ロヒンギャ迫害を取材していたロイター通信のミャンマー人記者二人に禁固7年の判決

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ミャンマー軍によるイスラム系民族ロヒンギャへの虐殺問題を取材していたロイター通信の記者2人に、禁固7年の判決が下りました。

 

(以下は単なるコラム記事です。読んでもカネになりません。とりあえず、興味のない方は飛ばしてください。)

 

ロヒンギャ問題の取材を続けていたロイター通信のミャンマー人記者二人( Wa Lone & Kyaw Soe Oo )が国家機密法違反容疑で起訴されていた事件ですが、2018年9月3日、本日判決が下り、禁固7年の有罪判決となりました。

Reuters journalists jailed in Myanmar over secrets act

ワ・ロン記者(Wa Lone)とチョー・ソウ・ウー記者(Kyaw Soe Oo)は昨年12月、レストランで食事をしていたところ警察官二人に書類の入った封筒を渡され、それを持って外に出たところ、すぐに待ち構えていた他の警察官に逮捕されたとのことです。

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この封筒の中にはロヒンギャ問題(※1)を巡る国家機密情報が含まれており、このことを根拠にこれまで拘束が続けられてきました。

 


 

(※1) ロヒンギャ問題・・・ミャンマーのラカイン州に住むイスラム系少数民族ロヒンギャに対する迫害問題

一説によれば、ロヒンギャはバングラデシュ方面から英軍によって連れてこられた(ザミーンダール/ザミーンダーリー制度の一環として)ベンガル系ムスリムの一部が土着化したものと言われています。

これに対して土地を追われたアラカン人は長年にわたり武装闘争を展開。とくに太平洋戦争当時は日本軍がアラカン人を、英軍がベンガル系ムスリムを焚き付けて攻撃させあったことで両者の関係は極度に悪化。

戦後、このベンガル系ムスリムの一部がロヒンギャを名乗り地域の支配を確立していましたが、2012年頃から始まったミャンマー軍とロヒンギャ側との戦闘の中で一般人の被害も増大。

また、ミャンマー軍の一部が暴走して虐殺などを行った疑いが叫ばれており、難民の大量発生問題とともに国際社会の懸念を呼んでいます。

なお、ミャンマー側はロヒンギャを正式な国民であるとは認めておらず、あくまでも外国からやってきた反体制勢力、テロリストとして見ていることには注意が必要だと思います。

「勝手にやってきて、我々の土地を英軍と一緒になって奪ったのはロヒンギャ側。出て行って欲しい。」

という思いがミャンマー側にはあり、

「なんで自分たちが国際的に非難されなくちゃならないの?」

と感じている人が多いようです。


国際社会が批判しているのはミャンマー軍によるロヒンギャへの虐殺行為と難民発生行為

 

長らく燻ってきたロヒンギャとアラカン仏教徒の間の紛争ですが、2012年ころから一気に緊迫化してきました。

2012年6月にはロヒンギャとアラカン人の間で大規模な民族衝突が起きて200人以上が死亡、その多くがロヒンギャだったと言われています。

ミャンマー軍側の主張に基づけば、最初に攻撃してきたのはロヒンギャの側だったということですが、ロヒンギャの側は否定しています。

この頃からロヒンギャの難民が徐々に増え始めます。

ロヒンギャ側もこの攻撃に対して反抗を開始します。2016年10月9日、ラカイン州の国境警備警察本部などが襲撃され警察官9人が死亡する事件が発生します。

この背後にはミャンマー政府側が「アカ・ムル・ムジャヒディン」と呼ぶ組織「ハラカト・アル・ヤキーン/The Faith Movement」の存在が示唆されており、

またこのハラカト・アル・ヤキーンはまた、パキスタン・タリバン運動やラシュカレ・タイバとの関係も取りざたされています。

ミャンマー政府側としては、

「ロヒンギャとの戦いはテロとの戦い」

 

であると定義づけ、徹底的なロヒンギャの反政府勢力掃討作戦を実行しはじめます。


このミャンマー軍によるロヒンギャの反政府勢力掃討作戦に際しては、ベトナム戦争における米軍の苦悩とおなじことが発生しています。つまり

「誰が戦闘員で誰が非戦闘員であるのかわからない」

「わかんないから、とりあえず全部焼き払っちまえ」

ということです。

 

