AirFrance KLM(エールフランスKLM)の決算・業績と株価
今回はフランスとオランダのナショナルフラッグキャリアであるAirFrance KLM(エールフランスKLM)についてみていきます。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)を巡っては、ここもとフランス政府とオランダ政府のあいだで揉めています。
その原因は、兎にも角にもAirFrance KLM(エールフランスKLM)の業績にあります。
とりあえず、まずはAirFrance KLM(エールフランスKLM)の事業内容などの解説からはじめましょう。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の事業内容
AirFrance KLM(エールフランスKLM)はフランスのエールフランスと、オランダのKLMオランダ航空の持ち株会社です。
どちらもナショナルフラッグキャリアですが、なかでもエールフランスはいわずと知れた世界的な航空会社で、ユーロ圏では1位、世界でも4位の規模を誇る企業です。
なお、保有機数ベースでいくと、エールフランスの方が3倍超、KLMオランダ航空よりも多く保有しており、かなり大きな規模の企業であることは確かです。
ただし、業績という点でいくとまったく別の景色がみえてきます。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の業績はKLMオランダ航空頼み
のちほど直近の業績解説でも書きますが、AirFrance KLM(エールフランスKLM)の業績は完全にKLMオランダ航空頼みとなっています。
エールフランスは労組の強さから高コスト体質が常態化しており、しょっちゅうストもおきることで利益を上げるのがやっとの状態です。
利益率でみるとKLMオランダ航空の方がエールフランスよりも数倍高く(のちほど具体的な数字を書きます)、KLMオランダ航空としては、合併したせいで利益を吸い上げられてしまっている・・・という状況になっています。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の出資比率
なお、AirFrance KLM(エールフランスKLM)は15年前に統合されましたが、この時にそれまで両社の株主だったフランス政府、オランダ政府の持ち株もそのまま統合比率で移行することになりました。
結果、AirFrance KLM(エールフランスKLM)の出資比率としては、14%がフランス政府、5.9%がオランダ政府となってきました。
ところが最近、この関係に大きな転機が訪れました。
オランダ政府が、ステルス的にAirFrance KLM(エールフランスKLM)の株式を買いましたのです。
これにより、オランダ政府の持ち株比率は13%に上昇。
この目的についてオランダ政府高官筋は、「KLMの戦略決定にパリが関与しすぎ。」とコメントしているとのこと。(Bloomberg)
つまり、日産ルノーの関係とおなじです。
フランス政府が国内企業の労働者の生活を守るために、他国の企業を植民地支配のように利用している、ということをオランダ政府はいいたいのでしょう。
まぁ、資本主義ってぶっちゃけそういうものですけどね。
とりあえず、オランダ政府はこの状況を打破するために、保護主義的との批判を受けながらも政府が株価購入に踏み切ったようです。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の2018年業績
というわけで、AirFrance KLM(エールフランスKLM)の業績をみてみましょう。
実際に見てみれば、オランダ政府のムカつきも納得できるかもしれません。
とりあえず、以下をごらんください。
https://twitter.com/chu_sotu/status/1101900639053873152
まぁ、一目瞭然ですね。
営業利益率比較で、エールフランスが1.7%、KLMオランダ航空が9.8%です。
営業利益もエールフランスよりKLMオランダ航空の方が4倍程度多い。
キャッシュフローの大きさはほぼ同じくらいですから、減価償却の影響もあるんでしょう。
雇用だけじゃなくて設備投資の問題も絡んできていそうです。
つまり、KLMで稼いだ額を裏付けにして、エールフランス側で設備投資しているという形。
オランダ政府としては怒りますわな。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の2018年Q4決算内容
https://twitter.com/chu_sotu/status/1101901032534114305
とりあえず、みるべきは人件費の高さ。
航空会社はどこも人件費が高いですが、これは特に高いですね。
ほとんど利益出ませんわ。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の2018年業績~財務面でも酷い
https://twitter.com/chu_sotu/status/1101901169780154370
AirFrance KLM(エールフランスKLM)はかような経営をしてきましたから、当然のように財務も傷み切っています。
過小資本にもほどがありますが。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)のガバナンス体制はごちゃごちゃ
とりあえず、そんなこんなでAirFrance KLM(エールフランスKLM)の経営にフランス政府の圧力が加わっているのでは?と感じたオランダ政府は対抗して株を買い進みました。
ただ、AirFrance KLM(エールフランスKLM)の上位株主はデルタ航空とか中国東方航空なんかもいます。
これらはアライアンスを組んでいますから、また別の意図で議決権を行使します。
非常に面倒臭いガバナンス状態となっています。
思うに、大株主であることを利用した便宜供与のようなものは、国際的に規制していくべき時なんじゃないかと思うんですがね。
AirFrance KLM(エールフランスKLM)の株価
とりあえず、直近やたら強い動きをしていたのは、オランダ政府による買い占めだったもようで。
個人的には、このままオランダ政府が買い続けるとも思えませんし、じきに株価は落ち着く可能性もあるかなとみてますが。
そんなこんなで、以上になります。
とりあえず、上記はあくまでも個人的見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。
投資においては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。
以上。