日産自動車カルロス・ゴーン会長逮捕、ルノーとの資本関係はどうなる?
カルロス・ゴーン日産自動車会長、逮捕へ
日産自動車、三菱自動車、ルノーの会長を兼務しているのカルロス・ゴーン氏が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで東京地検特捜部の捜査を受けているとの報道が流れています。
ゴーン日産会長を逮捕へ 金商法違反の疑い 日経新聞
カルロス・ゴーン会長の逮捕容疑は以下の通り。
- カルロス・ゴーン会長は自宅の購入資金などを会社側に負担させているにも関わらず、有価証券報告書にそれらを報酬として計上していない。
- カルロス・ゴーン会長にはこのほかにも、日産自動車の資金を私的に流用するなどの複数の重大な不正行為が認められたが、それに関してはグレッグ・ケリー代表取締役も関与していた。
- カルロス・ゴーン会長は長年にわたり日産の資金を私的流用しており、また有価証券報告書には報酬を過少記載してきていた。
というものです。
カルロス・ゴーン会長の有報に記載された報酬は?
カルロス・ゴーン会長がいくらの報酬を受け取ってきたのかについても報道がされています。
2017年度、カルロス・ゴーン会長は
- 日産自動車から7億3500万円
- 三菱自動車から2億2700万円
- ルノーから約9億5000万円
の報酬を受け取っていると記載されているとのこと。
しかし実際には、住宅購入費用や私的流用などでこれ以上の報酬が支払われていたとのことです。
カルロス・ゴーン会長の不正行為は内部告発でバレた!
報道によれば、カルロス・ゴーン会長の資金流用や有報虚偽記載などにかんしては、内部通報により情報提供され、会社側が数か月にわたって内部調査をした結果のものということです。
東京地検特捜部が動いているのは、あくまでもその情報を基にしたものと思われます。
カルロス・ゴーン会長の処遇は?
これを受けて、日産自動車は取締役会でカルロス・ゴーン会長とグレッグ・ケリー代表取締役を解任する方針。
1999年に日産自動車に派遣されて業績立て直しに辣腕を振るってきたカルロス・ゴーン会長ですが、あっけない形で放逐されることになりそうです。
カルロス・ゴーン会長がいなくなったあと、ルノーと日産との資本関係はどうなる?
現在、日産自動車の43.4%の株式をフランスのルノーが握っています。
これは、1999年に一度潰れかけた日産自動車にルノーが出資して立て直してくれたことに始まる関係ですが、近年、この関係がギクシャクしていました。
ルノーの株式の15%はフランス政府が握っており、ルノーの経営に事あるごとに介入。
労働者の権利保護や工場の建設地などで多くの口利きが行われて、ルノーの業績はあまり芳しくない状態です。
そのルノーの子会社である日産自動車は業績が回復しており、多大な利益を配当の形でルノーに払っているのが現状です。
ルノーとしては、この孝行息子の日産自動車との経営統合を進めたいと思っています。
しかし、日産自動車としては、フランス政府の介入を受けて非効率をなことを押し付けられるのは嫌です・・・ここもと、この問題を巡って路線の対立が表面化していました。
今回のカルロス・ゴーン会長の逮捕は、まさにこうした時期にドンピシャのタイミングで出てきたことです。
日産自動車首脳部の考え~カルロス・ゴーン会長だけでなく、ルノーも消えてほしい?
どうも今回のカルロス・ゴーン会長の逮捕劇、たんなる有価証券報告書虚偽記載だけで話が終わるものでないように思います。
背景に、日産社内の路線対立、つまりルノー傘下で統合するか、自主独立するかの対立があったのではないか、と勘繰ってしまいます。(あくまでも私見)
カルロス・ゴーン会長の資金流用はずっと以前からのものだと言いますし、今このタイミングで出ていることがやや不自然に感じます。
日産自動車の守旧派としては、カルロス・ゴーン会長にお辞めいただくと同時に、ルノーにも手を引いてもらいたい、と考えているのではないか、という気がします。
カルロス・ゴーン会長の辞任だけで済むのか、注視が必要
もしも取締役会がルノーの経営関与を望まない態度をみせるとしたら、ルノーは強硬な手段を用いて日産自動車株の過半数を握りに来る可能性があります。
これは株価にポジティブです。
逆に、取締役会がルノーから日産自動車株を買い取る方向になったとしても、自社株が吸収されるかたちになるのでポジティブだと思います。
どちらにしてもカルロス・ゴーン会長の逮捕は株価にポジティブな影響がでる可能性があるわけですが、短期的にはマイナスの影響が大きく出てくる可能性があります。
今後の動向の変化はしっかり追っていくと良いと思います。
もしかしたら、おいしい展開になるかもしれません。