱区で、もともとはフランスのトタルが契約していたもの。
一旦イラン制裁でトタルは撤退したのですが、その後イラン制裁措置が解除になったタイミングで再度イラン側と2015年に契約。
当時の契約は、トタルが50.1%、CNPCが30%、イラン国営石油会社NIOC傘下のペトロパルスが19.9%の権益となっていました。
その後、アメリカによるイラン制裁強化がまた始まり、それをうけて権益を手放し、トタル所有分もCNPCが手に入れて開発を継続していたという経緯があります。
事業規模は50億ドルに上るとのことですが、現在までにどの程度の投資が行われているのかはわかりません。
『サウスパース・ガス田』開発からの中国撤退はイラン側にとって痛い状況
『サウスパース・ガス田』開発はイランの国内での天然ガス利用も考慮に入れた開発でしたので、この開発から中国が手を引くのはイラン側としては非常に痛い状況です。
イランはカスピ海での国境線締結によりガス開発を行い、ゆくゆくはトルクメニスタンなどのパイプラインで中国などへ売り込むことも考えていたもようですが、そういった計画も瓦解します。
中国は対米貿易を再開させたい一心でイランとの取引を全面的に切っていく覚悟なのでしょうが、イランにとっては非常に痛い状況です。
とりあえず、今回の一件で米国による対イラン包囲網が一段とキツくなったのは間違いありません。
今後イランが頼れるのはロシアくらいしかありませんが、ロシアとイランは対米では協力できますが、それ以外ではあまり利害が一致しない・・・
非常に難しい立場に追い込まれたな、という印象です。
と同時に、アメリカとしてはイランを封じ込めるためには中国とのディールを優先する他ないことも確か。
非常に難しい判断を各国に迫っています。
以上です。