FRBが世界経済見通しを引き下げている件~クラリダ副議長からのシグナル

【意訳あり】FRBのクラリダ副議長、CNBCとのインタビューのなかで世界経済への慎重姿勢を滲ませる

 

ここにきてFRBから世界経済成長率への慎重姿勢や、次の景気後退期における金融政策の枠組みに対しての情報発信が相次いでいます。

 

昨晩はクラリダ副議長がCNBCとの単独インタビューのなかで

Watch CNBC’s full interview with Fed vice chairman Richard Clarida from CNBC.

(以下、意訳)

“As you move in the range of policy that by some estimates is close to neutral, then with the economy doing well it’s appropriate to sort of shift the emphasis toward being more data dependent,”

中立金利に近づいてきており、経済も順調に推移しており、ここからの判断はより経済データに依存する方向にシフトすることが適切だ。

 

 

“I think being at neutral would make sense,”

中立金利水準いいるということは理にかなっている

 

“The Fed began hiking rates almost three years ago, and so it’s been a very gradual cycle,”

FEDはおおむね3年前に利上げを開始し、徐々に徐々に引き上げてきた。

 

 “The economy this year is growing north of 3 percent, unemployment’ s at a 50-year low almost, and so I think also right now the policy that we set, the federal funds rate, is just barely above the rate of inflation for the first time in a decade. So I wouldn’t agree with that.”

経済は今年3%超の成長をしており、失業率も50年来の低さだ。FFレートは物価をちょっと上回った程度であり、それはこの10年間なかったことだ。だから私はそれ(金融引き締めすぎという指摘)に賛同しない。

 

“The economy this year as I said is going to be growing at a pace we haven’t seen in a decade. Going forward, you have to look at a lot of trends, including the global economy … Some of it is slowing,”

経済はここ10年見なかったほど速いペースで成長しているけれど、世界経済のトレンドをみてみれば、いくつかの点で減速してきている。

 

“At least from my perspective, we’re at a point now where we need to be especially data-dependent,”

自分の見解では、我々はデータに依拠した判断をより必要とするポイントにあると思う。

 


つまり、クラリダFRB副総裁は何がいいたいかというと

 

  • いままでの利上げは徐々に引き上げればいいだけだった(あんまりデータをみる必要はなかった)
  • だけど、最近は中立金利にも近づいてきているし、ここから先はより経済データを重視して判断していかないといかんね
  • アメリカ経済はめっちゃくちゃ堅調なんだけど、世界経済にはいくつか悪いとこあるね。
  • とにかく、データが重要だよ

 

と言っているわけです。

 

 

クラリダFRB副総裁の発言に先立ち、FRBが金融政策の枠組みを再点検すると発表

このなかで、市場とのコミュニケーションの取り方、景気後退時における利下げ余地がない場合の深堀の手法などについて、なにができるのか再点検するとの発表がありました。

これは、近い将来のなにかに対する予防線なのではないか?

といった感じの見方から、ここもと大きく米国債が買われています(利回りが低下しています)。

 

 

クラリダ副総裁発言だけでなく、FRBが全体的に予防線を張り始めたことが意識される展開です。

この傾向が株式市場と為替にも影響を及ぼしていますが、債券市場の受け止め方に比べると、株式はまだマイルドな感じもします。(金融株の動きなど)

とりあえず、債券、為替、株式市場のプレイヤーごとに受け止め方が微妙に異なります。

どれが正しくて、どれが間違っているかはわかりませんが、歪みはいずれ是正されるのではないか、と思います。

以上です。