日本政府、原発廃炉作業に特定技能外国人労働者を活用へ~現代版徴用工問題に発展か?

原発廃炉作業に特定技能外国人労働者を活用へ~現代版徴用工問題に発展か?

 

東京電力HD、原発廃炉に特定技能外国人活用へ

東京電力HDは18日、福島第一原発の廃炉作業に外国人を導入することを発表しました。

これは、4月から始まった外国人残留資格取得制度、いわゆる特定技能ビザを利用したもの。

 

 

原発廃炉に外国人を利用することに法務省は反対していたはずではなかったのか

この特定技能ビザは、深刻な人手不足に悩む産業界からの要請で改正入管難民法に新たに盛り込まれた制度です。

当初はソフトウェア技術者など、一定以上の専門的技能を持つ外国人のみを受け入れる制度として検討されてきました。

ところがその後、建設現場や農業、漁業、水産加工業などから、外国人労働者を積極的に活用したいとの要望が続出。

本来の趣旨とはまったく異なる方向に議論が向かいはじめ、現在では単なる軽作業を外国人労働者で埋め合わせるための制度、という位置づけになりつつありました。

しかし、そうしたなかでも法務省は一定程度の歯止めはこれまでかけてきており

たとえば技能実習制度外国人による除染作業などは禁止し、被曝の可能性がある労働条件では従事させない、とした方針を示してきました。

実際、2018年3月に福島第一原発の除染作業にベトナム人が駆り出されていたのが発覚した際は、厚生労働省と法務省はこれらの行為を批判していたはずです。

 

政府も外国人技能実習生の廃炉・除染作業に否定的見解を述べていた

こうした「技能実習生に除染作業をさせない」という方針は、日本国政府における公式見解でもありました。

以下は衆議院議員逢坂誠二氏の質問主意書です。

技能実習生の対象職種における除染作業の是非に関する質問主意書

これに対する答えがこちらです。

衆議院議員逢坂誠二君提出技能実習生の対象職種における除染作業の是非に関する質問に対する答弁書

この中で政府は以下のように答弁しています。

 

 

除染作業に従事することは、技能実習制度の趣旨にそぐわないと考えている。

技能実習法においては、技能実習法第八条に規定する技能実習計画(以下「技能実習計画」という。)の認定基準として技能実習法施行規則第十条第二項第二号イにおいて、従事させる業務に関して、「当該業務の性質及び当該業務に従事させるに当たっての実習環境その他の環境に照らし、外国人に技能実習として行わせることが適当でないと認められるものでないこと」とされており、除染作業の性質上、一般的に海外で行われる業務ではなく、技能移転を通じた国際貢献にはなじまないこと、また、放射線被ばくへの対策が必要な環境は、技能修得のための実習に専念できる環境とは言い難いことから、今後、仮に除染作業を行う旨の技能実習計画の認定の申請があった場合には、当該認定基準に適合しないものと判断することとなる。

 

 

このように明確に答弁しているのです。

それが、なぜ今になって180度転換したのでしょうか。

まったく理解に苦しみます。

 

そもそもにおいて、福島第一の廃炉・除染作業に関しては、国内でもヤクザまがいの手配師が跋扈し、まったく意図せず除染作業に連れ込まれる人が多いという話もあります。

先のベトナム人も、夢のような話を聞かされて日本に来てみたら除染作業やらされて、さらには労働許可も取り消されてベトナムに送り返されてしまった、といったような失意のコメントを残しています。

口入屋、手配師が経営する人足寄場みたいな悪徳機関が関与していたとも言われています。

政府はそういった存在を黙認しながら、さらには除染活動に合法的なお墨付きまで与えようとしています。

 

これはもう、現代版の徴用工問題・慰安婦問題と同じと言えるのではないでしょうか。

なお、日経新聞はこの件に関し、2019年4月18日夕刊3面に載せていますが、たった248文字のちっちゃな記事です。

日経新聞の態度がよくわかります。