カザフスタンのナザルバエフ大統領が退任へ~ウイグル族・カザフ族をめぐる対中関係の行方~

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カザフスタンのナザルバエフ大統領が退任へ~ウイグル族・カザフ族をめぐる対中関係の行方~

 

カザフスタンのナザルバエフ大統領が退任

ヌルスルタン・アビシュリ・ナザルバエフ大統領が3月20日付で退任すると報じられています。

ただし、国家指導者としての憲法上の地位には残り、治安組織のトップである国家安全保障会議の議長には留まるとのこと。

実質的な権力体制と影響力は維持しつつ、次世代に権力を移譲して行く方針を示しています。

後任人事は元老院のカシムジョマルト・トカエフ議長を暫定大統領とし、来年にも大統領選を行う意向のようです。

 

 

ナザルバエフ大統領の30年の治世~中国とロシアの等距離外交

ナザルバエフ大統領の30年の治世は、欧米からは当初、独裁体制として批判されてきました。

しかし、確かに独裁体制ではありましたが、かなりの安定と経済的発展を遂げてきたのは事実でしょう。

以下にカザフスタンのこれまでの一人当たりGDPの推移を載せましたが

【統計】カザフスタンの一人当たりGDP

1990年代に1000ドル台を推移していたカザフスタンの一人当たりGDPは1999年を境に10倍近く上昇、2013年には13890ドルをつけています。

非常に高い伸びを示しており、中央アジアの経済における優等生的な位置にあります。

これを実現したのがナザルバエフ大統領です。

かつてゴルバチョフ・ソ連書記長・大統領から副大統領への就任を打診されたほどのソ連とのつながりの深いナザルバエフ大統領でしたが、カザフスタンの大統領になってからは中国とロシアとの等距離外交につとめてきました。

むしろ、自身が中心になってユーラシア構想をつくり、それを旗印に中央アジアの結束を促すような方針で外交を展開してきました。

 

ナザルバエフ大統領が推進した対中エネルギー外交

ナザルバエフ大統領の統治した時代は、中国の発展の時代とも重なります。

中国ではこの期間、大量のエネルギーを必要とする状況になりました。

とくに2000年代初期には西気東輸といわれる、新疆など西部の天然ガスをパイプラインで東の発展地域に運んで利用しようという動きが盛んになります。

さらにはそのパイプラインに接続するかたちで、カザフと中国でパイプラインを敷設し(中央アジアパイプライン・The Central Asian Gas Pipeline)、カスピ海沿岸からの天然ガスを中国に販売できるようにしていきました。

このパイプラインによりトルクメニスタン、ウズベキスタンなどの天然ガス・石油も中国に販売できるようになりました。

地域の融合と安定への貢献という点でみても、ナザルバエフ大統領はかなり重要なことを成し遂げたと、自分は思っています。

まぁ、パナマ文書で資金洗浄疑惑が浮上したりなど、いかにも新興国の大統領らしい一面もみせてはいるんですけどね。

 

 

 

ナザルバエフ大統領の後継は、中国新疆ウイグル族・カザフ族関連で難しいかじ取りを迫られる可能性

ナザルバエフ大統領の後継となる大統領が誰なのか、まだわかりません。

ただひとつ言えることは、次のカザフスタン大統領は、対中関係で非常に難しいかじ取りを迫られそうだということです。

むしろ、今回早めにナザルバエフ大統領が退陣したのも、これが影響しているのではないかとみています。

ここもと、カザフスタン国内で中国のカザフ族、ウイグル族への弾圧への不満が高まっていると聞いています。

ご存知の通り、中国は新疆ウイグル自治区でウイグル人への迫害をつづけています。

街中に監視カメラが設置され、警備員が配置されているといいます。

しかしこの新疆ウイグル自治区によるトゥルク系イスラム教徒への迫害ですが、何もウイグル人だけに限ったものではありません。

カザフ族もまた、迫害されています。

両民族とも、カザフスタン国内に多く居住する人々です。

そもそも昔は国境など存在せず、山をあっちへこっちへと移動しており、定住してからも国境の向こうとこっちに親族が離れて生活している、なんていうのがザラとなっています。

カザフスタンに住んでいる一家の親せきが、中国国内で迫害されている・・・という情報が大量にカザフスタンに流れ込んでいるといいます。

こうしたことで、国民に対中政策をめぐる不満が高まりつつある、といわれています。

先日は、新疆ウイグル自治区の強制収容所からカザフ民族数十人が釈放され、カザフの親族のもとに追放される、、、というニュースがありました。

彼らは、たぶん中国国内の事情をあれこれ話すでしょう。

国民に不満が高まるかもしれません。

ナザルバエフ大統領はこんな時期に引退します。

自分は、この二つが無関係であるとは思えません。

経済的には中国との関係を密接にしたい。

けれど、国民感情は対中で悪化している・・・(と聞いています。)

いろいろと心労が増えているのではないかと思われます。

 

 

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とりあえず、今後のカザフスタンの行方には要注目です。

今すぐではありませんが、いずれことが動き出すかもしれません。

以上。