『Cellebrite/セレブライト』に日本の警察がiPhoneロック解除を70万円で依頼~Grayshift社の『GrayKey』で価格下落

サン電子子会社『Cellebrite/セレブライト』に日本の警察がiPhoneロック解除を依頼か?~Grayshift社の『GrayKey』で価格下落

 

日本の警察が本人の承諾なくiPhoneのロックを解除していたのではないか、と東京新聞が報じています。

通信の秘密を定める日本国憲法に反する行為を行政組織である警察が破る行為に対して、国内でも議論を呼ぶ可能性が指摘されています。

 

サン電子子会社『Cellebrite/セレブライト』によるiPhoneパスワードクラッキング

iPhoneはかねてより国家権力による通信の秘密の傍受などに反対しており、捜査時にバックドアから端末内の情報をみることができないようにしてきましたが、これを総当たり式のパスワードクラッキングで解除する方法をサン電子のイスラエル子会社『Cellebrite/セレブライト』などが開発。

今回利用されたのもこの技術であるとされ、日本の捜査当局は報酬として一回あたり70万円程度を支払っていたということです。

 

 

iPhoneパスワードハッキング『Cellebrite/セレブライト』とGrayshift社の『GrayKey』

iPhoneのパスワードクラッキングに関しては、iOS11までに対応するシステムとして、上述の『Cellebrite/セレブライト』のクラッキングシステムと、Grayshift社のGrayKeyシステムが有名です。

具体的な仕組みは詳しくないのでよくわかりませんが、どちらも総当たり方式をとっているといわれており、古典的な解除手法に頼っていると思われます。

なお、こうした総当たり方式はiOS12では利用できないようにされているとのこと。

 

Grayshift社の『GrayKey』のおかげで、『Cellebrite/セレブライト』の技術提供価格は143分の1に?

今回の報道でじみに重要なのは、『Cellebrite/セレブライト』の技術提供価格です。

一件当たり70万円という価格は、以前、FBIに『Cellebrite/セレブライト』が協力した時の価格1億円超から見ると143分の1程度です。

この価格下落を促したのが、GrayShift社のGrayKeyのおかげだと思います。

Grayshift社のGrayKeyは300台まで1万5000ドルで解除すると言われており、これが『Cellebrite/セレブライト』の技術提供価格の下押し圧力になったと思われます。

 

 

 

『Cellebrite/セレブライト』の技術が利用された事件とは?

報道によると、『Cellebrite/セレブライト』の技術が利用されたのは2017年、福岡県小郡市で起きた女性と子供二人の殺害事件。

殺人罪で逮捕された元警察官の夫が起訴された事件で、夫は殺人を否認。

被害女性のiPhoneの捜査記録を分析するために使用されたとのことで、この分析結果により、女性が無理心中のために子供を殺したわけではないことが判明。

元警察官の夫を起訴することになったとのことです。

 

また女性の遺体を切断、遺棄した米国籍の男に懲役8年を言い渡した事件で、iPhoneと韓国製ギャラクシーを解除。

遺体を隠した方法や解体した方法などを調べた検索履歴を突き止めたほか、複数の女性との性行為の動画も確認したとのことです。(産経新聞2019年2月3日)

 

 

『Cellebrite/セレブライト』の技術は憲法違反?通信の秘密の保護に抵触?

こうした『Cellebrite/セレブライト』を用いた捜査手法に対しては、憲法違反なのではないか、との声が上がっています。

通信の秘密の保護に反する行為を行政府である警察組織が行うことは、国家による国民の管理監視を推し進めることに繋がるのではないかという懸念が出ています。

こうした意見に対し、通信の秘密にたとえ抵触したとしても、国家権力の増大につながったとしても、それで国民が安定して生活できるならいいじゃないか、という意見もあります。

 

とりあえず、程度の差こそあれ、日本も中国と同じような監視社会に向かっているということかと思われます。

こうした傾向に対して、個人的な意見は無意味だと思います。

世界はどんどん監視社会に向かい、一部の管理者に都合のいい世界が作り上げられようとしています。

諦めるしかありません。

以上。