欧米諸国によるミャンマー政府に対する非難は、当初からややトーンが低かったように思います。

そもそも元はといえばイギリスのせいでこんなことになったんですし、対テロ戦争を継続しているアメリカとしても、タリバーン運動との繋がりが示唆される「アカ・ムル・ムジャヒディン」への攻撃は全面的な非難には当たらないものだったと思います。

なにより、ミャンマーはASEANに残された最後のフロンティアとして、昨今たくさんの投資マネーを集めてきましたから、あまり事を荒立てて投資環境が悪化しても困る、という思いがあったかもしれません。

欧米が批判したことで中国側に近づいてしまったカンボジアのようになっても困る、という思いもあったでしょう。

 

そういった欧米側の算段は、今回のロイター記者逮捕を受けても、根本的な部分ではあまり変わらないように感じます。

ある意味、ロイター記者は欧米側のご都合に振り回されている可哀そうな人に見えます。

 


ロイターのロヒンギャ問題取材記者逮捕は陰謀だった?

 

今回のロイター通信記者逮捕の問題に関しては、かねてより冤罪だった(もしくは嵌められた)可能性が指摘されています。

この二人の記者は、ロヒンギャの住民10人が並んで処刑された事件を取材していたあとに逮捕されており、見せしめだったのではと言われています。

 

これまでの審理のなかで、被告側証人として出廷した警察官(封筒を二人に渡した人物の一人)は

「上司から封筒を渡すように指示された。」「これは警察が仕組んだ罠だった」

と証言していましたが、裁判所は

「被告側が無罪である証明をできていない」

として、今回の有罪判決を下しました。

今回の裁判を巡っては海外からもミャンマー政府に対して懸念が示されており、旧宗主国の英国のダン・チャッグ(Dan Chugg)在ミャンマー大使は即座に”We are extremely disappointed by this verdict,”と表明。

米国のスコット・マルシール(Scot Marciel)在ミャンマー大使も”deeply troubling for everybody who has struggled so hard here for media freedom”.と強い口調でこの判決を非難しています。

・・・が、基本的には形式的な批判に留まっており、何らかの制裁が行われるようにはみえません。

 

なお、こうした形式的な批判に留まらず、このところ国連主導でミャンマーの軍部の行為をジェノサイド(大量虐殺)と定義し、ミャンマー軍幹部への捜査と訴追を求める動きが出ています。

国連はアウンサンスー・チー率いるミャンマー政府と、ミンア・アウン・フライン国軍最高司令官率いるミャンマー軍を分けて裁くことを考えているようです。

ミャンマーの軍政トップの連中を、国際刑事裁判所ICCもしくは特別国際法廷によって捜査していくことが考慮されているようです。

Zeid calls for ICC probe into Myanmar Rohingya crisis | UN News

ミャンマー軍を処罰することでロヒンギャ問題に対する人権上のケジメはつけつつ、アウンサンスー・チーへの批判は最小限にとどめておく・・・それが国連および欧米側のスタンスです。

こうすることで、民生分野に影響があるような経済制裁を避けつつ、軍事政権への批判をしているふりをする・・・そういう感じです。

日本も同様で、ティラワの特区地域に大規模工業団地を建設して日本企業が進出している手前、ロヒンギャ問題を巡るミャンマー政府への批判はほとんど行っていません。

そんなもんなんです。

日本政府にしても日本の産業界にしても、ロヒンギャの命よりカネの方が大事なんです。

今後も、なんらの経済制裁も発動されないんじゃないかと思います。みんな、仕事やってるふりしてます。

 

思うに、今回のロイターの記者ふたりは、ロヒンギャ問題に対する国際社会の無関心を理解できていなかったのだと思います。

もしくは、理解できていたけれども、もっと多くの人に知ってもらいたいと思ったか。

個人的には、そういった使命感はとてもキラキラしていて眩しくて素敵に思いますし、多くの人たちが義憤にかられる気持ちもわからんではありませんが、全体像を見渡してポジションを保たないと、孤立無援でオワルってことです。

みんな、応援してくれているふりをして、実際のところは何もしてくれないんですよ。冷たいですね。

 

ペンは剣よりも強しなんて、ぜったいに嘘です。

今回の一件は、ジャーナリズムの死だと騒ぐ人々がいます。

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なにをいまさら、という感じがします。

フランコ政権が続いた時点で、ジャーナリズム優位な時代が終わっていたことは明白です。

 

・・・っと、これ以上語るとキリがなくなるので〆ます・・・ちょっと尖り過ぎちゃったテヘペロ(^_-)-☆