【9008】京王電鉄の業績・決算と株価~株主優待が人気だが、やや割高感漂う展開か?

【9008】京王電鉄の業績・決算と株価~株主優待が人気だが、やや割高感漂う展開か?

 

今回は、関東圏の大手私鉄、京王電鉄についてみていきます。

京王電鉄は公益事業である鉄道株、ディフェンシブ株として捉えられていますが、その実態は少し異なります。

実際には新宿の京王百貨店やスーパー事業などの流通業が売上ウェイトが一番高く、鉄道事業は2番目となっています。

まずはそういった部分も含め、京王電鉄の事業内容から見ていきましょう。




 

 

京王電鉄の事業内容

 

京王電鉄の事業内容は以下のようになっています。

運輸業・・・京王電鉄、京王電鉄バス

流通業・・・京王百貨店、京王ストア

不動産業・・・京王不動産、リビタ

レジャー・サービス業・・・京王プラザホテル、京王観光

その他・・・京王建設など

上記は2018年Q2決算時のデータですが、これによると売上で一番大きいのは流通業ですが、利益ベースでみると流通業の利益は非常に小さいのがわかります。

利益の半分程度はディフェンシブ性の高い鉄道事業が稼いでいる一方、シクリカルな影響を受けやすい事業の比率も大きいことがわかります。

実際、かつては流通事業が赤字に陥ることもあり、ディフェンシブ株という扱いは、個人的には違うのではないか、という感じがしています。

 

京王電鉄の鉄道事業

京王電鉄の鉄道事業についてみていきます。

京王電鉄は以下の地域で営業しています。

 

京王電鉄の稼ぎ頭は調布から東側です。

吉祥寺と渋谷、明大前と新宿の区間は非常に混雑する路線となっております。

 

 

京王電鉄の不動産事業

京王電鉄は以下の地点で商業ビルやホテルを営業しています。

 

また首都圏から離れ、岐阜県高山などでもホテル事業を展開。

近年のインバウンドブームの恩恵にあずかっています。

 

 

京王電鉄の株主優待

なお、京王電鉄は株主優待制度を導入しています。

一定株数以上の株主に優待として乗り放題パス、チケットを配布するほか、飲食、ホテル宿泊で利用できる割引券も配布しています。

そうしたものを目当てに売買する投資家も一定数いるようです。

期末にかけて上昇しやすい傾向がある銘柄となっています。

 

 

 

京王電鉄の業績

京王電鉄の2018年Q3決算は以下のようになっています。

京王電鉄の2018年Q3決算は概ね堅調に推移しています。

セグメント別にみると、以下のようになっています。

 

 

京王電鉄のセグメント業績は以下のようになります。

好調な鉄道輸送量を維持しているほか、インバウンド需要でホテル稼働率も高い水準を維持しています。

流通業もインバウンド売上が堅調です。

ストア・ショッピングセンター事業は前年度開業店舗が増収に寄与とのこと。

 

京王電鉄の株価

週足

月足

ここもとの景気後退懸念のなか、日本株式市場ではディフェンシブ銘柄への退避の動きが出ています。

京王電鉄にもそういった資金の一部が向かっていると思われ、なんとバブル崩壊後の高値をうかがう展開となっています。

PER25倍超でしょうか。

やや割高感がありますが、どうなるでしょうか。

個人的には、世界経済に明るさが戻ってシクリカルな銘柄が上がりだすころには、これらの内需ディフェンシブ銘柄は売られる展開になるのではないか、と見ていますが。

 

 

京王電鉄の課題~少子高齢化を資本効率向上でカバーできるかが鍵

京王電鉄が抱える最大の課題は、多摩地域における少子高齢化問題だと思われます。

多くの人がご存知の通り、日本は今後少子高齢化が急速に進みます。

すでにその影響は地方の都市では顕著に出てきていますが、今後10年、20年で東京でも多摩地域を中心に多大な影響が出てくることが懸念されてイアンス。

京王電鉄としては、主力の鉄道業だけでなく流通業などにも少子高齢化が影響することが想定され、そうした事態に備えた展開が急務となっています。

また同社は、優れたキャッシュフロー創出力を持つがゆえに、過去には資本効率を大きく毀損するような投資行動も散見されてきました。

今後は稼いだカネをどのように利用していくのか、還元していくのか、そこが重要になってくるはずです。

EPSの向上は自社株買いで行うことが可能ですから。

 

 

なお、上記はあくまでも個人的見解です。

特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任でされるようお願いいたします。

以上。