中卒が空気電池について軽く解説

中卒が空気電池について軽く解説

 

空気電池について軽く解説

さきほどFDKの企業分析ページを書いていたのですが、空気電池について説明しようとすると非常に多くの文字数が必要になるため、別途こちらに別記事として独立させることにしました。

とりあえず、中卒が書く程度の内容ですのであまり厳密なものを期待しないでください。

なるべく易しく書きますので、嘘とまではいかないまでも、ちょっと好い加減に端折る部分もあります。

そこらへんはご容赦ください。

とりあえず、まずは普通の電池から解説はじめます。




 

 

 

空気電池について語る前に、普通の電池について説明

ご存知の通り、電池ってのはイオン化傾向の異なる2つの物質と電解液の組み合わせで作られるものです。

イオン化傾向に関しては

「水溶液中における陽イオンのなりやすさ」

みたいなものだと思ってください。

それを順序つけて並べたのがイオン化傾向です。

 

りっちに貸すかな、まああてにすな、ひどすぎる借金

Li K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb H2 Cu Hg Ag Pt Au

 

なんてやりましたね。

  • 左のほうがイオン化傾向が大きい、右の方がイオン化傾向が小さい
  • 左の方が酸化されやすい、右の方が酸化されにくい(反応しにくい)
  • 左の方が電子を渡して、右の方が電子を受け取る

一般的な電池では、このイオン化傾向の違いで正極と負極が説明されますが、空気電池ではちょっと違います。

 

 

空気電池とは何ぞや?

空気電池ってのは、簡単に言ってしまえば、正極活物質を大気中の酸素で代用しよう、という電池になります。

一般的な電池では正極負極共に両方とも金属ですが、空気電池では正極活物質を酸素にしようというわけです。(これによって、より多くの負極をつめこむことができます。)

正極活物質っていうのは、正極でおこる還元反応にかかわる物質と覚えておけば大丈夫。

正極には正極活物質である酸素を取り込みやすくするために、表面積を増やした多孔質の空気極を利用します。

この空気極は撥水性を持たせる必要がありますし、内側の水性電解液を漏らさないような構造が必要です。

負極は、今まで通りイオン化傾向の大きな金属、たとえばリチウムなどを使います。

そして、負極側の有機電解液と、正極側の水性電解液のあいだには、負極側金属のイオンのみが通るようにした固体電解質のようなものが使われます。

これが、一般的な空気電池です。(以下はリチウムを負極に使った場合のものです。)

絵がわかりにくいかもしれませんが・・・

なお、ここで負極側の電解液と正極側の電解液が固体電解質で隔てられているのは、日本の産総研エネルギー技術研究所のグループによる発明だそうです。

こうしないと、空気極に酸化リチウムが析出してしまうのだそうで、それを防ぐための方法とのこと。

あたまいいですねぇ。

 

空気電池のメリット

空気電池のメリットは、何はともあれ正極材を酸素にできるので、ほぼ地球上ならどこでも手に入るということでしょう。

これによって電池内部で負極材の占める比率を大きくできます。

つまり、放電容量を大きく確保できることになる。

一般的なリチウムイオン電池に比べ、5倍以上、重量当たりの効率は向上するだろうとのことです。

つまり、軽さを求められるもの、とくにドローンみたいなものに向いています。

 

 

空気電池のデメリット

いっぽうで空気電池のデメリットとしては、

セラミック部が多すぎて、振動などの耐久性に難があること。

充電時には負極の金属がデンドライト成長をおこしやすい。実質的に充電しにくい。

空気極の性能にまだまだ改善の余地がありすぎる。(反応が遅すぎる)

などの問題があげられています。

 

 

空気電池の種類

空気電池は負極材にどんな金属を使うかで、いくつかの種類にわかれます。

  • 空気亜鉛電池
  • 空気鉄電池
  • 空気アルミニウム電池
  • 空気マグネシウム電池
  • リチウム・空気電池
  • 燃料電池

このうち、すでに空気亜鉛電池は実用化されていまして、たとえば補聴器などに使われているものがこれです。

あとは、アルミニウムやマグネシウム、鉄などは、理屈的には作れるはずなんでしょうが、まだ実用化はされていないと思います。

リチウム空気電池も、大型化、耐衝撃性能などの面でいろいろと課題をのこして、実際に利用には至っていません。

なお、燃料電池だけはやや実用化の面では一歩先んじています。

 

 

燃料電池も空気電池?

燃料電池も、考え方自体は空気電池だといえます。

つまり、負極活物質には吸蔵合金に蓄えられている水素を利用しているというだけで、正極活物質は酸素です。

空気極の構造が空気電池とはちょっと異なりますが、似たような考えで、作られています。

FDKが先日、水素を負極活物質に使った空気電池を作ると言っていましたが、あれはたぶん、燃料電池みたいなものじゃないかと思うんですが・・・ちがうかなぁ。

 

 

 

空気電池は未来にどんな利用され方をするか?

まぁそんなこんなで空気電池ですが、現在は空気亜鉛電池が補聴器に使われています。

そして、水素を負極に使ったものが2020年くらいからは実用化できるといわれています。

今後もいろいろな方法で利用されていくでしょうが、たぶん、構造からしてあまり衝撃の強くないところのみで利用されるのではないかと思っています。

一次電池として考えても、自動車には辛いものがあるんじゃないかと。

個人的には、NASやレドックスフロー電池の代わりになる、産業用バックアップ電源や、再エネ用バックアップ電源などに充電タイプのものは使われるんじゃないかとみています。

あとは、使い切りタイプのものは、軽さを活かしてドローンとかでしょうか。

とりあえず、そんなこんなで空気電池について中卒が偉そうに解説してみました。

以上になります。