品川駅周辺再開発に漂う暗雲~京急地上駅化が遅れる可能性~

JR・京急品川駅再開発に問題発生~塚田農場とモンテローザが京急第10ビルから立ち退き拒否~

 

JRと京急、西武などが再開発を進めている品川駅周辺ですが、その一番のキモとなる品川駅自体の建て替えに問題発生しているとのことです。

 

これは東洋経済新報が報じたものですが

京急vs.塚田農場、品川ビル立ち退き戦争勃発~ドル箱店をめぐり、凄絶な攻防戦が始まった

要約すると以下になります。

 

 

  1. 京急は品川駅建て替えにあわせ、地上に駅舎を移動しようと考えていた
  2. そこで2006年に第10ビルを別の不動産会社から取得
  3. 京急は2016年秋から地下飲食店を含む34のテナントと賃貸借契約の終了と立ち退き交渉を開始。定期借家契約へと切り替えていった。
  4. しかし、旧法賃借(?)で入っている一部テナント(モンテローザや塚田農場/APカンパニー、エイペックスほか個人)が立ち退きを拒否

 

こんな感じだそうです。

なお、記事によると、塚田農場を運営するAPカンパニーの直営200店舗超のなかで品川高輪口駅前店はトップの利益を生んでおり、安易に立ち退きできないとのこと。

くろ〇品川高輪口駅前店を運営するモンテローザも、同店舗の売上と利益が非常に高いとのことで立ち退きを拒否しているとのこと。

品川再開発は都市決定はされたものの、立体交差化が絶対必須とはなっておらず、訴えられた側としては「京急の利益のために立ち退きを飲むのはおかしい」と反発しているとのこと・・・です。

 

 

個人的に、立ち退きを拒否する側の言い分が正しいように思います。

とりあえず、今回はこの品川駅再開発計画についてみてみましょう。


品川駅再開発で京急品川駅は地上に移動

京急は、品川駅を再開発するにあたり、京急品川駅をJRと同じく地上に移動させる計画とのことです。

 

(泉岳寺駅~新馬場駅間)の連続立体交差化計画 … – 東京都都市整備局

現在二階部分にある京急品川駅を地上駅化することで、他のJR路線との乗り換えがスムーズになることが期待されています。

 

また、品川駅二階部分の西側を京急が塞がなくなることで、高輪口まで平坦な通路を建設可能になることで、東西の回遊性が増すことが期待されています。

品川駅再開発にあたっては、国道15号線の上に人工地盤を設置してペデストリアンデッキ、広場および商業施設などを建設する構想もあるようです。こうすることで、柘榴坂方面の再開発も進展するというわけです。

国土交通省関東地方整備局 国道15号・品川駅西口駅前広場の整備に係る民間の「事業協力者の決定」について

 

なお、問題となっている京急第10ビルは、ちょうどこのパース視点の手前側にある建物です。

京急としては、人工地盤の基礎部分としてどうしても京急第10ビルの土地が必要だった、ということだと思います。

そして、その負担分として、京急はこの画像に描かれているような人工地盤上の商業施設の権利を数十パーセント手に入れるつもりだったのでしょう

品川駅から直結しているペデストリアンデッキ上の商業施設ですから非常に魅力的な収益を京急にもたらすはずです。その利益をできるだけ外部に逃したくなくて、京急第10ビルのテナントに対して立ち退きを迫っているのではないか?

そんな疑念がわいてもしかたないかな、と思います。

 

 

なお、このペデストリアンデッキが完成すれば、品川駅高輪口と柘榴坂方面が平たんに結ばれます。

柘榴坂方面には、西武ホールディングスのグランドプリンスホテル高輪、グランドプリンスホテル新高輪、ザ・プリンスさくらタワー東京、品川プリンスホテルなどのほか、京急系列のシナガワグース(京急EXイン品川駅前)もあります。

品川駅高輪口方面にペデストリアンデッキが完成すれば、これらも再開発され、巨大な複合ビルとなることでしょう。

これらが開発されれば、関係各社は間違いなく年間千億を下らないレベルで収益が上がるはずです。京急もごたぶんに漏れず、ぼろ儲けできるはずです。

そういった状況で、ちっちゃな手切れ金を渡してテナントに立ち退けというのはいかがなものかと思います。

塚田牧場やモンテローザの後ろ側には出資者がいますし、安易に借家権の返還に応じてしまったら経営陣が訴訟対象になる可能性すら出てしまうでしょう。訴訟で解決するか、関係各社でごちゃごちゃ話し合って決めるしかないのだと思います。

 

 

なお、2027年にはリニア品川駅が開業するとのことで、それに合わせて品川駅も再開発をしたいようですが、この訴訟の行方次第ではなかなか難しくなってきているな、という印象です。

また、JR東日本も操車場跡地開発を進めており、こちらも2024年ころには完成予定です。

関連記事:品川開発プロジェクト始動~JR東日本が品川操車場再開発~

非常の規模の大きな再開発案件が目白押しとなっており、国をあげたプロジェクトと言ってもいいような水準のものとなっています。

ここらへん、中国の再開発案件とは大違いですね。あちらは開発独裁型ですから個人の権利とかおかまいなしにガシガシ開発してしまいます。

そういったやり方がいいな、と思う人は中国に引っ越したらいいと思います。

個人的には、日本のシステムの方がなんぼかマシに思います。