碧桂園が主導するジョホール・バルのフォレストシティプロジェクトが外国人投資家禁止に?

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ジョホールバルで進むイスカンダルプロジェクトのうち碧桂園(カントリーガーデン)が主導するフォレストシティプロジェクトについて、マレーシアのマハティール首相が外国人投資を禁じる方針

マレーシアのジョホール・バルで進むイスカンダル・プロジェクトですが、このうち中国の不動産会社、碧桂園(カントリーガーデン)とジョホール州政府系投資会社クンプラン・プラサラナ・ラヤット・ジョホール(KPRJ)の合弁会社カントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV)が主導するフォレストシティプロジェクトの部分に関し、マハティール首相は外国人の投資を禁じる方針とのことです。

With ban on foreign buyers for Forest City, Malaysia joins property …

シンガポールからジョホール海峡を橋で渡った対岸の、マレーシアのジョホールバルで2006年から始まったイスカンダル・プロジェクトですが、ナジブ政権下で新たに追加されたフォレストシティ構想によって、コンドミニアムの大幅な供給過剰が叫ばれていました。

イスカンダルプロジェクトにおいて、ナジブ政権下で追加されたフォレストシティ地域は外国人でも所有権100%を保証されることになっており、また一時、マレーシア市民権も与えられるとの噂が流れたこともあり、中国からの逃避マネーを大量に集めてきました。

この、イスカンダルプロジェクトにおけるフォレストシティ部分の再開発を大規模に推し進めてきたのが、中国の不動産会社碧桂園(カントリーガーデン)です。

このようなナジブ政権の行為に対し、ブミプトラ政策(マレーシア人優遇政策/土地の子政策)を推進してきたマハティール首相は、首相再就任前より「マレーシアの土地を外国人に売り渡す行為だ」と批判を強めていました。

一帯一路構想の片棒を担いで総額1000億ドル(10兆円)とも言われる資金を投入してきた碧桂園公股(カントリーガーデン・ホールディングス)と中国人投資家にとって、これは非常に痛い決定です。

が、同時にこれはマレーシアのカントリーリスクの高さを世界にアピールすることにもなっており、今後同国への投資が冷え込むリスクも抱えることになりそうです。

とりあえず、これは非常に大きな決定です。流れをみていきましょう。

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イスカンダル・プロジェクトとは?

 

イスカンダルプロジェクトとは、マレーシアのジョホールバルを大規模開発してマレーシアにおける経済特区を作る構想です。

ジョホールバルはマレーシア第二の都市です。(日本のサッカー好きには日本代表が初めてワールドカップ出場を決めた土地として有名?)

ジョホール海峡を隔ててシンガポールのすぐお隣にあり、以前よりコーズウェイの橋を渡ってシンガポールへ低賃金労働力を供給する拠点として存在してきました。

そこに目を付けた2006年当時のアブドラ・バダウィ政権が大規模再開発を計画。なおマハティール政権で副首相を務めてきたアブドラ・バダウィはとても清廉潔白な方と言われており、「Mr.Clean」とも呼ばれていました。

計画としては、2025年までに2200平方キロメートルの大地を切り拓き、コンドミニアムや商業施設、行政区域を建設。2005年に130万人だった地区住民を2025年までに300万人にする目標となっています。

医療やハイテク産業、教育の振興も計画されており、大手民営病院や大手インターナショナルスクールの分校なども誘致、世界中から投資資金と人を呼び、活気ある都市を作ることを目的としていました。

 

しかし、この計画は時期が悪かった。

折からのサブプライムローン問題→リーマンショック破綻などで世界中のマネーが新興国に行き渡らなくなりました。

マレーシアの景気も悪化し、アブドラ・バダウィ政権は支持率低下を受けて2008年にナジブ・ラザク政権に交代します。

このナジブ政権が頼りにしたのが、中国資本です。

 

フォレスト・シティ構想とは?

フォレストシティプロジェクトは、このイスカンダルプロジェクトのなかでもシンガポールに近い河口部に新たに埋め立て地を設置し、ここに大規模な商業地域、公共設備、ホテルなど宿泊施設・カンファレンスホールなどを作ろうというプロジェクトです。

開発総面積は約20万平方キロメートル、投資額は1000億ドル(約11兆円)を超え、最終的には70万もの人々が生活することを目的とした都市を建設するフォレストシティ構想ですが、この壮大なプロジェクトを推進したのが、2016年当時、マレーシア首相であったナジブ前首相です。

中国とベッタリだったナジブ前首相は、中国が推し進める一帯一路構想の重要拠点としてジョホールバルの開発を再定義。もともとのイスカンダルプロジェクトに追加して、フォレストシティ構想をぶち上げます。

 

このフォレストシティ構想はマレーシアには珍しく永久土地所有権が認められているなどの特権が与えられており、中国とナジブ政権の仲睦まじい関係も影響して中華マネーが殺到。開発主体の碧桂園とジョホール州政府系投資会社クンプラン・プラサラナ・ラヤット・ジョホール(KPRJ)の合弁会社カントリーガーデン・パシフィック・ビュー(CGPV)に多額の経済的メリットを与えることになりました。

あわせてナジブ政権は、中国が一帯一路構想のなかに据えているシンガポールからマレーシア・クアラルンプール、そしてタイを経由して中国本土と結ぶ高速鉄道路線の建設への協力もします。

(なお、この件に関しては大規模な汚職が行われた可能性が指摘されており、前ナジブ首相は海外への出国を制限され、現在バックリベートの有無について捜査が進められています。)

ナジブ政権のこのようなやり方には、ブミプトラ政策(華僑に対してマレーシア人を優遇する政策)を推進してきたマハティール氏は激おこぷんぷんであり、マハティール氏が進めてきた国産車政策プロトンを中国企業吉利汽車(ジーリー/Zheijiang Geely Automobile)に売り払った件も含めて、中国企業に対して利益誘導しすぎだと激しく非難してきました。

 

 

なお、当初のイスカンダルプロジェクトは130万人のジョホールバルに170万人の住民を増やして300万人都市にする目標でした。これ自体でもかなり無茶な数字と受け止められていたのですが、さらにナジブ政権下で70万人ぶんのフォレストシティ構想が加わります。

現在、イスカンダルプロジェクトは明らかな供給超過だと言われています。完成前の転売を繰り返そうと投資してみたものの、転売できずに利払い負担も辛くて手放すような事例も出ているそうです。

今回のマハティール首相のフォレストシティ構想への締め付けは、こういった投資マネーの歪さを是正する目的もあったものと思われます。

 

ただし、こういった強権的な手法が上手く機能するかどうかというと、個人的にはちょっと疑問に感じています。海外からの投資資金は、こういった不透明な政策リスクを好ましいとは思わないはずです。

なにより、とりあえず今のイスカンダルプロジェクトには、住民と職場が必要なわけです。とりあえず何でもいいから来てくれる奴は全部ウェルカムって態度じゃないと上手くいかないんじゃないか?という気がします。

マレーシアにしてもインドネシアにしてもそうなのですが、政権交代すると前政権が海外投資家と約束していたことがガラリと変わったりします。これは非常に大きなリスクです。

アメリカもそういうガラリと変化する部分はありますが、それでも投資資金を集められるのはアメリカだからです。新興国でこれをやると投資資金は逃げるでしょう。

今回の件は中国からの投資家や碧桂園に限らず、多くの海外投資家にとってリスクに見えたはずです。

資本主義で一番大切なことは信用・信頼であるはずです。

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それが理解されない国では、いつまでたっても発展途上国のままではないかと、そんなふうに感じた今回のイスカンダルプロジェクトの騒動でした。

以上です。