親SBのキャッシュ確保のために使われる子SBとヤフー~ソフトバンクの親子上場問題を考える

親SBのキャッシュ確保のために使われる子SBとヤフー~ソフトバンクの親子上場問題を考える

 

ヤフー株をキャッチボールするソフトバンク親子上場

いやはや、次から次へとよく考えつくものだと感心します。

孫正義ひきいるソフトバンクグループ(以下、親SB)が、

通信事業を行うソフトバンク(以下、子SB)と、

おなじく親SBの子供であるヤフー株を用いて

キャッシュ確保する策に出ました。

 

スキームは以下のようになります。

 

 

  1. まず、ヤフーが資金調達を頑張ります。
  2. その後、ヤフーはその資金を使って、同社に36.08%を出資している親SB(SBG)から公開買い付けを行い・・・
  3. 次に、子SB(SBKK)がヤフーの第三者割当増資を引き受けて、出資比率を12.08%⇒44.64%にする

 

・・・というもの。

親SBから子SBへ直接ヤフー株を譲渡しないのは、みなし配当課税を適用されることにより、譲渡益税の支払いを免れ、節税できるからのもようです。

 

このスキームの目的は何でしょうか?

 

ヤフーなど関係企業は

「(PayPayなどの)決済サービスの普及のため」

などと説明していますが、こんなタテマエに騙される奴は相場には向いていないでしょう。

実際のところは、孫正義ひきいる親SBの資金繰り支援のためと思われます。

 

 

ソフトバンクG(親SB)とヤフーにおける親子上場は以前から問題だった

現在ではソフトバンクグループ(親SB)とソフトバンク(子SB)の親子上場問題ばかりが取りざたされますが、

かつてソフトバンクをめぐる親子上場問題といえば、ソフトバンクグループとヤフーの関係をめぐるものでした。

 

ヤフーはかなり高い価格でソフトバンクからデータセンター事業を譲り受けられましたし、

イーアクセスをソフトバンクがヤフーに約5000億円で売却するという話も浮上したことがありました。

さすがにこのイー・アクセス問題ではヤフーの株主が法的措置も辞さない態度を示したことからソフトバンクG(親SB)はヤフーに売りつけるのを諦めざるをえませんでしたが、

こうした過去の延長線上に今回のヤフー株のキャッチボールがあるとみれば、わかりやすいのではないか、と思います。

 

 

融資を引っ張るときだけヤフーやソフトバンク(子SB)の事業安定感を利用しておいて、

カネががちで必要になったらヤフーや子SBを一部売却して、

もっとカネが必要になったらヤフーや子SBにいろいろ売りつけようとする・・・

それが親SBのやり方です。

 

現状ではソフトバンクの親子上場問題を解決する術なし

とりあえず、現状ではソフトバンク親によるこうしたやり方を取り締まる方法がありませんし

東証もこういう利益相反に近い問題が起きるとわかっているのに、上場を認可してしまいました。

 

思うに、利害関係者である東証に親子上場の是非を決めさせるのが間違いなのではないかと思われます。

法律で、一律親子上場を禁じるのが一番の問題解決策なのではないでしょうか。

 

そうしないと、結局泣きをみるのは無知な情弱投資家であり、

そうした人たちが泣きながら市場を去ることで、この国の株式市場はいつまでも鉄火場の域を出ないことになってしまっているのではないかと、個人的には危惧しています。

とりあえず、悪い奴は存在するという性悪説を前提にシステムを組むこと。

それが必要だと思います。

以上。