【9009】京成電鉄の業績・決算と株価~オリエンタルランドの含み益活用が求められる展開に

【9009】京成電鉄の業績・決算と株価~オリエンタルランドの含み益

 

今回は、関東の大手私鉄、京成電鉄についてみていきます。

京成電鉄は東京の「京」と成田の「成」から社名が作られており、おもに東京東部から千葉にかけてのエリアを地盤にしています。

また北総鉄道と新京成電鉄の親会社でもあり、両社とは乗り入れも行われています。

とりあえず、まずは京成電鉄の事業内容についてみていきましょう。




 

京成電鉄の事業内容

京成電鉄の事業内容は主に以下のセグメントに分かれます。

  • 運輸業・・・京成電鉄、北総鉄道(連結子会社)、新京成電鉄(持分法)、京成バス、タクシー
  • 流通業・・・京成ストア、京成百貨店、コンビニなど各種フランチャイズ
  • 不動産業・・・不動産賃貸業、マンション販売業
  • レジャー・サービス業・・・オリエンタルランド(持分法)、京成ホテル、京成ローザ、各種飲食フランチャイズ、旅行業、ホテル業
  • 建設業
  • その他事業・・・自動車整備、鉄道車両整備、燃料販売など

 

 

京成電鉄はオリエンタルランド株の含み益が莫大

京成電鉄を語る際には、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド株の含みについて語るべきでしょう。

京成電鉄はオリエンタルランド株の22.1%を保有する大株主です。

京成電鉄は同社に632億0100万円の出資を行っていますが、2019年4月14日現在のオリエンタルランドの株価をもとにすると、オリエンタルランドの時価総額は約4兆5661億円となり、この22.1%というと、1兆0091億円となります。

つまり、京成電鉄は莫大な含み益を抱えていることになります。

なお、この含み益はB/Sには反映されていません。

子会社株式・関連会社株式は決算時に取得原価で評価し、原則として時価評価は行わないことが理由です。

ですから、ROEやROAにも一切反映されません。

もしもこれがキチンと財務情報として載っていた場合、京成電鉄の含み益が顕在化してPBRが急低下する反面、同社の経営効率は著しく低い、と評価されることになります。

 

 

京成電鉄と買収防衛策

ぶっちゃけた話、京成電鉄とオリエンタルランドの間に大きな取引があるわけではありません。

にもかかわらず、これだけ大きな含み益をただ寝かせて置いておくというのは全く馬鹿げた経営だと思います。

かねてより多くのアクティビストがこれに気づいていますが、しかし京成電鉄は、株式持ち合いと買収防衛策をとることでこうした動きに対抗しています。

個人的に、こうした京成電鉄のやりかたは企業統治上の大きな問題であるばかりでなく、社会に対しても害悪を振りまいていると思います。

本来、いらないカネは株主に返して、それを消費なり、新たな投資に振り向けることで生産性をあげるべきでしょう。

それなのに、京成電鉄の経営陣は一兆円超の資金をただただ抱え込んだまま、何もしない。

全く愚かな経営だと感じます。

 

京成電鉄の事業エリア

京成電鉄の事業エリアは上記のようになっています。

成田からのインバウンド需要は同社の鉄道輸送を下支えしています。

しかし総じて、今後10年、20年で人口減退が厳しい地域となっています。

ここもとの決算で見ても、鉄道輸送はインバウンドで伸びていますが、流通事業などでは業績の伸び悩み、減益傾向がみえています。

同社にとっては、今後はトップラインでの伸びを目指すだけでなく、コスト削減と、自社株買いなど資本政策によるEPS押し上げも必要になってくる局面とおもわれます。

 

 

 

 

京成電鉄の2018年Q3決算と業績

 

京成電鉄の2018年Q3決算は上記のようになっています。

セグメント別にみると以下のようになります。

 

 

京成電鉄Q3決算 セグメント別業績

主力の運輸事業は微増

流通業は損益分岐ギリギリです。

不動産業はやや改善

レジャー・サービス業もインバウンド需要があるわりに弱いです。

 

 

京成電鉄の株価

月足

週足

 

京成電鉄のEPSは約200円ちょっと程度ですから、現在の株価水準をもとにするとPER19倍程度となります。

ここ数年、株価は大きく上昇してきましたが、かつてが非常に割安過ぎただけで、現在の株価は鉄道セクターのなかでさほど高いというわけでもありません。

京成電鉄の時価総額はおよそ6672億円であり、オリエンタルランドなどの含み益からすると非常に割安となっています。

なお、オリエンタルランドはPER50倍を超えているのですから、本来であればオリエンタルランド株を売却して、自社株買いをすればEPSを大幅に高めて株価を大きく上昇させることが可能です。

株式会社の経営者はあくまでも株主から経営を付託されている存在なのですから、株主のためにキチンと汗をかくべきであり、そうしない同社の経営陣は非常に怠慢といえるのではないかと、個人的には思います。

 

なお、上記はあくまでも個人的な見解です。

特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。

投資においては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。

以上です。