全米小売業協会(NRF)、対中追加関税による消費者負担を122億ドルと試算~一世帯当たり100万円超の負担増に~
全米小売業協会(NRF)が対中追加関税の家計消費への悪影響に警鐘
アメリカの小売業者で構成する全米小売業協会(NRF)が、
「追加関税導入なら消費者負担が122億ドル増える」
という衝撃的なレポートを発表しました。
米国の世帯数は約1.2622億世帯程度ですので、122億ドルの負担というと、
日本円換算(1ドル108円)として約104.4万円もの負担ということになります。
全米小売業協会(NRF)による家計負担試算内訳
とりあえず、内訳をみていきますと、品目別では
- アパレル 44億ドル
- 靴 25億ドル
- おもちゃ 37億ドル
- 家庭用品 16億ドル
のコスト負担増になるとのことです。
全米小売業協会(NRF)による家計消費押し下げ効果試算内訳
さらに問題なのが、この価格上昇にともなう家計負担増加によって世帯消費が減る効果です。
全米小売業協会(NRF)によるとそれらは以下のようになっています。
- アパレル 11.2%減
- 靴 15.1%減
- おもちゃ 32.3%減
- 家庭用品 6.2%減
全米小売業協会(NRF)の試算にはバイアスがかかっているが・・・
全米小売業協会(NRF)は小売業者の集まりであり、政治的には自由貿易を信奉する人々の集まりです。
ですから、試算にもバイアス、偏向は含まれていると思われます。
しかし、それにしてもこの数字はかなり大きなもので無視するわけにはいかない数字です。
すでに始まっている対中関税と、各国に対する鉄鋼アルミ製品への関税、および一部家電製品に関する反ダンピング関税などにより、米国の消費者の家計負担は増加傾向にあります。
この状況でさらに1世帯当たり100万円超もの負担が果たして可能なのかどうか。
・・・常識的に考えれば、たぶん不可能です。無茶です。
この常識をふまえれば、トランプ大統領は中国と本音ではディールしたい、というところでしょう。
いまは、振り上げた拳の落としどころに困っている、というところだと思われます。
中国は景気が悪化してもアメリカのせいにできますが、アメリカは景気が悪化したら自分たちのせいです。(貿易戦争ふっかけたのはアメリカですから。)
そういう意味で考えると、本当に苦しいのは中国ではなくアメリカではないかと思われます。
以上。