5Gは超高信頼低遅延URLLCがキモになる

5G URLLC ( Ultra-Reliable and Low Latency Communications / 超高信頼低遅延 )で始まる未来

 

 

いくらか前の質問箱のなかの質問なんですが、twitterだけでは書き足りないので、こちらで補足しておきます。

https://twitter.com/chu_sotu/status/1063118876274130944

 

「5Gに期待しているサービスや機能ってありますか?」

というものです。

 

 

一言でいいます。

 

「5G URLLC に期待しています」

 

 

 

5Gにはいろいろなメリットがあります。

  • 高速大容量 eMBB :enhanced Mobile Broadband
  • 超大量端末 mMTC :massive Machine Type Communication
  • 超高信頼低遅延 URLLC :Ultra-Reliable and Low Latency Communications

 

このうち、eMBBが一般的には注目されていると思います。

高速大容量で送受信ができるようになれば、綺麗な画質の動画をサクサクみられる・・・といったものです。

しかしそれはあくまでも4Gで出来たことに毛が生えた程度の意味しかありません。

テレビの画質がいくら綺麗になっても、放送される中身は大して変わらない(いや、むしろ下がっている)のと同じことです。

高速大容量が送受信できるのは悪くないのですが、それだけで新たな世界は開かれません。

重要なのは残りのふたつ。

とくにURLLCが重要です。(もちろん、mMTCも重要ですが、今回はURLLCに焦点をあわせて書きたいと思います。)

 

 

 

5G URLLCとは?

5G URLLCとは 5G Ultra-Reliable and Low Latency Communicationsの略であり、日本語に訳せば 超高信頼低遅延となります。

 

 

5G URLLCはどれだけ遅延が少ないか?

具体的に言うと、無線通信間では1ms(ミリセカンド、1000分の1秒)での通信を実現するというものです。

現在の4G LTEでは無線通信間の通信が5msですので、いっきに1/5になることになります。

ただ、感覚的にいうと1msも5msも大差ないように感じると思います。

 

 

5G URLLCで重要なのはエッジコンピューティング

確かにその通りです・・・5G URLLCで重要なのは、無線通信間に近い部分でエッジコンピューティングさせることで、バックボーンに流すデータを減らし、処理を高速化させることに意味があるのです。

つまり、「バックボーンやゲートウェイに流さない」という点まで含めて見た場合に、5G URLLCは4G LTEに対して優位性を持つのです。

 

 

5G URLLCではインターネットプロトコル以外のプロトコルに注目が集まる可能性

というわけで、5G URLLCはインターネットにはあまり意味のないものです。

インターネットは基本的にラグの塊であり、アプリ側の超低遅延性などは必要とされていません。

この5G URLLCでは、もっと別のプロトコルが注目されることになるはずです。

たぶんそれは、新しく作られるものになるはずです。

 

 

 

5G URLLCはゲームや自動運転にもってこい?

つまるところ、5G URLLCは近場の端末同士で超低遅延で高信頼性の通信ができるところに意味があります。

これが実現された時には何がサービスとして生まれるか?

個人的にいま思い浮かぶのは、ゲームや自動運転です。

自分は発想が乏しいのでその程度のありきたりな想像しかできません。

たぶん、まだ多くの人が気づきもしない、考えもしないようなアイデアを、きっと誰かが実現します。

すでにアイデアを練っている人もいるでしょうし、実際に5Gのモノが出てくることで、それから新たにみんながびっくりするようなサービスを作り上げる人もいるでしょう。

 

 

 

 

5G URLLCは大量の設備を必要とする

5G URLLCの実現のためには、アプリ側に近い所に分散型の設備を必要とするため、今までよりも大量の設備が必要になります。

これは、電子部品各社の業績には間違いなく追い風です。

個人的に、株式市場はこれを全く理解できていないように思います。

もっというと、関係する企業の経営陣も理解できていないのではないかと心配になります。

 

 

5G URLLCは人々に未知の体験を提供するはず

2G、3G、4Gの移行のときを思い出してください。

2Gでは当初、PDC方式による単純な携帯電話としてサービスが始まりました。

しかしその後、ショートメールサービスや「iモード」などのサービスが登場。

そんな使い方があったか!?

