【統計】1960年~世界のGDPシェア・比率の推移・変遷~米国の覇権の終わり

【統計】1960年からの世界のGDPシェア・比率の変遷

 

 

 

1960年の世界のシェア・比率

 

1990年の世界のGDP比率・比率

 

2005年の世界のGDP・比率

 

2017年の世界のGDP比率・比率

 

世界のGDPに占める米国の比率

 

 

世界のGDPに占める米国の比率は、うねりを伴いつつ、トレンドとしては低下

第二次世界大戦後、西側陣営を束ね、世界の警察として君臨し、世界に(アメリカ型の)民主主義をばら撒いてきたアメリカ。

それを実現できたのも、アメリカ(とその同盟国、イデオロギーを共有する国々)が世界の中で特別大きなGDPを占める国だったからです。

GDPの大きさは、つまるところ生産力の大きさであり、消費力の大きさでもあります。

アメリカがくしゃみをしたら日本は風邪をひく、と自分が子供の頃はよく言われましたが、それはつまりアメリカの消費力のおかげで日本の製造業がなりたっていたからにほかなりません。

アメリカで商売することが、イコール世界で商売することと等しい時代が長く続きました。

 

 

世界のGDPに占める米国の比率低下~2050年には10%台前半へ

しかし、今この支配が揺らいでいます。

すでにアメリカのGDPが世界のGDPに占める比率は20%前半でしかありません。

またIMFの試算によれば、このままの調子でいくと2030年になる前にアメリカのGDPは中国に抜かれると言われています。(PPPベースでは既に抜かれているかも。)

PwCなどの予測によれば2050年までの長期スパンでみると、アメリカは世界のGDPの10%台前半まで影響力が低下すると言われています。

 

 

 

米国のGDP比率低下で中国が覇権をとる?

これからは、中国、インドの時代だと言われています。

個人的にはインドはないな、と思うのですが、とりあえず中国に関して話しておきましょう。

2019年現在、中国の台頭を懸念する声が広がっています。

「中国がアメリカに代わって覇権をとる」といった言説も流れています。

アメリカ国内でも、こうした中国の覇権主義を警戒する声が増えているようです。

でも本当にそんなことって起きるんでしょうか?

 

個人的には、そういった論調には懐疑的です。

各種大手の調査団体などが予測する数字でも世界のGDPに占める中国のシェアは長期的に20%弱程度です。

アメリカが覇権国から落ちて10%台前半に落ちたとしても、中国が覇権国になるわけではなく、多様な勢力が併存するような状況になるのではないか、と個人的には考えています。

 

 

米国のGDPシェア低下からみれば、トランプ大統領の世界各地からの撤退判断は英断

米国のGDPが世界のGDPに占めるシェアは上記のとおり低下傾向です。

将来的にも大きく落ち込むと予想されています。

そうした状況で、無理に覇権を競い合えば国力を落とすことになります。

もはや、米国が世界の警察として君臨することは現実的ではありません。

2019年現在、トランプ大統領はシリアやアフガニスタン、そしてさらには韓国やNATO地域からも撤退するのではないかと言われています。

こうしたトランプ大統領の方針に対し、

「そんなことをしたら地域の安定が崩れてしまう」

といった声がよく聞かれます。

しかし、すでにアメリカは世界に展開する意義もなければ、力もないんです。

現実的に見て、アメリカは世界のなかのひとつの大国になるしかなく、超大国として世界をリードしていく立場から降りるのはごくごく自然なことといえます。

 

 

米国のGDP比率低下で覇権国のない世界へ~イアン・ブレマー氏の言うGゼロの世界

中国脅威論を叩く人が多いですが、まぁ、大丈夫です。

中国だって覇権国になれません。

むしろ、イアン・ブレマー氏のいうとおり、G7もG20も無意味化し、覇権国がまったくない、フラット化した「Gゼロな」世界になる可能性が高い。


「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか

 

各国が利己的になって競争に明け暮れるようになる可能性が高いと思います。

イデオロギー的にも、アメリカ的な価値観が世界を覆う時代ではなくなります。

かといって、中国的な価値観が世界を覆う時代でもない。

米国型の民主主義を受け入れる国と、中国型の全体主義国家と、中東型の絶対主義国家と、アフリカ型の部族社会を背景にした社団国家と・・・いろいろな国のいろいろなやり方が許容される社会になると思います。

 

 

米国のGDPシェア低下は、為替、債券、コモディティに影響大

とりあえず、米国の覇権が終わることは、長期的にみて為替、そして債券とコモディティに影響します。

端的に言えば、米国のドルと、ドルの安定を前提にしている債券が影響を受けます。

米ドルは、超長期的に見れば下落トレンドだと思います。

また、債券も同様に、いつかの時点で米国離れが起きるように思います。まだ大丈夫ですが。

商品価格にも影響するはずで、その代表的なものが金になるのではないかと考えています。

とりあえず、それらを書き出すとキリがないので今回はここまで。

以上です。