米中貿易交渉決裂で関税25%へ?トランプ大統領の意図は?~中国側は対応をミスった可能性
トランプ大統領が対中関税を一律25%に引き上げると表明しています。
….of additional goods sent to us by China remain untaxed, but will be shortly, at a rate of 25%. The Tariffs paid to the USA have had little impact on product cost, mostly borne by China. The Trade Deal with China continues, but too slowly, as they attempt to renegotiate. No!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) May 5, 2019
現在、アメリカは中国からの輸入品のうち500億ドル分に25%
2000億ドルぶんに10%の追加関税措置をとっていますが、
これが一律25%に引き上げられることになります。
一時期は
「米中貿易交渉は完全解決近し」
といった雰囲気が醸成されていた状態でしたので、これはマーケットにも驚きをもって受け止められました。
株式市場も前日比で大きく下落しての寄り付きとなりました。
その後は堅調な企業決算の動向を受けて回復しましたが、とりあえず、マーケットは一時的にせよ身構える動きとなりました。
なぜトランプ大統領は対中関税引き上げを唐突にいいだしたか?
さて今回、なぜトランプ大統領は関税引き上げを唐突にいいだしたのでしょうか?
それはライトハイザーUSTR代表が、このツイートの直前にトランプ大統領と会っていたことに原因がありそうです。
⇒Trump Said to Threaten Tariffs After Hearing of Chinese Reversal
ライトハイザーは対中強硬派と言われていますが、基本的にはネゴシエーターです。
しっかり自国に有利な条件で決着させてきた、腕のいい交渉官です。
トランプ大統領も信頼を寄せている人物とのことで、北京との交渉は基本的にライトハイザーUSTR代表に任されています。
つい先日も(2日からだったかな?)、ライトハイザーは北京に飛んで、中国側の高官たちと貿易交渉について協議を行いました。
そして、帰ってきたのが5日。
さっそくトランプ大統領に交渉の様子などを報告・・・
このなかで、トランプ大統領にたいして、中国側の交渉姿勢の変化を報告したとのこと。
これにトランプ大統領が激怒して、上記のtweetに至ったとのことです。
中国側は法改正に慎重?
報道によると、ライトハイザー及びトランプ大統領が怒ったのは、中国側の知財問題に関する姿勢の変化についてだそうです。
アメリカ側のメディアによる報道なので割り引いてみる必要はありますが、おおよそ以下の通り
- 中国ではこれまで、進出した外資企業にたいして技術移転を強要するようなところがあった。(日本の新幹線技術も技術移転されましたね)
- ライトハイザー代表はこうしたやり方は不公正だとし、技術移転の強要を禁じるよう中国側に要請、中国側も同意した。
- ライトハイザー代表はあわせて、パテント侵害や技術の窃盗なども問題視、中国側に改善を要求。
- 中国側はこれらに同意し、法改正を含めて解決していく方針を示していた。
- しかし中国側は突如として法改正はしない、と言い出した。
もちろん、上記は米国側のメディアであるブルームバーグの情報ですし、リーク元ももちろん明かされていません。
誇張や嘘もあるかもしれない。
ただ、もしこれが本当だとすると、中国側が法改正に乗り気であれば解決できた話であるはず。
産業補助金の問題がネックになっているという報道もありましたが、少なくとも今回の件からはそれはみえてきません。
実際、今までの交渉過程でも中国の産業補助金は、あえてライトハイザーは取り上げてこなかったと言われています。
その問題では折り合えない、とみていたからでしょう。
その意味で、ライトハイザーおよびトランプ大統領は本気でディールしたがっていた、と個人的には見ています。
今回の件、中国側が対応をミスった可能性が高いのではないか、という気がしています。
8日より、今度は中国側の劉鶴副首相がホワイトハウスを訪問する予定になっています。
この中で中国側が折れるのかどうか、そこが一番の見どころでしょう。
ギリギリで回避できる可能性も、やや残っています。
以上です。