国の言いなりになるアメリカ企業は安全保障上の問題だ~ファーウェイへのandroid OS供給停止を考える
Googleがファーウェイへのandroid OSの提供をやめるそうだ。
これは米国がファーウェイをエンティティー・リスト(EL)入りさせたことに伴うもの。
GoogleのandroidOSだけでなく、
クアルコムの通信用チップやパテントも、
スカイワークスのアンプやチューナーも
テキサスインスツルメンツのDSPも
ザイリンクスのPLDも
ぜんぶ利用できなくなる。
ファーウェイは中国政府の言いなりだから危険?じゃあアメリカ企業は?
アメリカ政府に言わせると、
「ファーウェイは中国政府の言いなりだから危険」
らしい。
でもちょっと待て
アメリカ企業だってアメリカ政府の言いなりなんじゃないのか?
アメリカ政府の理屈をそのままアメリカ企業に適用するなら、
アメリカ政府が禁輸措置をとったとたんに取引できなくなるアメリカ企業というのは、
アメリカ政府と一体化された組織とみなすべきなんじゃないだろうか。
根拠を示さずファーウェイを禁輸対象にするアメリカ
「ファーウェイには安全保障上のリスクがあるから、取引しちゃいけませんよ」
ってアメリカ政府は言っている。
ただし、その証拠はまったくない。
司法手続きは何も通していない。
ただ、アメリカ政府が「この人・この企業と取引したらダメ」と指示したら、民間企業はみんなそれに従わないといけない・・・
こういった手続き上の簡略化は、もちろん有事対応のために作られた制度だからわからんでもないけれど
しかし、米国とビジネスをする者の予見可能性が著しく低下するのは間違いない事実。
ぶっちゃけ、アメリカが覇権国として君臨している間はいいが、そうでなくなった時はアメリカの弱みになりかねないのではないか・・・
ファーウェイ叩きはアメリカ企業への信頼感を貶める
個人的に、今回のファーウェイ叩きはアメリカという国、アメリカの企業への信頼感を落とすことに繋がると思う。
いざ何かあれば禁輸措置、金融資産の凍結などが簡単にされる国がアメリカ。
ぶっちゃけ、中国と接近するのも危険だが、アメリカと接近するのも危険ということになる。
この意識はたぶん、日本よりも、欧州の為政者たちが強く感じているはず。
彼らはEUで統合されている現在、なにもアメリカに頼らなくても経済規模として互角の立場をアピールできる。
以前も書いたけれど、アメリカは既に覇権国ではない。
【統計】1960年~世界のGDPシェア・比率の推移・変遷~米国の覇権の終わり
覇権国であるふりをしているか、覇権国だと皆が勝手に見なしているだけだ。
イアン・ブレマーはGゼロの時代などと表現しているが、まさに言いえて妙だろう。
今回のファーウェイ叩き、いずれアメリカが一番の被害者だということに皆が気づく時がくるはず。
それは取引関係による損害ではなく、もっと信頼感などの面からだから、定量化しにくいものになるだろうけれど。
そのとき日本はどのような立ち位置をキープするのか。
旗色は、なるべくみせないほうがいいはず。
以上。