と当時は斬新さに驚いたものです。

 

3Gによってスマートフォンの登場が実現しました。

4Gによって動画視聴やライブストリーミング、リアルタイム動画通話なども実現しました。

これらは、その通信規格ができてから利用され始めた技術です。

 

 

5G URLLCを使い倒すのは人々の煩悩と欲望

5Gを使ってどんなサービスが生まれるのかは、まだまだ未知数なものがあります。

しかし、その重要なポイントには、人々の欲望や煩悩が根差していることは間違いありません。

スマホゲームはガチャ文化を生み出し、射幸心を煽って稼ぐビジネスモデルが確立しました。

写メールはエロ写メに使われましたし、ライブ動画はエロイプなどにも使われました。

iモードのアプリは援助交際に使われましたし、フェイスブックはナンパツール、LINEやカカオトーク、twitterは新時代の援交であるパパ活に利用されています。

GPS連動のマッチングアプリなどは、浮気や不倫への垣根を下げることに成功しました。

これらはすべて人間の本来持っている欲望や煩悩に根差したサービスです。

そういった人間の持つ欲望を否定的に捉えずに、享楽的な感覚を持つ人々が、間違いなく勝ちます。

きっと、5Gを使ってまったく想像外な使い方を提案する人が出てくると思います。

社会ができることは、それを潰さないようにすることだけです。

 

 

 

5G URLLCはスタンドアロン型の5Gでのみ実現

残念なことなのですが、実は5G URLLCで最先端を走るのは中国で間違いない状況となっています。

これは単純に言ってしまうと、5Gの規格方式の違いによるものです。

日本やアメリカ、欧州などは5Gの導入に関し、今までの4G網を利用しつつ、親和性を持たせたうえで5Gを構築しようとしています。

こうした構築のしかたをすると、データ部分は確かに高速低遅延が実現できるのですが、制御信号はどうしても4G網の限界にブチあたることになります。

つまり、エッジコンピューティングによる低遅延性を享受できないことになります。

この違いを、スタンドアロン型(5Gのみで構成)とノンスタンドアロン型(4Gと5G混ぜて構成)と言います。

5G URLLCはスタンドアロンモードの5Gのみで実現することであり、これは実は、中国が最先端ということになります。

 

 

世界の5G URLLCの最先端を走る中国

今回、5Gのスタートダッシュにおいて勝者と目されているのは中国です。

中国は2019年から5Gの商用開始をすることになっています。

(すでにファーウェイの設備を運んでいる写真が出回っています。)

これだけでも他国より相当早いのですが、中国が凄まじいのは、これらがスタンドアロンモードの5Gであるということです。

つまり、5G URLLCを世界でいち早く実現することになります。

ちなみに、他の国では2022年、2023年ころになってようやくURLLCが実現するといわれており、それまでは本当の意味での5Gの実力は感じられないでしょう。

中国は、他国がエセ5Gで我慢している間に、ピュアな5GでURLLCを体験し、その環境で新たなサービスを大量に生み出す機会を得ているのです。

世界中から、ピュアな5G環境を体験したい企業家、研究者、技術者が中国に集まるでしょう。

また、最先端の技術に投資をしたがっている投資家も行くはずです。

そうやって、新たな規格を先んじて手にする国は、総どりできる立場になるのです。

 

 

 

中国は果たして5G URLLCのすべてを利用できるか?

でも、個人的には中国政府は頭が固いから、5Gを利用した画期的な欲望システムが生み出されても、それを規制して芽を摘んでしまうんじゃないか?という気がしています。

金の卵を産む鶏であるテンセントを、ゲーム規制によって絞め殺そうとしている中国政府ですから、きっと自爆するんじゃないかなぁと眺めています。

と同時に、それは日本の過去の姿でもあります。

せっかくiモードという素晴らしいシステムがあったのに、それを水平に展開できなかったのはもったいなかった。

結局、こういうのは頭の柔らかさが一番重要なのだと思います。

 

 

とりあえず、5G URLLCには期待しています。

もちろんそれ以外の5Gの要素技術にも期待していますが、一番期待するのはなにか?と聞かれれば、間違いなく5G URLLCです。

あたらしい時代は今すぐそこまで来ています。

あれこれ考えず、流れに掉さしてしっかりついていくこと。

それが一番大切だと思います。

以上です。