【7049】識学(しきがく)の業績・決算と株価

【7049】識学(しきがく)の業績・決算と株価

 

今回は識学(しきがく)についてみていきます。

識学は独自理論をもとにした経営コンサルティングを行う企業という触れ込みで上場した企業です。

会社設立は2015年3月

上場は2019年2月

非常に素早い上場を果たした企業であります。

なお、上場時の監査法人は新日本でございます。




 

福富謙二氏の経営理論・識学(しきがく)

識学(しきがく)の事業内容は、独自理論に基づくコンサルティングサービスがメインとなっています。

 

この識学(しきがく)ですが、福富謙二という方が独自に編み出し、体系化させたものだそうです。

具体的な内容については自分は詳しくありませんので同社ホームページなどを見ていただきたく存じます。

個人的に注目した点としては

  • 従業員のモチベーション管理は上司の仕事ではない
  • 従業員に対しては現在のストレス解消よりも未来のビジョンを見せることが大切
  • 頑張っている姿(過程)よりも結果が重要
  • 従業員と経営層の関係は遠い方がいい。近いと情が移って正確な判断ができなくなる。

という点でしょうか。(あくまでも個人的に資料を読んで感じた内容であり、間違っているかもしれませんので、詳しくは同社資料をご覧ください。)

個人的に、自分も同様の感覚を持っていますので特段新しいことを仰っているようにも感じないのですが・・・

とりあえず、こうした主張が中小企業の経営者さんに刺さっているようで、同社の業績は堅調に伸びています。

 

 

 

識学(しきがく)の元取締役・福富謙二氏

なお、この識学(しきがく)を編み出したとされる福富謙二氏ですが、同社の取締役を上場前の2017年5月に退任して、同社の一従業員として登録されているとのことです。

しかし同時に、大株主(第二位株主27%を所有)しており、一従業員というにはあまりにも大きな影響力を持っているように個人的には感じられます。

福富謙二氏がなぜ同社の取締役を退任して一従業員になったのか。

福富謙二氏は一体どのような経歴の方なのか。

そうした情報は全くと言っていいほどみえません。

謎に包まれている状態です。

ここらへんにやや・・・なものを感じます。

 

 

福富謙二氏から識学(しきがく)を教わった安藤広大氏の経歴

各種インタビュー記事などを総合しますと(とくに転職・求人サイトGreenの会社紹介記事など)、安藤広大氏(識学代表取締役社長)は2012年10月頃に識学(しきがく)に出会い、福富謙二氏から直接学んだとのこと。

当時、安藤広大氏は人材サービス会社の取締役だったそうですが、マネジメントに対するアプローチの仕方が大きく転換したとのこと。

安藤広大氏はこれを機に独立、ベンチャーを経験したのち、識学(しきがく)を普及させるために現在の会社を立ち上げたとのことです。

 

なお、インタビュー記事では上記のように説明されていますが、とりあえず上場目論見書の内容もみてみましょう。

以下のようになっています。

 

識学(しきがく)社長・安藤広大氏の経歴~上場目論見書

 

安藤広大氏がジェイコム(現ライクスタッフィング)取締役だったのが10年6月から12年頃まででしょうか。

13年1月にWEICという会社に入社していますが、この会社についてはよくわかりません。

13年1月には合同会社KDIという会社も設立し、代表社員になっています。こちらは現任とのこと。

その後、17年11月にもARSという会社を設立し、代表取締役(現任)となっています。

なお、上場目論見書第四部、株式公開情報には特別利害関係者等の株式等の移動状況が載っています。

これによると、

  • 16年10月1日に福富謙二氏から合同会社KDIに170株が移動。単価58823円
  • 17年8月31日に安藤広大氏からKDIに20株が移動。単価500000円
  • 17年12月25日にKDIからARSに190株が移動。単価2545473円

となっています。

他にもいろいろな取引が書かれていますので、興味のあるかたはご覧になってみてください。

とりあえず現在、識学(しきがく)の株式は上位三株主(安藤氏、福冨氏、株式会社ARS)で80%超を握っているというのは抑えておくといいかと思われます。

少数株主が口を出す余地は一切ありませんのでご注意ください。

 

 

 

識学(しきがく)の業績推移

 

識学(しきがく)の業績推移は上記のようになっています。

ごらんのとおり、識学(しきがく)の業績は非常に高い成長を示しています。

同社と契約する企業は非常に伸びているとされ、コンサルタント契約対象は累計1000社を超えたそうです。

コンサル業務はコンサルした時に収益をあげるものであるはずなので、ぶっちゃけ、累計でみる意味がよくわかりませんが。

識学的によると、これは錯覚なのでは?w

 

 

 

 

 

識学(しきがく)の業績~2018年Q4決算

識学(しきがく)の業績は非常に好調です。

少なくともそう見えます。

なお、広告宣伝方法の変更試験などを行ったため広告宣伝費が伸びているということです。

また、人員を増加させています。

 

 

こうしたコスト拡大を増収効果でカバーして、営業利益を2.5億円確保しました。

 

 

 

 

 

識学(しきがく)の経営上のリスク・問題点

識学(しきがく)は非常に好調な決算を発表しましたが、ただ幾つかの点でリスクや問題点も見えています。

 

上場目論見書の経営上のリスクに関して以下のように書かれています。

「当社代表取締役社長安藤広大及び取締役梶山啓介は、当社設立以来の事業の推進者であり(中略)現時点では両氏に対する依存度は高く(中略)両氏の売上高合計の総売上高に対する比率35.4%」

つまり、2人のコンサルタントだけで売上の35.4%を稼いでいるというのです。

さすがに上場後最初の決算ではやや比率が下がったようですが、今後も両氏の能力に依存した経営となっていることはリスクでしょう。

 

 

識学(しきがく)のコンサルタント先の増加からみるに、同社のサービスへの評価は高いのだと思われます。

少なくともそうみえます。

 

このような状況では、同社の業績は結局のところ、優秀なコンサルタントをより安く囲い込めるかどうか、にかかってくるのだと思われます。

講師人材の採用と教育がスムーズに進むかどうか

育てた講師が低いコストで定着してくれるかどうか

そこらへんが上手く機能するかどうかが重要になってくるでしょう。

 

 

 

 

識学(しきがく)の株価

 

上場間もない識学(しきがく)ですが、同社の株価は非常に割高になっています。

PERでは80倍台後半で、これは同業他社より明らかに高い。

それだけ高い成長力を期待されているということになります。

今後の課題としては、さきほども書きましたが人材の採用でしょう。

コンサル業は単価を引き上げるのが難しく、稼ぎを増やすにはコンサル要員を増やす&生産性を高めるしかありませんから。

 

なお上記はあくまでも個人的見解です。

特定の投資をお勧めするものではありません。

投資にあたっては自己責任で行うようお願いいたします。