【5304】SECカーボン~黒鉛電極とカソードブロックが事業の柱

【5304】SECカーボン~黒鉛電極とカソードブロックが事業の柱

今回は、電炉用黒鉛電極とアルミ精錬用カソードブロック事業を製造するSECカーボンの業績と株価についてみていきます。

まずはSECカーボンの会社説明からはじめます。


SECカーボンとは?

 

SECカーボンは兵庫県尼崎市に本社を置く炭素製品メーカーです。

大谷製鉄、公益財団法人大谷教育文化振興財団が大株主となっており、また大谷民明が会長、取締役にも大谷壽一が入っており、同族経営の企業となっているようです。

 

 

SECカーボンの事業~アルミニウム精錬用電極(カソードブロック)・人造黒鉛電極

SECカーボンはアルミ精錬用カソードブロックで世界シェア4割超で1位もしくは2位のメーカーです。

なお、SECカーボンは電炉用黒鉛電極も生産していますが、こちらのシェアは全体の3.5%程度、シェア6もしくは7位程度となっています。

関連:【生産量】地条鋼と電炉と黒鉛電極についてまとめ【シェア】

なお、SECカーボンのアルミニウム精錬用電極(カソードブロック)・人造黒鉛電極は京都府福知山市長田野の京都工場でほとんどが作られているとのことですが、その工場の使用電力は京都で一番手に大きいとのことです。

近年、夏場になると関西電力から節電要求が出されており、これによる生産調整の影響が業績推移には反映されています。


SECカーボンの業績

 

ここからは、会社側資料をもとにSECカーボンの業績をみていきます。

 

(以下の記事は2018年12月3日に書きました)

SECカーボン~2018年Q2決算の業績

SECカーボンの2018年Q2決算の業績は売上が2.4倍、営業利益、経常利益ともに大幅に改善しました。

自己資本比率は80.4%であり、しかも無借金経営となっています。

今期はアルミニウム精錬用カソードブロックが前期に比べ売上79.2%増収。

人造黒鉛は前期比238.9%増収

特殊炭素製品も51.6%増収

ファインパウダーその他も26.1%増収となりました。

 

中国の環境規制強化を発端とする黒鉛電極価格上昇がもろに業績に影響しています。

この件に関しては同業の東海カーボンの項目で書きました

【5301】東海カーボンの業績と株価~黒鉛電極が収益の柱~

SECカーボンは本来ならばカソードブロック事業の方が売上が大きいわけですが、今期に関しては黒鉛電極事業が全体の60%以上を占めています。

 

 

SECカーボンの株価 2018年12月3日

SECカーボンの株価は黒鉛電極価格上昇を受けて大幅に上昇してきましたが、ここにきて二番高値を抜けずに直近下値を切り下げ、ベアトレンド入りしてきています。

 

SECカーボンの業績リスク~黒鉛電極ライバル企業の大増産

SECカーボンの業績をここもと押し上げてきたのは黒鉛電極価格の急上昇です。

この背景には中国の環境規制強化による地条鋼排除の流れと、高炉から電炉への切り替えによる黒鉛電極の爆発的な需要増加があります。

また、黒鉛電極の市場は長らく過当競争で価格が低迷していたことから、撤退する企業が増加。

大手による寡占化が進んでおり、そのことが黒鉛電極価格上昇につながり、SECカーボンの業績を押し上げてきた部分が大きいと思われます。

 

黒鉛電極市場はかねてより大きな波があります。

2000年代に入ってからも2度、大きな価格上昇局面がありましたが、そのたびに大増産によって価格が低迷に転じてきました。

今回も同じことになるのではないか、と市場は懸念をしはじめているようです。

 

とりあえず、SECカーボンの短評は以上になります。

なお、上記はあくまでも個人的な見解であり、特定の投資スタンスをお勧めするものではありません。投資にあたっては自己責任で行っていただきますようお願いいたします。