日米貿易交渉ほぼ妥結だが、自動車への追加関税発動の可能性は燻ぶり続ける

日米貿易交渉ほぼ妥結だが、自動車への追加関税発動の可能性は燻ぶり続ける

 

日米貿易交渉ほぼ妥結、自動車関税維持、農産品はTPP並みに

2019年8月25日、日米貿易交渉がほぼ妥結したとのことです。

フランス南西部ビアリッツで行われた日米首脳による会談で、安倍晋三首相がトランプ大統領と2度に渡って会談。

交渉中の日米貿易交渉について基本合意に至ったとのことです。

具体的には、農産品関税はすべてTPP並みの条件に引き下げ。

自動車関税は現状維持という形になったとのことです。

 

なお、日本側は今後一切「自動車関税の引き上げを行わない」ことを要求したそうですが、それについては米側は呑まなかったもよう。

完全に日本側が押し込まれた展開です。

 

 

自動車関税引き上げカードを今後も利用し続ける米政府

日本は以前ほどには製造業に依存していません。

すでにGDP全体において一番重要なのは非製造業、サービス業であって、自動車産業ではありません。

(製造業はGDPのうち20%程度でしかありません。)

とはいえ自動車産業は少なからぬウェイトを持っているのも事実であり、

単純に出荷額で考えても4~5%前後、関連産業もあわせればその2倍の8~10%前後は自動車産業が影響していると思われます。

(ここら辺は各試算によって異なるとは思いますが。)

自動車産業は部品も含めて輸出比率が高く、

「日本を脅すならまずは自動車産業」

というのは米政治のコンセンサスになっているように思われます。

これについて質問箱で同様の指摘をいただいております。

 

いつも質問箱のご利用ありがとうございます。

 

まったく同感でして、今年末はどうかわかりませんが、来年以降は確実にまた蒸し返されるように思います。

陰に陽に、日本側を脅す際に利用されることは間違いありません。

日本政府は今回、数量規制をちらつかされてビビッてTPP並みに農産品関税を引き下げました。

トランプ大統領が欲しがるカードを1枚差し出した形になっています。

それで得られたカードは、「問題の先送り」です。

 

こういうことを続けていけば、間違いなくジリ貧になるでしょう。

いろいろお疲れ様でした。

以上。