「1ドル=7元」の人民元安は政府主導の為替操作ではないはず
トランプ大統領が人民元安を「為替操作だ」と批判しています
China dropped the price of their currency to an almost a historic low. It’s called “currency manipulation.” Are you listening Federal Reserve? This is a major violation which will greatly weaken China over time!
— Donald J. Trump (@realDonaldTrump) August 5, 2019
中国は歴史的にも非常に低い水準に人民元レートを誘導した。為替操作だ。FRB聴いてるか?
残念ながら、たぶんトランプ大統領の見解は間違っています。
むしろ中国はひたすら人民元安を防衛しようとしてきたのが現実です。
だから、米債保有がどんどん減っていた、と自分は見ています。
決して、米国への圧力をかけるために米債を売っていたわけではなく、米債を売らざるを得ない状況にここ数か月置かれていたのだと思います。
たぶん今回も同じだと思います。
1ドル7人民元の壁を巡っては、非常に熱い戦いが繰り広げられてきました。
売る側もプレッシャーが凄かったですが、買いも凄かった。
買いの側は、たぶん政府系でしょう。
そうでなければ、こんな不利な戦いをするはずがありません。
1ドル7人民元の元安でキャピタルフライトがおきる?
個人的には、中国が1ドル7人民元のレートに拘る理由がわかりません。
キャピタルフライトが起きるから、などと説明されますが、もう既にそんなものは起きています。
というか、中国人はずっとキャピタルフライトしまくりです。
穴さえあれば、海外に出ていく気まんまんです。
今に始まった話ではなく、7人民元になったところで変化はないでしょう。
もし7人民元になったとたんに正規ルートでキャピタルフライトのフローがみえれば、そんなものは政府が潰します。
それが中国です。
「7人民元でキャピタルフライトおきる論」は間違っていると思います。
なぜ中国政府は人民元安防衛をしようとしてきたのか?
個人的にはこれがよくわかりません。
もっというと、中国が米国との通商摩擦に対抗するには人民元安が一番有効だと思ってきました。
以下の記事は昨年のものですが、この時から考えは変わっていません。
⇒米中貿易摩擦による円高リスクはある? 2018年4月9日
中国の国内産業にとっては人民元安の方が好ましいのは間違いありません。
ただ、通商摩擦を激化させかねない対米ドルレートだけは、頑張って守ってきたというのが、現実的なのではないでしょうか。
しかしその壁も破れました。
あとは行きつくところまで行くしかないと思います。
米国は中国を為替操作国リスト入りさせるかもしれません。
実際には為替操作なんてしてないし、
むしろ人民元高方向に操作している可能性の方が高いのですが、
そんなことはおかまいなしに、為替操作国の認定基準を切り替えてくる可能性があります。
より一層、問題は拗れるでしょう。
そしてまた、その基準が変更された時、日本なども当てはまることになるかもしれない。
その点には要注意だと思います。
以上。