PS三菱(ピーエス三菱)の業績と株価~NEXCO高速道路修繕でプレストレストコンクリート床版の利用拡大~
今回は、NEXCOの高速道路修繕でプレストレストコンクリート床版の利用の拡大が期待されるPS三菱(ピーエス三菱)の業績と株価をみていきます。
まずはPS三菱(ピーエス三菱)の会社説明からはじめましょう。
PS三菱(ピーエス三菱)とは?
PS三菱(ピーエス三菱)とは、プレストレストコンクリート業界のトップ企業で、土木事業、建設事業を行う中堅ゼネコンの一社です。
PS三菱(ピーエス三菱)の沿革~三菱重工業・七尾造船所を源流とする「ピー・エス」と三菱建設が合併
PS三菱(ピーエス三菱)はもともと東日本重工業(現在の三菱重工業)の七尾造船所を母体にした企業「ピー・エス」と三菱建設が2002年10月1日に合併してできた企業です。
ピーエスは造船所を源流としていますが、橋梁土木に強みを持ち、とくにプレストレストコンクリートを利用した建設を専門に行っている企業でした。
よって、合併してできたPS三菱(ピーエス三菱)は、建設事業と橋梁など土木事業がほぼ半分ずつという、少し珍しいゼネコンとなっています。
PS三菱(ピーエス三菱)は三菱マテリアル系
上記経緯をふまえ、PS三菱(ピーエス三菱)は三菱系の資本が多く入っており、三菱金曜会の企業です。
特に旧ピーエスのころから資本関係のある三菱マテリアルの持ち株比率が33.4%と高くなっています。
なお、三菱マテリアルはプレストレストコンクリートに用いるセメントを供給する国内大手三社のうちのひとつです。
PS三菱(ピーエス三菱)とプレストレストコンクリート
PS三菱(ピーエス三菱)はプレストレストコンクリートを国内で初めて利用した企業とされており、この業界における重要なポジションに位置しています。(たとえば、プレストレスト・コンクリート建設業協会会長はPS三菱の藤井敏道氏が務めているなど。)
プレストレストコンクリートは、簡単に言ってしまうとワイヤ張力を用いて割れやヒビの発生を抑えたコンクリート躯体物ということになります。
プレストレストコンクリートは長いスパンで用いてもヒビ割れなどが起きにくいことから主に巨大な建造物に使われています。
一般施設だとスタジアムや物流施設(ワンフロアを大きくとれるため)、美術館などに使われるほか、水道タンク、ガスタンクの保護壁、原子力発電所の格納容器や人工地盤、空港のエプロン、港湾の桟橋、高架道路、橋梁などに利用されます。
インフラ修繕とPS三菱(ピーエス三菱)
1960年代の高度成長期~80年代に作られた日本のインフラは非常に劣化が進んでおり、今後大規模な修繕が必要といわれています。
こうしたインフラ修繕の需要が土木業界全体に恩恵をもたらすとされ、特に橋梁土木などに強いPS三菱(ピーエス三菱)にとっては追い風となっています。
NEXCO発注の高速道路床版工事がPS三菱(ピーエス三菱)などプレストレストコンクリート業界に恩恵か
NEXCOの抱える高速道路の床版更新も迫っています。
いままでの床版を剥がし、新たにプレストレストコンクリートで作り直そうとしています。
この需要がプレストレストコンクリート業界全体にとって後押しとなりそうです。
プレストレストコンクリート業界~高速道の床版・中央リニアの側壁ガイドウェイなどで需要拡大か
なお、NEXCO発注の工事はさほど利益率がよくないらしいことは注意が必要です。
また、PS三菱(ピーエス三菱)の業績全体からみると、さほど大きなウェイトにはなりそうにないことも注記しておきます。(全体売上が大きいので。)
リニア工事を受注したPS三菱(ピーエス三菱)
PS三菱(ピーエス三菱)はJR東海よりリニアガイドウェーの発注も受けています。
まだ発注額はさほど本格化していませんが、本格的になれば収益への貢献規模はそれなりに大きくなると思われます。
PS三菱(ピーエス三菱)の業績の悪化材料1~日本の財政問題
PS三菱(ピーエス三菱)は国内土木事業の比率が半分程度あります。
その多くが官需ですので、長期的にみると日本政府の財政状況に大きく依存することになります。
財政が悪化すれば現在のインフラを廃棄してコンパクトに国土を設計し直そうという機運も出る可能性があり、これは同業界全体の課題です。
PS三菱(ピーエス三菱)の業績悪化材料2~人手不足による建設コスト増
PS三菱(ピーエス三菱)の業績悪化材料として見逃せないのが、人手不足による建設コスト増です。
これは建設業界どこの企業でも直面している課題ですが、とにかく人が足りずに工期が伸びてしまっています。
賃金も高くなってきており、このことがPS三菱(ピーエス三菱)の業績の下押し要因にもなっています。
PS三菱(ピーエス三菱)の業績悪化材料3~民間投資の減少
PS三菱(ピーエス三菱)の事業のうち一般建設事業は約半分を占めています。
とくに病院などに強みを持つPS三菱(ピーエス三菱)ですが、近年の建設費高騰により、民間の事業者のなかには建設投資を絞る動きも出ています。
またKYBの制振、免震ダンパーの不正問題のせいで、建設計画を立てられなくなってくるのではないか、との指摘も一部の業界紙が指摘しています。こうしたことはリスクです。
PS三菱(ピーエス三菱)の業績
ここからはPS三菱(ピーエス三菱)の決算関連資料などをもとに業績をみていきます。
(この記事は2018年11月5日早朝に書きました)
PS三菱(ピーエス三菱)は先日、中間期業績予想を上方修正しました。
PS三菱(ピーエス三菱)は基本的に、追加工事などに伴う業績追加要素を期初に織り込まずに予想を発表します。
今回、当初のカタメな予想に反して採算が改善したことで上方修正となりました。
なお、上方修正したあとでも前期よりは業績がまだ下であります。
なお、PS三菱(ピーエス三菱)の工事の進捗は遅れているとのこと。
人員の問題か、もしくは夏場の災害の影響かはわかりません。
こちらは参考までに、2017年通期のPS三菱(ピーエス三菱)の業績です。
かなりの好業績を叩きだしましたが、個人的な感覚では、今期はさすがにここまでは無理そうにみています。
よくて営業利益45~50億程度でしょうか。
PS三菱(ピーエス三菱)の株価(20181105)
PS三菱(ピーエス三菱) 日足株価
PS三菱(ピーエス三菱) 週足株価
チャートパターン的には、PS三菱(ピーエス三菱)の株価はいったん反発をためしたあと、再度二番底を探りに行くようにみえます。
あくまでも個人的な感覚なんでアテになりませんが・・・・
とりあえず、今回はPS三菱(ピーエス三菱)の業績と株価についてみてきました。
なお、上記はあくまでも中卒くん個人の見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたっては自己責任で行っていただきますようおねがいしたします。