中国の報復関税はトランプ大統領への挑発~米製品750億ドル分に追加関税措置

中国の報復関税はトランプ大統領への挑発~米製品750億ドル分に追加関税措置

 

中国が米製品750億ドルぶんに追加関税措置

中国政府は2019年8月23日、米国による制裁関税第四弾への報復措置として、

米国からの輸入品750億ドルぶんに最大10%の追加関税をかけることを発表しました。

発動は9月1日からとなります。

今回の報復関税の対象は5078品目で、10%もしくは5%の税率がそれぞれに適用されるということです。

また同時に、今年1月に導入されたのち適用が延期されてきた自動車および同部品への関税措置も12月15日から適用開始されるとのことで、こちらは税率が最大25%となります。

 

 

対米追加関税措置に関する中国側の意図

今回の件、いろいろと中国側の事情はあろうかと思われます。

国内向けに対米で強硬姿勢を見せる意図がある、と指摘する声もあります。

確かにそれもあるとは思います。

米国との交渉を有利に展開するために敢えて強硬論をとった、と指摘する声もあります。

たぶんそれは違うと思います。

それならば発動日時をもっと後に設定するはずです。

 

個人的には、ひとつ指摘しておきたいのは、中国はトランプ大統領の再選を望んでいないだろうということです。

トランプ大統領に自滅してもらいたい、と中国側は考えています。

そのために、激戦州のミシガンに影響する自動車をターゲットにしています。

 

さらに、トランプ大統領が反撃をして、自国経済を混乱させることを狙っていると自分はみています。

アメリカは、ぶっちゃけリセッション入り直前です。

ISM製造業と非製造業はこれまでも時間差でトレンドを形成してきましたが、すでに非製造業も景気後退を示唆し始めています。

この状況で、トランプ大統領が対中報復関税などをガシガシ導入したら、本当に自滅行為です。

中国は、まさにそれを狙っている。

次期大統領選挙に照準を合わせて、今から景気悪化傾向にむかわせようと、トランプ大統領を挑発しているようにみえます。

 

 

中国側の対米追加関税に脊椎反射したトランプ大統領

トランプ大統領は、とても分かりやすい人です。

中国側の挑発にすぐに乗りました。

 

4tweetに及ぶ比較的長いtweetをしています。

端的に言えば、

中国なんていらない。もっというと中国なんかと関わらない方がいい。アメリカ企業は中国の代替をみつけるべきだし、それはアメリカに拠点を戻すというのも含まれる。今日の午後にも対中報復について対応する。

みたいな感じです。

まぁ、見事に分かりやすい人です。

 

これを受けて株価は下押し中・・・ですが、意外にも?それほど下げていませんね。

この動きからみるに、米中貿易戦争はかなりの部分、織り込まれているとみていいでしょう。

ただ、それでもなお、もう一段二段、嫌気されるタイミングはあるとみています。

また、トランプ大統領の決断次第によっては、本格的に自滅の道へ突き進むことになります。

 

たとえ失政になっても金融政策でどうにかなるとみている人が多いですが、そんな話じゃないと思います。

端的に言って、財政的な問題です。

関税で公的部門が入り超になり、民間家計部門が苦しむことになります。

これを上手く財政政策で補助してやれば何とかなるという人もいるでしょうが、議会が捻じれていることが今度は問題になってきます。

有効な手が打たれる可能性は低く見積もった方が良いでしょう。

また、たとえ手が打たれたとしても、大統領選までには間に合わないと思われます。

 

 

そこを見越して中国側は仕掛けています。

さすが、歴史が違うなぁという感じですね。

一枚上手です。

以上。