日本車メーカーは要注意?~米国自動車関税の行方~

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読んでも無駄なので飛ばして大丈夫です。


 

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トランプ政権による自動車関税~スバル、マツダ、日産自動車、ホンダ、トヨタ自動車の順にネガティブか?

 

ご存知の通り、米国トランプ政権は、自国産業を保護するために自動車関税を引き上げようとしています。

関税導入の根拠としては、アルミや鉄鋼への関税と同様に通商拡大法232条の適用を考えているようです。

通商拡大法232条ですから、つまり米国の自動車産業が衰退することが安全保障上の問題になっている・・・ということなのですが、なぜ1800㏄のガソリン車の生産が海外移転すると安全保障上の問題になるのか、そこらへんはよくわかりません。

とりあえず、とってつけたような関税の根拠ですが、通商外交のカードのひとつとして利用するつもりのようです。

 

 

この件に関して、当初は数か月かかるとみられていた関税導入へのプロセスですが、ウィルバー・ロス商務長官は早ければ7月下旬、おそくとも8月末までには調査完了を目指す方針を示しており、関税導入時期も秋口にはありうる状況となってきました。

コラム:トランプ氏のカード化する米自動車関税、7月調査終了も

とりあえず、この記事を書いている今日は8月5日ですから、たぶんそろそろ結論が出るころだと思います。

この件に関しては影響がとてもとても甚大ですので、もう一度情報を整理してみたいと思います。

 

 

実は米国の自動車関税は低かった?

実は、米国の自動車関税は世界の先進国の中でもかなり低い水準であります。

そのことが、トランプ大統領による自動車向け追加関税問題の背後にあります。

たとえば1800㏄の自動車の関税率を比較してみると、アメリカは2.5%でしかありません。(ピックアップトラックには25%の関税をかけています。)

これは、EUが自動車の輸入にかけている関税10%や、中国が自動車の輸入にかけている15%と比べても非常に低く、FTA交渉の結果引き下げ中の韓国の8%と比較しても非常に低い水準となっています。

つまり、トランプ大統領は

「自動車関税を引き上げるぞ」

と脅す一方で、

「交渉によって相手国の何かしらの関税を引き下げられたら御の字」

という思惑があると思います。

じっさい、米国のトランプ大統領は、先日のEUのユンケル欧州委員長との会談のなかで、自動車における関税問題はいったん棚上げし、その他の製品に対する関税問題での譲歩を引き出しています。

米EU、車除く工業製品の関税撤廃目指す-土壇場で貿易戦争回避 …

先ほども申しましたとおり、自動車関税に関して言うなら米国の方が欧州よりも低い(米国2.5%、欧州10%)わけですから、米国が自動車関税を相手国にいうのは当然です。

でも、無理にここで譲歩を引き出そうとしても難しい。欧州にはフォルクスワーゲン、ダイムラー、BMW、VOLVO、フィアット、ルノー、シトロエン、プジョーなどなど多くの自動車企業があり、関税撤廃を強く求めてもすぐには応じられそうにない。

ならば米国側としては自動車関税問題はいったん棚上げすることで、他の関税(これらも多くの場合は欧州の方が関税率が高い)の引き下げを飲ませた方が得という判断だったと思います。ここら辺は交渉で、お互いに痛み分けしようということでしょう。自動車関税はのちのち引き下げさせればいい、ということだと思います。

ちなみに、アメリカ企業にとっても欧州市場は主要な輸出先ですから、米欧双方で自動車関税を引き上げるのは、アメリカとしてもメリットが薄いです。

FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES Second Quarter 2018 Results

GENERAL MOTORS Second Quarter 2018 Results

FORD Second Quarter 2018 Results

適当なところで手打ちした方が得ということになります。

 

 

 

 

日本には自動車関税を回避するための対米カードがあるか?

問題はここからです。

先ほども書きました通り、日本はすでに自動車関税をゼロにしています。

アメリカは2.5%ですが、日本はゼロなのです。

欧州は自分たちの自動車関税がアメリカよりも高いので、それを材料に交渉することができました。でも、日本はすでに0%なんですから、アメリカよりも低いのですから、これを交渉カードとして利用することができません。

メディアや有識者のなかには

「日本はすでに関税がゼロパーセントなのだから、そのことをトランプ大統領に説明して説得すべき」

などと言っている人もいますが、アマチャンすぎます。そんなこと先方は十分承知の上で交渉しようとしてきているのです。手元にジョーカーのない日本は、他のカードを捨てるしかないでしょう。さもなければ、自動車関税は導入されることになるはずです。

 

 

 

 

自動車関税導入は日本車狙い撃ちか?スバル、マツダ、日産自動車、ホンダ、トヨタ自動車の順に影響大?

つまり、このままでいくと、主要自動車輸出国のなかでは日本車だけが関税対象になる可能性がある、ということです。(あとはメキシコです。こちらはNAFTAから外れるリスクです。ちなみに日本車のうち日産などはメキシコで生産してアメリカに輸出しているので、こちらも日本車に影響してきます。)

この件に関し、各社の北米事業依存度比率、現地組み立て部品の米国外調達比率などからみると、トランプ大統領の自動車関税の影響度の大きい順に並べると、スバル、マツダ、日産自動車、ホンダ、トヨタ自動車になるかな?とみています。

各社IRデータと自動車統計月報2017年主要国会社別生産台数、報道資料などをもとにしています。

単純に北米の販売依存度比率だけでなく、現地の生産比率、部品の調達比率などを元にザックリ計算しています。ここらへんは全部説明すると文字数が数倍に膨らむので、とりあえずザックリと結果だけを書いておきます。

ちなみに、NAFTA間の取引が絡むのでどうしても見えにくいところはあります。ひとつ言えることは、この関税はやっぱり、日本の自動車メーカーにとって致命的だということです。

 

 

日本が自動車関税を回避するためにできることは、防衛費の増大?

では、この日本の自動車メーカーにとって致命的なトランプ関税を回避する方法はあるでしょうか?

個人的には、「ある」と思っています。

それは今までのトランプ大統領の発言に隠されています。

トランプ大統領は以前から、日本に国防費増加を求めています。また、駐留経費についても日本側の負担を求めています。防衛費の国内総生産比率を引き上げるよう要求しています。

トランプ氏発言:日本政府も警戒 同盟国への国防費増要求 – 毎日新聞

トランプ大統領は、NATO諸国に対してGDP比4%への国防費増加を求めました。対中国を念頭に、日本に対しても同様の要求をする可能性はあります。

 

トランプ大統領は、鉄鋼とアルミニウムへの関税を導入する際に「もう日本には騙されない」旨の発言をしましたが、これは防衛費1%枠を巡ってのものだと思われます。

トランプ氏「もうだまされない」 日本の要求通さず

F2後継機にF22とF35のMixを採用へ? ~「防衛費1%枠」と吉田ドクトリンの終焉~ 当ブログ記事でも解説しています

 

アメリカは、対中国での日本の役割を期待しています。日本に防衛予算を積み増すことを期待しています。

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防衛予算を積み増して、アメリカからの武器弾薬(とくに補給品)を大幅に増やせばいいと思います。アメリカと日本の経常収支はそれでほぼ均衡します。

軍需産業はアメリカにとっても重要な輸出産業ですから、トランプ大統領も悪い気はしないでしょう。

そのぶん日本は社会保障費を削ればいいのです。社会保障費を削って安全保障費を積み増す、ただそれだけのことです。

お互いにWin-Winになれる、唯一の方法だと思います。